じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

月と星を衝動買い。

2005-11-11 06:35:02 | きゅうけい
わたしは、少しだけだけど、煙草をたしなむ。

お恥ずかしながら、その、「ほんの数本」がやめられないのだ。

ちょっとしたなお守りみたいな、そんな感じで
普段は、1mgの某メンソールを買う。

(来年から、禁煙外来が保険適用になるので
 それからは実は、禁煙外来に通う気満々である)



だけど、今日は、

まだ買う必要がなかったのに、
つい、違う銘柄に手を伸ばしてしまった。


「月と、青い星」をどうしても、手に入れたかったからだ。



**********



夕方、ふらつく身体で、
祖母のことで事務手続きの書類を出しにいった帰り
コンビニに寄ったら、

ピーチ色の箱に、銀の星が少しだけ散らされている、
可愛らしいパッケージが、たくさん並んでいた。


キャンペーン中らしく、煙草に、何種類かおまけがついている。
ライターとか、リングとか、チャーム…。

この「可愛らしいおまけ」のなかに

月と、青い透明な石―まるで星のような―がついている、
チャームがあった。


前見たときは、我慢した。
でも今日は、どうしても、そのチャームが欲しくて

…300円の買い物。


つまらない買い物をして…って笑われそうだ。
だけど。



女の人らしいものが、欲しかったのだ。どうしても。
それも、ささやかな、ささやかな、目立たないもの。



昔、それこそ高校に上がる前から、
チープなアクセサリーを買い集めるのが、好きだった。
ケースに入れて眺めて、ひとりきりのときにつける
それだけで満足だった。

勤め人の頃には、数こそそれほどなくても(そしてまがいものでも)、
必要な程度は持っていたし、少しは身に着けて楽しんでいた。



それに比べて、今のわたしはといえば、
アクセサリーひとつ買うために お店に入るのも、
ためらってしまう、そんな感じである。

しわこそないけれど、どこかやつれた顔。
化粧もろくにせず、まとめ髪に、めがね。
場所に不似合いな気がして、辛くなってしまうのだ。


祖母の介護で必死だったときは、何とも思わなかったのに
今は、人前に出るのも、恥ずかしくてたまらない。
何か女らしい服装をすることも。化粧も。



 それでも…それでも。
 携帯にチャームをつけて、眺めるくらいなら
 いいかな
 許されるかな


そう思って、ようやっとの思いで手に入れた、
月と星をひとしきり眺めてから、

PHSにつけてみた。


相方が「ばう&たまのホットラインだよ」と
わざわざ買って渡してくれた、たいせつなPHSに。


うれしくて、何度も何度も眺めた。


少しだけ 幸せな気持ちになった。


こんなわたしにも、ちょっとは女の人の心があったみたいです。