じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

正月三日以来の、丸投げ。

2005-11-09 00:24:35 | 介護の周辺
一週間前の木曜。

本来なら毎週、木曜は、じいたんと二人
ばあたんを見舞う日だ。


ところが前日、従妹(一番若いの)から連絡があり、
従妹(若いのの姉。赤ちゃん産んだ子)と二人、
私とじいたんと一緒に見舞いに行きたいとのこと。

けど、色々話が行き違い、状態は錯綜。

夜遅く、やっと予定が決まる。
従妹たち(←姉妹)と赤ちゃんと、とある駅で合流する約束になった。


そして朝になって。
従妹たち&叔母の夫(彼女達の父親)が
車で迎えにくる、と
朝、いきなり予定変更が入った。


ここでなんかもう、ぐったりしてしまった私は、
思い切って、祖父を任せてお休みさせてもらうことにした。


翌日にはまた受診。
…必要以上にくたびれるのはちょっと避けたい。

ばあたんのケアは、
年長の従妹がいればなんとかなるだろう。
それに、今、あまり人前に出たくないという、私の本音と。

良く考えたら、
…実に今年の正月以来のことだ。

祖父母の介護(というほどの仕事は今日はないけど)を
叔母一家に代わってもらえる一日となった。


本当は、丸投げするのは、かな~り心配だったりするのだけれど、
「その心持がよろしくないのかもしれない」と
ふとわが身を振り返ってみた。


「いい大人が三人もいるのだから、何とかするだろう^^;
 あかんかったら、タクシーで飛んでいけばいいねん!!^^;」


そう思って、自宅で一人、布団にくるまっていた。

途中電話が何度か鳴り、ちゃんと受け答えをしたのは覚えているが、
それでも後は、久々に
夢もみず、ひたすら惰眠を貪った。


だって
私が寝ていても、祖父は一人じゃない

祖父の可愛がっている孫娘たちに囲まれて、
しかも
細かいところに良く気のつく
叔母の夫もついているのだから。


***************


帰りに、叔母の夫と従妹達が、わたしの自宅に立ち寄ってくれた。


叔母の夫の顔は、ひどくやつれて見えた。

うつ病で入院中の彼女のことで、心を痛めているのだろう。

涙が溢れてきた。

どれだけ孤独で大変だっただろう。
初めての、妻の病気。晴天の霹靂。

彼女をなかなか入院させないで
あるいは入院後も
時々、話したいことだけ話して電話を切ってしまう
叔母の夫に

慰めたり、意見を言ったり、
自分なりに出来ることをさせていただきつつも、

正直、ちらりと
苛々したりしていた私だったけれど。


看病をする人の持つ、どうしようもない悲しみ
…側にいてもたいしたことは何もできなくて、そして
側にいなければ分からないことを沢山一人で抱え込む辛さ

それを
叔母の夫と私は、ある意味共有しているのだった。


彼らが帰りついた頃に、電話を入れた。

「ありがとう、本当にありがとう
 わたし、心から安心して、夢も観ずに眠れたの
 本当にありがとう。」

そんなことで、喜んでもらえるのか

叔母の夫はとても、意外そうだったけれど

でも、喜んでくれた。

すれちがっていた気持ちが、少しだけ距離を縮めた
そんな気がした。


たまには、たまには
「丸投げ」もいいものなのかも、しれない。