第35話 バランス

2005年03月21日 02時40分42秒 | Weblog

 私には思い起こしても、何も思い出せない時期(歳)がある。
23、24、25…この頃何してた?ときかれると、「残業してた」としか答えられない。
人との距離をうまくとることができず、悩みながら、懸命に働くことで中に入れないかと必死だった。
自分の居場所を人の(心の)中に探していたこの頃、反省を繰り返し、疲労していた。
休む為だけの休日を目指し、ほっとした週末にいつも体調を崩す。
寝込んではまた新たに始まる一週間は長く、気づくと一年、あっという間だ。
この頃の私は人と関わっていない気がする。
帰りの電車ではすぐ目を閉じ、はっと気がついた時は自身の駅だ。
家に帰ると、味わう余裕もなく、食べる、お風呂に入る、眠るの行為でしかない。
まだ動ける時はましな方で、化粧を落としに立てず、ぼ~っとしていると、よく日が変わっていた。
ある日、ふっと私には思い出がないことに気づき、こわくなった。

このままではいけない。何とかしなければ。何か始めよう。
ストレスからくる憂鬱を解消できる何かを探し始めた。
心あたたまる絵本。ハイキングに旅行。とにかく「笑える」を探して…ギャグマンガまで…色々試した。
習い事にしては定期的な定時退社、継続が難しい。なので、様々な単発ものの講座を受講した。
大学教授のおもしろ講義をききにいったり、ダンスや乗馬、そして、演劇を体験した。
演劇はすることから出会い、観ることへ現実逃避。
大劇場から小劇場、現代劇から古典芸能。模索の26、27,28。

模索しながら一進一退の中、どうも体調がすぐれない。29、毎日、おきる腹痛。
有休を使って検査に通う。自身の時間とお金を使って…注腸造影のストレスまで背負う。
強くならなきゃ。幸せにならなきゃ。自分の居場所を自身の心に探し始めた。
探すこと、埋めることに必死すぎたのかも?
ブランクばかりでもだめ、つまりすぎてもだめ、適度な余白もつくって。
予定を埋めるだけ、現実逃避の観劇を減らした。ほんとうに、みたいのか?
まず、自分の心にきいてみる。体の声もききながら、自分のペースで進むことを見つけ始めた30代。
したいことを、した。
劇団カプチーノの旗揚げ、たくさんの人と関わることができた。
摩擦も、悔しいことも、もちろんそこにもやっぱりいっぱいあったけど。
それでも今は、人と関わって生きている。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第34話 発光体 | トップ | 第36話 縁結びの道 »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事