第95話 お父さん似

2005年06月19日 23時56分17秒 | Weblog

職場の男性の愛妻家ぶりを見たり、友達のだんな様の話をきくと、
ここ数十年の間にこの国に一体何がおこったのだろうと不思議に思う。
日本の男たちが、家事を手伝い、子育てに参加するという!

私は未婚ゆえ、夫像はというと父親しか知らない。
家の中の父は、座ったっきり、横になったまま、立たずに「お茶」の亭主関白。
父の家族サービス? そんな言葉は我が家に存在しない。
飲むわ、打つわ、外で個で楽しむ。
母の誕生日、こっそりプレゼントを買って驚かす…なんてドラマでしか見たことがない。

料理中、母が誤って包丁で指を深く切った。
父はつったったまま、母の不注意を怒鳴っていただけ…気の利いた言葉ひとつ言えない。
優しい言葉のひとつくらいかけてくれてもいいじゃない! 母と喧嘩が始まる。
同じ女性の立場として母の味方に立つものの、私は父親似、父の気持ちもわかる。
つったったまま→あまりにも驚きすぎてどうしていいのかわからず動けない。
母を心配し、想うあまり→怒ってしまう…不器用な男だ。
飲むわ、打つわ、ただひとつ、買うはなかった。
母の帰りの遅い日、父はさらに遅い。母のいない家に帰りたくないのだろう。
精一杯働き、不器用に母を想っている…わかりやすい男だ。

威張っていた父が仕事を辞めることになった。
真面目一徹、正義感の強さが災いした。父は正直すぎる。
新しい職場でも、相変わらず許せないことがあるのだろう…胃を痛めている。
不器用な生き方しかできない。父らしいではないか…
父が自分でお茶を入れるようになった。つっぱる背中が以前より丸い。

娘からすると恥ずかしいのだが、父は恥ずかしげもなく私や弟のことを外で自慢する。
「そう自慢するが、最近の子は親の知らないところで何をしているのかわからない」と言われ、
酒の席、流せばいいのに本気で反論、喧嘩して帰ってくる。かなり飲んでいる。
酔っぱらっているので、何度も繰り返し言う。
私や弟のことが自慢だと、信じていると延々…まったくもぉ…お父さん、ありがとう。


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