ドーンという音が胸に響く。
「おおー」とか「すげえー」とか「きゃーきれい~」とか、
いろいろな賛美の言葉が追いかける。
人々の手にはビール、チューハイ、コーラなど・・・。
浜辺の熱気に加え、肌は潮でべたべた、
どうしても喉が渇く。
はたと、江戸の頃、花火を見ながら庶民は何を飲んでいたのかしら、と思う。
花火の原型は烽火(のろし)だそうな。
羅針盤やお茶に加えて、火薬も中国が見つけたのだから、
中国すごい。
唐代には花火があったという記録もあるらしく、
ならば遣唐使が持ち帰っていたかも知れない。
諸説あるようですが、
1613年に徳川家康が二の丸で花火見物をしたという記録は
確かなものらしいです。
その後花火はどんどん流行し、
1733年に両国開き、
1810年には玉屋・鍵屋の共演というように発展し、
暑い夏の夜の庶民の楽しみになっていたわけです。
で、みんな、何を飲んでいたのでしょう。
抹茶を点て、優雅に花火見物?
それもあったかも知れません。
でも、上流階級の人たちです。
1697年に記された『農業全書』には、
お茶の製法について、
蒸す・熱湯でさっと煮る・湯通しをする・釜で炒る
という4通りが紹介されています。
そのようにお茶が飲まれていたというわけですが、
でも、茶園の規模からいって、まだまだ庶民の飲み物ではありません。
永谷宗円が今イメージするような煎茶を作ったのが1738年。
その頃、ようやく都市で流通するようになってきたものの、
江戸の頃に、一般庶民が飲んでいたのは、
番茶とか白湯とかであったようです。
アウトドアでは竹筒でしょうか。
エコですねえ。