今日の東京新聞1面下のコラム「筆洗」で『ナンバ走り』を取り上げていた。
ナンバ走りといえば陸上の末続慎吾選手で話題になり、知られるようになった。
コラムによると、江戸時代までは日本人の一般的な歩き方や走り方はこの、右手右足、左手左足を同時に出す動きだったそうだ。
日本人の走り方が今のように手と足が左右逆になったのは、明治維新後に西欧式軍事教練が導入されてからで、そもそも日本人は武士も農民も日常走ることはなかったということだ。
私も走って逃げる人を絵に描くとき、走っている人の両腕を上にしていることがあるが、古い戦争絵巻などを見ると、庶民は両腕を上に差し上げて逃げ惑う姿で描かれているというクダリを読んでなるほどと思った。腕を左右に振る習慣(!?)がなかったのだ。
自分でも知らず知らずに先祖返りして描いていたのかな。
ちなみにアニメの「サザエさん」では登場人物は走る時に両腕を後ろ伸ばしたまま走っている。
ところで、畑仕事の鍬の使い方や餅つき、薪割りの足使い、歌舞伎や相撲の摺り足などもナンバで、登山で疲れると右ひざに右手をついたり、杖を突く老人の歩き方もナンバなのだとか。
体をひねったりうねったりすることのないナンバの動きは長時間労働に向いていて、
腰痛や肩こりの予防の健康法にもなるらしい。