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長電話

~自費出版のススメ~

朝青龍の引退と隠岐の海の登場

2010-03-20 | スポーツ
朝青龍のいない土俵は寂しいか? 私にとっては「No」です。当然ですが、彼は長島や王ではないのです。相撲人気のさらなる凋落を「朝青龍の引退」に求める向きも多いようですが、彼がいたときだって、国技館がガラガラだったこともあったし、ちょんまげをつけたマワシ姿の腰の高い白人同士の違和感ありありの、それも上位の取り組みに眉をしかめる日本人はいくらでもいたのです。

亀田兄弟同様、横綱の素行の悪さを指摘し困ったもんだと悦にいるという、いわゆる「品格遊び」は、既に消費しつくされており、そろそろ相撲自体に彼も集中できないものか、と思っていたところに降ってわいたような「引退」。千代の富士以来のアスリート系力士の不在は残念ですが、長い間の朝青叩きにすっかり慣れてしまった相撲ファンにとっては、いつか来るだろう状況に心の準備はできており、折込済みだったような気もします。

東京新聞は、朝青龍のモンゴルでの(問題)会見によって生じた双方(朝青龍と協会、或いはモンゴルと日本)の対立は「誤訳」に基づく不毛なものだと指摘しています。いずれにしろ彼のことは引退相撲も含め、今後は相撲ではなく芸能・格闘技・政治マターにシフトしますので、どーでもよいっちゃー、そーなんですが、間抜けな国際問題もあったもんです。

とはいえ、各力士はいつもより1敗少なく星取りを計算できるのですから、むしろそれぞれ各々の目標に対してモチベーションがあがるはずです。日馬富士や白鵬は「責任」を背負い、しっかりスイッチが入っていますし、把瑠都も大関挑戦場所でありながら、突きという新しいスタイルを取り入れて大関の地位に安住するつもりがないことを表していますし、隠岐の島という大型美形日本人力士の登場もあり、大阪は淡々と盛り上がっています。

ところで我等が安美錦ですが(彼は関脇という日本の相撲界ベスト8という地位にいます)初日にあっさり白鵬に敗れた後、琴欧洲に勝ち、話題の把瑠都に善戦するという離れ業をやってのけております。

みなさん、安美錦は応援しなくていいのですが、注目はしてください。そのうちスルメのように味がわいてきますよ。

コクボのボコク

2010-02-17 | スポーツ
日本人女子選手として冬季オリンピック史上初の金メダルを長野で得、ソルトレイクでも胴、今回のトリノで4回連続でのオリンピック出場ながら、マスコミは完無視、スポンサーが強いのか、上村選手ばかりにあたるスポットの影でまるで存在すらしないかのような扱いであった里谷多英選手。

これでメダルでもとろうものなら、マスコミがどんな手のひら返しを見せてくれるのかと、非常に楽しみにしていたのですが、転倒があったとかで30人中29位と奮わず、私の望み通りの展開にはならず、そういう意味でも残念な結果となりました。

彼女同様、薬芸人、チンピラ横綱に続き、いじめ大好きのマスコミの餌食になった国母選手にも、少しばかりのシンパシーを覚えたので少々擁護をしたいところです。

「国を代表しているのだから節度を」はいいとして、「税金で行かしてもらっているのだから」はいただけません。某右翼最低新聞などが好んで使う「金」の話ですが、彼らは彼らが望んでその場にいる以上に、その分野でものすごい結果を残し、国に選ばれ、要請されて参加しているという側面があります。つまり国は選手に競技に参加して「もらって」いるのですから税金投入は当たり前ではないでしょうか。

そして、そうするとそれは、「税金」を持ち出す連中は、身なりをキチンとしさえしていれば選手が「自分のために」競技に参加していようが、していまいが、どうでもよいということを認めてしまっているということになります。格好を標的にして狭量さをみせつける営業右翼らしい「語るに落ちた」話なのです。選手の意識の微妙な意識の峻別を、ここにきて、それも上から目線で外野でしかない連中がえらそうに求めてどないすんねん。

海外では、選手がベストの状態で競技に臨めるよう環境を整えるという発想の方が強く、選手のドレスコード(?)はゆるく、いちいち着こなしに文句をつけるような習慣はないそうで、そういうことを思えば、あのだっさいスーツを着てあげてるだけでもありがたいと思った方がよいのではないか、とすら思ってしまいます。

国母選手の活躍次第では、手の平返しをするか、あるいは下品横綱のときのように「勝てばいいってもんじゃない品格論」を展開するか、どうせ、そうなればどちらにころんでも、そうやってしまうのでしょうが、スノーボード界のスターとなり、結果として、厳しい業界の繁栄につながるようなことになるとよいですね。

15ラウンド制復活を望む

2009-11-30 | スポーツ
日本シリーズ第3戦でしたか、シリーズの潮目が変わった阿部のサヨナラホームランの印象は「悪いものを見てしまった」でした。しかしそれさえも「フェアな力の勝負をやった上での勝利じゃないか」と思い返したくなるほど「酷いものを見てしまった」といった後味の悪いタイトルマッチ、内藤vs亀田戦。

どっちが勝っても構わないし、ジャッジがおかしくてもそこはすでにプロレス化している世界、チャンピオンをいくら作っても中継される程の人気のないスポーツになりはてたボクシング、そしてその業界ですから、誰が強いかは問題ではなく、優先してなされるべきことへの合意もあるのかもしれません。

ただ、ガードを固め、カウンターのみを狙う「勝てばいい」というだけの消極的でチャレンジャーらしからぬ亀田選手、相手の出方を恐れ、決定打を決められない内藤選手と、お互いの長所を潰しあう展開で、派手な打ち合いには決してならないと格闘技に疎い私ですら最初から分かる展開に5ラウンドあたりから、うんざりしてきました。

そして短い12というラウンド数。これでは野球を7回で止めるようなもので、あしたのジョーのような劇的逆転勝ちなど望めない短さです。計算外のことがそこから始まり、練習や才能の結果が証されようとする瞬間にゴングというのは、理不尽ですらあります。最終12ラウンドでは亀田選手の足が止まり、防戦一方となりました。サッカーの終了寸前のパス回しのようなものなのか、本当に弱っているのか、12ラウンド制で行なわれたこの試合で判断するのは難しいでしょう。

しょぼいタイトルマッチであることを両選手のせいだとか、また汚いことを亀田陣営がしたんじゃないかとか言うのは簡単ですが、結果は仕方ないとしても、内容は制度によって担保されるもの。こんなんでもチャンピオンになれるんだと思われてはボクシングはおしまいです。15ラウンド制に戻すことが業界の起死回生策だと思うのですが。

朝青龍という延命装置

2009-11-26 | スポーツ
朝青龍のスキャンダルもなく、いつのまにか始まっていた大相撲九州場所。弱い5大関と強い2横綱という本来の形に戻ったのでちっとも盛り上がらないなと思っていましたら、12日目、日馬富士がやってくれました。勝ち方としてはいかがなものかという相撲内容でしたが、相手は好調な横綱。意外性に乏しく盛り上がりに欠ける今場所の土俵に初めてアクセントがつきました。

とはいえ、客は入っていないわ、いつまで経っても成長しない若手に飽きるわ、我らが安美錦の負けが込むわと、散々な場所です。今週末には内藤vs亀田戦もあり、格闘技目線として比較するにつけ、テンションが下がりっぱなしです。アメリカでは野球とアメフト、バスケが入れ代わり立ち代わり盛り上がりを見せるスケジュールになっています。そういう意味でいえば、野球がオフシーズンに入ったにも関わらず、スポーツファンの心を捕えきれない大相撲の現状は、悲惨なものです。

1年前は朝青龍限界説の中、白鵬の成長、日馬富士の躍進、苦しむ老大関など、各関取に物語があったように記憶しているのですが、そのすべてに新鮮さが薄れ、その上ヒールとして土俵以外をも巻き込んだ朝青龍が「努力家」になってしまった印象があり、きっちり星を残しているのですから、人気がでず、話題にならないのもしょうがありません。

「悪役」朝青龍は、一時は自民党における「中興の祖」と呼ばれた、小泉純一郎のような延命装置だったのかもしれません。朝昇龍の俗物的人気を隆盛と勘違いする協会の仕切る大相撲もやはり衰退していくのでしょうか。

物語の完結

2009-11-07 | スポーツ
松井は、今シーズンの締めくくりの大一番で6打点の活躍。代打でさえ結果を残し、地区シリーズからの文句のない成績でのWS・MVPの受賞でした。

イチローが個人で凄まじい記録を毎年のように更新しているのに対し、WBCに出場する機会にも恵まれず、アベレージヒッターへとマイナーチェンジした松井は、インタビューも生真面目で面白みに欠け、アピール不足の感があり、日本での話題もやはりイチローの後塵を拝する結果が続いていました。手首骨折の大怪我の後はさらに「阪神入りか」とか騒がれ、米スポーツ紙でも
不要説が流通していたそうです。

しかし、今年のシーズンは超大型補強もあったにも関わらず、そのチームバッティングが得点に活かされ、レギュラーを譲らず、ヤンキースは独走で地区優勝。そしてついにワールドチャンピオンという日本から持っていった夢がかない、その上MVPの称号の「おまけ」までついてきました。

いままでもワールドシリーズに出場した日本人選手はもちろんいますし、シーズンで主力を務め、さらに優勝に立ち会った選手も沢山います。ただ、松井がヤンキースにおいてワールドチャンピオンになることは、そのためにやってきたこともあるし、何度かチャンスがありながらも7年を要したこともあり、物語の完結を見ているようで、他の選手の晴れ舞台とは違うように感じました。

松井は50本のホームランを打ち、原監督初年度の日本一に貢献してから、「裏切り者」と呼ばないでといいつつ、大リーグにいきました。WBC不参加でのバッシングもあり、日本にいた時に比べれば、順風満帆とはいきませんでしたが、苦節7年ようやく地味な努力と抵抗が報われるときがやってきました。

これでようやくイチローと対等に話せるようになることでしょう。

ドラフトに関するありふれた感想

2009-10-29 | スポーツ
2009年ドラフト、話題の菊池くんは西武が指名権を得ました。松坂やダルヴィッシュ、田中のマーくんもいたのに、20年に1度の逸材と言われるのは彼がサウスポーであるからだそうです。確かに左の150kmを随時出せる本格派っていません。プロのスカウトの目から見てもその野球センスは抜群だそうで、体ができてくれば恐ろしいピッチャーになるとのことです。WBCで苦しめられた韓国の若い左投手みたいになるのでしょうか。

顔だけみると、スター性があるとも思えない菊池くんに、これだけの大騒ぎをするわけですから、器としては相当なものなのでしょう。なにより他の高校生と違い、眉毛を剃ってないのがよろしい。

個人的には楽天か中日に入って欲しかったのですが、大リーグへの夢が前提である彼には、松坂や松井稼を輩出し、大リーグ出戻りの石井もいる西武というのは好条件で、文句のないところで、まずはめでたし。

パ・リーグで活躍している投手の大半が20代前半であることから分かるように、近年はパ・リーグばかりが有望な投手を指名できています。やはりパ・リーグのユニホームが似合いそうな、来年の目玉となるであろう早稲田の斉藤くんの動向が今から楽しみです。

セリーグで最も収穫と思えるのが広島。夏の甲子園優勝の愛知・中京大中京高の堂林くんを、それも2位で指名できるなんて野村新監督にとって幸先のよいスタートです。1位でも春の甲子園での菊池くんのライバル今村くんの指名権をとれたし、松坂世代、ハンカチ世代に続く雄星(泣き虫?)世代を、ソフトバンクの今宮くん、中日の岡田くんなどと共に形成し、是非CS進出を実現してほしいものです。

コクのない大リーグの野球

2009-10-23 | スポーツ
シアトルマリナーズの城島の日本球界復帰の発表があり、とても驚きました。思春期にさしかかろうとする子供さんがいるとのことで家族を慮っての決断という理由もあるそうですが、いっこうに言うことを聞いてくれないマリナーズ投手陣へのストレスが相当あった、との報道もあります。日本の野球と違いインサイドワークは投手の意思の比重が大きく、城島がよかれと思ってやっていることが嫌がられ、チーム内でスポイルされていたという噂もありました。チームや土地への帰属意識の薄さや、日本の体育会系的先輩後輩の序列意識がないことも背景にあるのでしょう。

NHK BS-1で大リーグの放送をちょくちょくやっているので、ときどき見てみるのですが、ただ早い球を投げ、強い打球を打ち、システマティックに投手交代をする、という、テレビゲームのようで「コク」というものが見当たらず、いつまでたっても好きになれません。。送りバントも少なく、スクイズなど皆無といっていいでしょう。

今は日米双方、日本の野球界をアメリカのベースボールの2軍とみなし、WBCなどを催し、ファン拡大と共に人材発掘に勤しんでおり、選手もステイタスとして大リーグを捉え、新人の段階から大リーグに挑戦する人もでてきました。ただ、日本の報道は選手個人の活躍を伝えることを重視し、属しているチームの成績はあまり報じません。マスコミは有名選手の記事が欲しいだけで、大リーグの各チームがどうなろうとどうでもいいという姿勢を崩していないところを見ると、私同様、試合内容や順位に興味がもてず、そういった情報に需要もないのでしょう。

杉内や涌井、ダルヴィッシュといった日本を代表する投手もいずれは、と思っていましたが、彼等は最近「大リーグ拒否宣言」ともとれる発言をしています。大リーグには移動と過密スケジュールという体調管理に相当なケアが必要なので選手には負担で、さらに英語圏の選手も相対的に減ってきていることから言葉の問題もあり、純粋に野球の才能以外のものが求められます。

メッツで3年間毎年10勝以上の成績を残しながらあっさり帰って来た西武の石井一久、キャッチャーという不可能だと思われたポジションである程度結果を残したながらも挫折した城島のケースからみても、野茂やイチローが扉を開いた夢の大リーグですが、WBCの連覇もあり、そろそろ幻想やそれによるコンプレックスも必要のない時期にきているのかもしれません。

私は日本の野球が好きです。

誇るべき大相撲のジャッジ

2009-10-22 | スポーツ
日本もアメリカもプレーオフの試合が続き、楽天のトンでも無い負け方もあり、盛り上がっておりますが、そんな盛り上がりに水を差す事件が「ヤンキースvsエンゼルス」戦で起こってしまいました。1試合3度の誤審がビデオで証明され、審判が謝罪する事態になったのです。

もちろん謝罪したところで再試合とはなりません。「ストライク・ボール」という主審の判定は一貫性がなくとも証明はできないので仕方ないとしても、ホームランやランナーへのジャッジはある程度ビデオで確認できるので、テレビで見ている方は誤審を納得できません。ただ、誤審は常にスポーツとともにあり、例え高度化したロボットが審判を担うようになったとしても、ミスジャッジのない世界が出現するとは思えません。

ところで、私が思う最高の審判を擁しているのは相撲です。物言いをつける彼等は、ビデオ、それもスローで見ていないと分からない微妙な勝負を見極め、たびたび行司差し違えを指摘し、そしてスロービデオで分かる我々視聴者の納得のいくジャッジをし、それは私の知る限り間違っていたということはありません。

行司さんがいて、さらに審判がいるという大相撲の制度にならって、ジャッジに文句がある場合は誤審によって不利になるチームが抗議を行なうのではなく、審判監視委員会みたいなものを設置して任せたらどうでしょう。プロ野球は4人審判制、最も試合の多い日(6試合)でも日本ではフィールドにいるのは、1試合4人(予備として確か1人控えております)。つまり1日あたりたった24人しかプロ野球審判の需要はないのです。もう少しお金と人員を割いてもよいのではないかとも思います。

とらぬ野村の皮算用

2009-10-16 | スポーツ
ようやくクライマックスシリーズが始まり、しばらくおちつかない日々となりそうです。今日は杉内のよもやの乱調で楽天が大勝。イーグルスはなによりベンチが明るいし、打線が元気。この勢いで、優勝しながらダルヴィッシュを欠いて戦うことになるかもしれない日本ハムを叩き、セリーグの代表と戦うことになれば、世情も少しは明るくなれるかもしれません。ペナントとは長く総合力を争うもの、10月に一番強く、短期決戦を戦うノウハウをもった監督のいるチームが日本シリーズに出場できるのは、このCLシリーズ制度のよいところです。

楽天が勝ち抜けた場合、相手が巨人だと野村さんののカタキみたいな相手だし、中日だと監督の知能対決が見物となります。ヤクルトとてかつて監督を務め、日本一にしたチームですから、いずれにしろ因縁めいたものがあり、どのマッチアップでどういう内容であれ、構いません。あの弱小チームがここまできたのです。しのごの言う必要はないでしょう。それにしても阪神、楽天と弱小球団を渡り歩き、よもや短期決戦で野村監督の采配を見られるとは思いませんでした。

衣笠幸雄氏や江夏豊氏が監督になれないのは、他人に媚びず派閥を作らないので球団フロントや親会社とのコネがないため、人事として球団幹部からまず提案がないからだそうです。実績を残すチャンスさえ与えられない彼等に比べると、去年ぎりぎりの5位で今年は2位という成績の野村監督は解任される流れだそうですが、機嫌よさそうに采配をふるう姿を見るにつけ野球人としても人間としても実に幸せな晩年だなと思います。

ヒロシマ・ナガサキ・モナムール

2009-10-13 | スポーツ
懲りずにオリンピック開催への立候補を表明した広島・長崎市。分散開催を否定する憲章を知っていながら正面突破を計ろうとする姿勢からすると、オバマさんの平和賞受賞で勢いにのついている「核廃絶」をアピールする場として利用するだけで、本気で招致するつもりはないのではなかろうか、と誰もがいぶかっております。つまり政治的ステイツメントに過ぎないんじゃないかというわけです。

「供託金」(招致活動費)さえ払えば誰だってNHKの政見放送(宣伝活動)を、大きな政党も泡沫候補も同じ持ち時間で宣伝できるのと同様、招致活動を通して、「ヒロシマ・ナガサキ」を周知することによって核廃絶を訴えるという手法はもちろん有りですし、単純比較はできませんが、ワールドカップ(サッカー)は都市どころか国単位で分散開催しているわけですから、それなりの訳はあるのでしょうが、憲章の方がおかしいといえばそうです。

ただ、オリンピックと政治は不可分ではありますが、政治的テーマをそこまで前面に出すのは少々不粋ではないでしょうか。選手が核廃絶の旗印の元に集い、核保有国もそうでない国も賛意を示し参加するという形式はいかにも不自然だし、各国首脳も式典に出席しづらいでしょう。国が開催するものではないとはいえ、核の傘の下にいる日本の都市にそれを言う資格があるかどうかも問われることになります。

どうしてオリンピック招致活動を通してアピールせねばならないのか、他に機会はないのか、と疑問がわくところですが、これはサミットを広島や長崎で開いて、各国の首脳、特にアメリカの大統領に献花させるという形を日本政府がとれなかったからかもしれません。政治とはまったく面倒臭いものです。

シカゴ落選

2009-10-05 | スポーツ
日本にとっては、選挙でそれどころではなかったオリンピック開催地決定レースですが、政権交代があからさまだったにも関わらず、民主党の中心人物の小沢さんを毛嫌いする石原都知事の一貫した立場と発言のせいで、現政府へのアプローチがとれなかったこともあり、世論はおろか政府の明確な支援も得られず敗北に至りました。思えば都議選での民主の圧勝からすでにこの結果はみえていたとも言えます。

そもそもトウキョウは、選考に大陸毎の持ち回りという条件があったので、北京を終えたばかりであるアジアからの出馬という「ありえない」希望を抱えていたわけです。また、国内選考のプレゼンで「福岡」の推薦者であった姜尚中が「東京発揚のための五輪はやめるべきだ」と指摘していたように、この結果は成熟した社会を公共事業でひっぱるという発想がすでに過去のものになっていることを示しているのかもしれません。環境と五輪の両立など所詮矛盾したものなのです。

しかし、本当に心配なのは、東京なんかより、一時は本命と見られたにも関わらず1回目の投票で脱落したシカゴ、ひいてはアメリカです。国民皆保険やアフガン増派などの国内問題が佳境にある大統領は、レイシストが多いと思われる(?)IOC貴族達に、たいした根回しもなく飛び込み、政治家ではなく人気者に過ぎないという印象を残し威信を傷つけ、国内の左右守旧派を勢いづけてしまいました。

今不況の発信地であるアメリカと、アメリカ市場次第という外需頼みで、アメリカに次ぐ不況の影響を受けている日本が、BRICsの一員であるブラジルに負けたというのは、あるいは国際政治・経済の中心がG7からG20への移行期のシンボリックな現象なのでしょうか。

朝青龍を「けいこ不足」で裁く品格

2009-09-28 | スポーツ
いまだ朝青龍の時代だったのかと驚かされた秋場所の千秋楽でした。行司は指し違えを繰り返すわ、魁皇は勝つわ、安美錦は負けるわ、解説の北の富士さんはいい澱むは、と荒れた一日の最後は朝青龍の投げによって優勝、「けいこ不足」を理由に反感を持つ多くの人々の溜飲を下げることはかないませんでした。

理事長さえ指摘する「けいこ不足」が真実ならば、才能さえあれば努力など意味のないものになってしまう、という「品格のある」側の苦い思いと危機感は相当なものでしょう。また総理大臣杯を渡す鳩山さんも、麻生さんとの違いを際立たせるためにも初場所とは違う優勝者と絵に納まった方が比較の上ではよかったのかもしれません。歓迎されない横綱の優勝は奇妙な後味を残しています。

才能とは取組むものに対する観察眼であり、何が足りないかを見極め、不断に補充していくことのできる能力のことで、あくまで結果として他人と違う結果をもたらしてしまうのです。功なり名をとげた人達は、「努力をしようにも何をしてよいのか分からない」状態にはあまり陥らないものです。つまり高度なレベルの世界では「努力」と「才能」は対立概念ではなくなってしまうのではないかと思うのです。

無差別級である大相撲で、この関取としては184cmという小さな横綱は、2メートルを超す体力という才能をもつ琴欧洲や把瑠都に勝ち続けているわけです。これは「けいこ」という努力によってのみ克服されたものだと言い切れるでしょうか。相撲以外は親方やお上さんにまかせっぱなしの他力士とは違い、群がる周囲の海千山千の輩を捌ききる朝青龍の人たらしの力は取組みへの工夫、仕掛けとしてしっかり反映されていると思います。

2場所連続休場(謹慎)へ追い込んでも優勝。「品格」「けいこ不足」と言葉でもプレッシャーを与え続けても優勝。次なる手は初場所で「もう一度やったら沙汰がある」といわれたガッツポーズをネタにゆすりますか。

すでにひまわりな月見草

2009-09-25 | スポーツ
4位以上が5割を越えているパ・リーグ。リーグが違う以上比較はできませんが、セリーグの3位以下のふがいなさが強調される成績を維持しています。

今、勢いがあるのは楽天、西武です。日本を代表するピッチャーが2人もいる楽天(岩隈、田中)、西武(涌井、岸)がここにきて調子を上げているのは、日本シリーズで巨人がきても中日がきても、少なくとも二人で3勝は計算できるという意味で頼もしく、勝ち上がって欲しいチームです。

楽天はピッチャーに柱があり、打撃は一昨年あたりからずっと好調なチーム。勝ち癖がついていないだけで、結構いいチームなのですから勝てないのは、ひょっとしてこれは監督の責任? と思ってしまうほど戦力は充実しているのです。楽天は負けている方が自然という同調圧力でもはたらいているかのごとく、野村さんのコメントが負け組の悲哀として取り上げられてきましたが(これは決して相手を油断させる戦略ではありません)、これで優勝もしくは日本シリーズ出場がないのは、ほんとはおかしいのです。

左がでてきたら左とか細かくオーソドックスな戦法といい、マスコミを通した選手への叱咤激励といい、いまや長嶋さんよりひまわりな存在である野村さん。そろそろ指導者としても引退してもよいのかもしれません。

アンチ巨人の困惑

2009-09-23 | スポーツ
とりあえず、セリーグのペナントは巨人の優勝が決定、あとはクライマックスシリーズの最後のチームにどこが入ってくるかが焦点となります。いずれにしろ5割を切ったチームですから、「日本シリーズ出場資格」も問われようし、短期決戦を勝ち抜くような勢いもなく、優秀な監督を戴いているわけでもないので、中日・巨人と勝ち抜くのは難しそうです。個人的には若い投手の多い広島に大舞台を経験させてあげたいのですが、阪神もここにきて先発のコマが揃ってきており、予断を許しません。

さて、優勝した巨人ですが、運気が人生最高潮にある監督以下、谷は素晴らしいし、阿部こそは打撃の天才、ベテランの小笠原とラミレスの安定感、坂本、亀井、松本らフレッシュな人材の健気ながんばり。そして3チーム分を集めたような抑えの選手層の厚さ。貯金40以上というばかげた数字を残して優勝というのもうなずけます。失敗を重ねたFA中心主義の反省と、選手だけではダメだとコーチも補強、いい加減懲りたスカウトの洗練もあったのでしょう。

しかし、マジック1で迎えた試合の先発はオビスポ。ホームゲームのこの大事なハレの舞台でオビスポ。オビスポWHO? MVPは普通に考えて14勝を挙げ、防御率2.07のゴンザレス。去年ヤクルトを首になったゴンザレス。ゴンザレスWHO?

巨人に巨人を見出せなくなってしまう昨今、アンチ巨人も非常に困っております。

大相撲秋場所展望

2009-09-20 | スポーツ
今回は青昇龍のスキャンダルもなく、何のまえぶれもなく始まった印象がある大相撲秋場所です。中日までに白鵬、琴欧洲が伏兵にあいついで破れ、それぞれ1敗を抱えるという意外な結果となっており、しばらくはおなじみの展開になると思い込み、すっかり油断していた私も慌ててしまいました。

ただ、日馬富士、稀勢の里も年間を通して勝ち続けるにはまだ馬力が足らず、やはり両横綱と上位に2大関1関脇を揃える佐渡ヶ嶽部屋が中心の土俵が続くと思われ、勢力図に大きな変化はなさそうです。

今場所の注目は琴欧洲を破った鶴竜です。この人は工学系の大学教授の父をもち、モンゴルでの相撲経験がないという変わり種。甘えん坊の子供のような顔のせいで貫禄はありませんが、非常に頭脳的な相撲をとり、技能賞も3回もらっています。日馬富士に絵画の趣味があるように、知的で文科系の関取の活躍はうれしいものです。

ちなにみわれらが安美錦は例によって三役になった途端1勝6敗という、いつものペースでやっております。