夜半から小雨が降っています。
予報だと明日の午前中は雪模様。
先週、先々週と仕事などのため集中してインラインやバイクで汗を流せていません。
今週こそはと意気込んでいたのですが、土日とも天候不順のようです。
しかし、運動不足はすなわち読書の促進でもあります。
今夜は「古都」を読了しました。
終盤に、千重子と苗子が耳を澄まして家の外の様子を想像する場面が出てきます。
「しぐれ? みぞれ? みぞれまじりの、しぐれ?」「そうかしらん、淡雪やおへんの?」
京の街の淡雪は風情があるのですが、明朝の事を考えると少し気が重くなります。
さて、この小説ですが背景に京都の名所旧跡、様々な行事が絵巻の様に繰り広げられます。
読んでいて「そうだ、京都にいこう!」というJRのコピー以上に旅情をそそられます。
当時、これを持ちながら京都を歩いた人もいるんでしょうね。
それを緯糸とすると、経糸は生き別れた双子の姉妹、千重子と苗子の邂逅物語です。
川端作品の多くに、自身が幼少に父母、祖父母、姉を相次いで失い、伯父に育てられたという原体験が色濃く反映しています。
本作は姉妹が捨て子として離ればなれになったという、現在ではあまり考えられない設定ですが、川端の体験からするとあながちリアリティーがないとは言えないでしょう。
睡眠薬を多量に服用し中毒状態で書かれたとのことで、少し緻密さに欠ける様な気もしました。
それでも、それは川端作品だからというキャプション付きでのこと。
やはりその文章力はすばらしく、空想の中で古い京都を十分駆け巡ることができました。
そして清楚な千重子と苗子に京都のどこかで行き会えるような気が・・・・・
さて、明日からは円城塔だ!