毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

ジャニーズ問題と日本企業

2023-10-08 23:49:53 | 民主主義について

「ジャニーズがどうのこうのより自分の今の生活が大事だから」

と店の経営であくせくしている息子が言った。

私も心の平安が大切なので、たいがいの社会事象を

あれこれ考えてクサクサしないようにしている。

第一、この脳みそはもともと思考の許容量が少ないのだから。

それでも、この事件については気にするのを止められないでいる。

 

ライン漫画に印象的な文言があった。

「業界で特定の企業だけ大きく成長してしまうと

ことあるごとにその企業の顔色を窺わなきゃいけなくなるんです。

MSAの機嫌を損ねると制裁を受けるし、

手数料も勝手に決めちゃうし、情報を独占したり、

でたらめな噂を流したり、脅迫から監視まで、

一言でいうと、同じクラスにヤンキーがいるのと一緒なんです。

ずっと顔色を窺ってしまう……。」(『ナノリスト』110話)

文中の「MSA」を「ジャニーズ事務所」に置き換えると

いくつもの部分が違和感なく当てはまるのではないだろうか。

雑誌「AERA」は、ジャニーズ事務所のタレントとライバルタレントを

同時に掲載したことで事務所の機嫌を損ねて、

何年間もジャニーズタレントへの取材が許されなくなり、

上司が何年にも渡り、カノッサの屈辱みたいに平身低頭ペコペコして、

ようやく許してもらえたと当時の編集者が語っていた。

ジャニーズ事務所が各テレビ局に対して

ジャニーズ所属タレントとライバルを同時に出演させると

二度とその番組にタレントを出演させないと圧力をかけていたことは有名だ。

 

「それはビジネスとして当然であり、圧力ではない」という意見もある。

力関係が同等、または近似しているとき、

確かにそれはフェアな駆け引きであり、

変化の可能性を持つビジネス活動なのだろう。

しかし、一方が圧倒的な力で独占的決定権を持ってやりたい放題になると、

それは健全なビジネス活動とは言えない。

このような支配ー従属の関係が

日本のテレビ・マスコミ業界で「それは当然である」とされる有様は

「汚濁」「澱み」「腐敗」「闇」という状態を常に伴う。

そんな世界で生きるのは息が詰まる。

この闇状態はテレビ・マスコミ業界に限らず、

主な日本企業の体質なのではないか。

だから今、

街行くビジネスパーソンの表情が一様に詰まらなそうなのではないか。

 

未だにテレビ朝日、フジテレビなどが「重く受け止める」と言いつつ

ジャニーズ事務所のタレントを使い続ける一方、

大手企業は「ジャニーズ離れ」を加速させている。

新浪剛史経済同友会代表(サントリーホールディングス社長)が

「児童虐待があったことについて真摯に反省しているのか疑わしい」と発言し、

森永、カゴメ、KAO、アフラック生命保険などがジャニーズ事務所との契約を

終了、あるいは打ち切ることを発表した。

全国銀行協会会長加藤勝彦氏(みずほ銀行頭取)も

「性加害は許されない。今後の被害者救済・補償を切に願う」と。

ジャニーズ問題が「たかが芸能プロダクションのゴシップ」と捉えられ、

2004年、最高裁が「ジャニー喜多川の性加害はあった」と認めたことすら

ほとんど報道されなかった闇の時代がつい最近まで続いていたことも

まるでウソのような現在だ。

これは日本企業が人権を重んじる国際社会からつまはじきにされないよう、

経営リスクを避ける行為であり、真に人権を大切にしていることではない。

だってそうだろう。

これらの企業は、

今まで何十年も業界では有名だったジャニー喜多川の性加害をスルーして

ジャニタレをついこの間までさんざん使ってきた当事者なのだ。

もしBBCの放映や、国連人権委員会の調査がなかったら

今の事態はあり得なかっただろう。

ま、しかし、「嘘から出たまこと」という言葉もあるので

百年後ぐらいには少しは「まこと」に近づくのかも知れない。

 

 

⤵家の近所の川の釣り人3人。親子でしょう。

この川は魚影が濃く、たまにフナが飛び跳ねます。

⤵いろいろな鳥にも会えますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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5 コメント

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Unknown (きんとき)
2023-10-09 21:34:26
企業やマスコミなども今は必死に風向きを見ながら対応しているし、何となく「人の噂も七十五日」で風が収るのを待ってる感じがする。
 TV、メディアは被害者の声や情報を握りつぶしてきた自分たちも加害者側という意識がどんどん薄められている すり替えられている気がする。
 
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上っ面ばかりの日本社会 (ブルーはーと)
2023-10-09 23:14:37
ほんと、もうボチボチ収めどきかといった発言が目立ちますね。立川志らくが「誰か死ぬまでやり続けるのか。再び会見をしたらまた袋叩きに遭う」と言っていましたが、東山たちが嘘ばかりつくから、批判が鋭くなるのであって、NGリストみたいな愚かなことをするかぎり、批判は止まないだろうし、新会社が清々しくスタートすることもできないでしょうね。
私がジャニー喜多川問題について4月からずっと見てきたのは、きっちりNGリストに上がっていた尾形総彦さんと望月衣塑子さんの「ArcTimes」、佐藤章さん、本間さんたちの「一月万冊」です(両方ともYouTube)。彼らこそ、丁寧に継続して被害者にインタビューを続け、ことの本質に近づこうと努力をしてきた人たちです。
・・・今、ジャニーズ事務所はめちゃくちゃ、とりまくテレビ局も大方日和見、さらに当事者の会もなんだか大変そうですが、一番腹立たしいのは、中学生か高校生か知りませんが、「私らかっこいい押しが見たいだけやねん、性加害とかカンケーないし」という阿呆たちがいることです。自分や親しい人が被害に遭わないと想像したり感じたりできないこうした者どもには、周りの大人たちがガッツリ説教してあげてほしいものです。
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曾孫には・・・・・ (こきおばさん)
2023-10-10 06:19:16
 こんなおぞましいことが行われていたことを、多分多くの周囲の人は知っていたのに、こうして明るみに出るまで見てみない振りをしていたということですよね。
 曾孫がすくすく育っていますが、大人はどう説明したらいいのでしょう。
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想像力があれば (ブルーはーと)
2023-10-10 16:15:06
こきおばさん様
(もし自分がそんな目にあったら……)と、被害者を自分に置き換えて仮想体験し、一生懸命歌って踊るアイドルたちがそうした被害に遭っているかもしれないと想像することが大切なのではないでしょうか。
スシロー事件の高校生にしても、「押しさえ歌って踊ってくれたらそれでいい」という子どもにしても、血の通った人間が寿司を握り、アイドルとて悲しさや痛みを感じる人間だということがピンときていないのだと思います。この世に生きている人が自分と同じ人間なんだと実感すると、ものごとを見る目が変わってくるのではないかと思います。
人間同士の深い交わりや読書が少ない子ほど、現実社会の出来事がピンとこない傾向ははっきりしています。
こきおばさん様のご家族はこきおばさん様から子どもへ、子どもから孫へと想像力の伝達ががっちりできているのではないでしょうか。こきおばさんという大樹が生い茂り、枝を大きく伸ばして子どもや孫、曾孫を守り、育ててきたんだなと、私は想像しています。
返信する
そうですね。 (こきおばさん)
2023-10-12 06:51:49
 確かに・・・・・
貴女には教えて頂くことばかりです。
親族の団結が固いと思われるのは、貧乏したからだと思っています。今になれば良かったと思われますが、皆必死でした。辛かったけれど、助け合わないと生きていけませんでしたから。そんな中でも「貧乏は決して恥ずかしいことではないよ」と言っていたような・・・子どもたちには顔をあげて生きていてほしいと思いました。
皆、健康でいてくれたことは幸いでした。
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