酔生夢死の日録

ド素人が好き勝手に語る妄言です

東電には放射線飛散の責任はない?

2011年11月27日 | 原発事故
久々に東電の話である。


さすがに驚いた。

「原発から飛び散った放射性物質は、東電の所有物ではない。したがって

東電は除染に責をもたない」

これは福島県内のゴルフ場が、東電に汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に

申し立てた裁判で、東電側が行った主張である。

(朝日新聞 11・11・24 3面「無主物の責任 ①」。記事上でクリックすると拡大表示されます)

「原発から飛び散った放射性物質」が「東電の所有物」かどうかは一旦置く

として、飛散させた責任は一体誰にあるのかと言いたいところだが、

これについても東電は恐らく、「予想不可能な天変地異によるもの」

ということにして、「不可抗力」を主張するのだろう。

要するに人知を超えた災害だったと・・・。


しかし既に明らかにされているように、一部の専門家は大震災の発生する

以前から、その危険性を指摘していた。


話を戻す。

東電はさらにこう主張している。

「所有権を観念し得るとしても、既にその放射性物質はゴルフ場の土地に

附合しているはずである。つまり、債務者(東電)が放射性物質を所有して

いるわけではない」

要するに、「飛散した先のことなど知らない」ということなのだろう。

法的にこの理屈をどこまで敷衍できるかは分らないが、極端なことを言えば

賠償には一切応じる必要もなくなってくるのではないか。


ところでこの裁判は10/31に、原告のゴルフ場の訴えが棄却されたそうだ。

しかし(少なくとも私の知る限り)この件はニュースでは取り上げられて

いないように思う。

(仮に小さく報道されたにせよ)本来もっと大きく取り上げられるべき問題

であろう。


この種の問題は一般的に、東京電力という「一法人」のこととして

考えられる傾向があるが、例え法人にしても中で働いているのは

一人一人の個人である。

一人一人の個人が法人という衣を纏うととたんにモラルを失い、無責任になる

というウンザリするような構図。


溜め息が出るばかりである。