酔生夢死の日録

ド素人が好き勝手に語る妄言です

全日本実業団女子駅伝・雑感

2011年12月19日 | 陸上
終わって見れば第一生命の完勝であった。

1区で尾崎が首位に立って2区に引き継いでからは、一度も首位を明け渡す

ことはなかった。

いわゆる「完全優勝」である。

レース展開から言えば、優勝争いという観点では、少々面白みに欠ける部分が

あったのは否めない。

それは無理もない。


ぼんやり観ていると、終始首位を走っていた第一生命の圧勝のように感じるかも

しれないが、区間タイムを見れば、そうでもないことが分ると思う。

第一生命の選手が区間賞を取ったのは、1区の尾崎好美と6区(アンカー)の

田中智美の二人に過ぎない。

これは駅伝で最も必要とされる「総合力」の違いではないだろうか。

要するに、突出した選手を一人・二人抱えるよりも、平均点以上の選手を

全ての区間に揃えることの重要さ。

それは言い換えれば、抜くことよりも抜かれないことの大切さということだろう。


個々の区間の話に移る。


<1区>

5.6km付近で土井友里永(スターツ)が先頭に出る。尾崎好美

(第一生命)は二番手。その後にパナソニックの中村仁美。

6.1kmの下りでで尾崎がスパート。土井が一旦抜き返すも尾崎がトップで

引継ぎ。


<2区>

第一生命の横沢永奈が快走してトップをキープ。

(区間2位。区間賞の積水化学・松崎璃子とは1秒差)


<3区>

最長距離区間ということに加えて、トップレベルのランナーの多くが参戦する

ということで最大の関心を集めている区間である。

何しろ、福士、渋井、赤羽、西原、小島、勝又、永尾が登場する区間だ。


しかし何やらおかしい。

福士が10人抜きした、西原が3位集団から2位集団に追いついたところまではいい。

しかし二人ともその後が少々怪しくなって来る。

明らかに追い上げペースが落ちているのだ。

はっきり言って「追い上げ」どころではない。

(結局、福士は7人抜きに終わった。彼女はマラソン練習を主眼にして

来ていたので、止むを得ない部分もあったと思われる)


この3区は元々激戦が予想されてはいたものの、

誰が区間賞に杉原加代(デンソー)を予想できたであろうか。

これは競馬の世界で言えば、文句なしに万馬券である。

私などはテレビを見ていても、杉原選手が区間賞を取ったとはとても

思えなかった。

(途中、杉原が2位グループにいたのは知っていたが、まさかの14位⇒3位

と11人抜きだった。区間賞候補を把握するのは困難とは言え、

順位をこまめにチェックしていればある程度できるはずで、

その点で不満の残るテレビ中継だった)



また渋井陽子(三井住友海上)は見るからに太目だった。

しかし最も驚いたのは、赤羽有紀子(ホクレン)の区間21位の凡走だ。

しかも「直前まで好調を維持していただけに、このような結果になるとは

考えてもいませんでした」(夫の周平コーチのブログ

また本人も「何が原因か分からない」と言うのだから・・・。
スポーツ報知

でも周平コーチは「1キロ付近で、何かおかしいと思った」とも語っている。

人間の体とは摩訶不思議なものとしか言いようがない。


さらに3区では、優勝候補に上げられていた天満屋の中村友梨香が

区間17位(6位⇒13位)、同じく優勝候補の一つだった豊田自動織機の

小島一恵が区間18位(4位⇒12位)と振るわなかった。


<5区>(4区は省略)

木崎良子(ダイハツ)のウォーミング・アップの姿が映されていたが、

表情が何とも明るくて好感が持てた。これも先日の横浜国際女子マラソン優勝

の好影響だろうか。

その木崎は天満屋の重友梨佐に一旦は抜かれるが、中継所では抜き返す。

しかし区間賞の重友は、去年も今年もすごいなぁ。



<総括>(6区は省略)


結局、天満屋は5区~6区で14位⇒8位⇒4位と順位を上げて来た。

だてに優勝候補の筆頭に上げられたわけではない。

さすがである。

でもそれだけに、3区の中村の不振が悔やまれるところだろう。


同じく豊田自動織機もまさかの12位では、泣くに泣けないところだろう。


ところで、優勝した第一生命の山下佐知子監督が、ゴール付近でアンカーの

田中智美を待ち構えている時にも、ストップウォッチを持ってタイムを計って

いたのには思わず笑ってしまった。

まぁ、関係者とはそういうものなのだろう。


そして最終結果。

① 第一生命

② パナソニック

③ 積水化学

④ 天満屋

⑤ デンソー


第一生命の完勝を振り返って見ると、1区に尾崎を起用した山下監督の判断が

功を奏したと言えるのかもしれない。


また、ここで名前を挙げるのは失礼かもしれないが、

かつての王者・三井住友海上の没落ぶりには痛ましい思いがした。

若手が育って来ていないという印象がある。


最後に余談になるが、昨日のテレビ中継のCMで渋井陽子個人を取り上げた

ものが放映されて驚いたものだ。(三井住友海上のHP

そういえば、先日の柔道「グランドスラム東京」のテレビCMでも、

上野順恵のもの
が流されていた。

こういうCMは選手にとっても励みになるのではないかと思うのだが、

果たしてどうか。

かえって、重圧に感じる選手もいるかもしれないが・・・。