日本陸水学会は、福島第一原発で凍土遮水壁を使用することに反対している。
これは、リスクが高い手法に対して、陸水の研究者としてきちんとした意見を述べるという基本的な態度に関する申し合わせの結果である。
問題は、凍土遮水壁が、完全に均質に凍結することはありえないという前提に立っている。
当然、凍結が強いところと弱いところが発生する。
というのは、凍らす泥に含まれる物質濃度が均質でないことによる。
濃度が高い物質は、簡単には凍らない。
その結果、弱いところにストレスが集中することになる。
年間を通じて考えるならば、夏期には地面の表面温度が40℃を越えることもあるだろうし、また豪雨によって時間雨量が100mmを越えることもあるだろう。
そのような自然環境の中で、凍土遮水壁の内部が溶解したり、大量の汚染水がたまった場合、いつか決壊を引き起こす可能性が高い。
実際、南極の氷河でそのような決壊が起こっているという報告がある。
このような危険性の高い構造物を、長期間にわたって維持することのメリットが理解できない。
電気代にしても相当なものになるだろう。
他に方法がないわけではない。
もっと単純で、わかりやすい方法を選択すべきだ。
そう学会では主張している。
そのことが4月23日付の産経新聞一面で取り上げられた。
危険性や、多額のコストを国民が分担するわけであるので、正しい情報の開示と適正な執行を政府に求めたい。