重い体をゆっくりと起こして、女は周りを見た。
どうも少し熱があるみたいだ。
男からの報告を考えているうちに、いつの間にか眠ってしまったようだ。
「どうもベントのようだわ」
でもなぜこの湖に。
のどが渇いていた。
コップに水をくんでくると、ソファーに座ってゆっくりと飲み干す。
問題は、ベントだったとして、なぜ今起こっているのか。
ひょっとして大きな変化の前兆かもしれない。
女は電話をとりあげた。
東京の共同研究者に問い合わせる。
「泥の中の温度を計ってみよう」
相手はそう言って、手配を約束してくれた。
今から準備しても一か月はかかるだろう。
船とか人員の確保もしなければならない。
それにしてもどうやって泥の中の温度を計るのだろうか。
待機していた男に指示を出しながら、女は首をひねった。
いずれにしても、この現象を見つけたからには、徹底的に解明したいと思う。
そのためにこれまで準備をしてきたのだ。