DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

謎(2)

2014-02-28 17:11:35 | 物語


どこかで何か音がする。

男は泳ぎを止め、耳を澄ました。

「この近くだ」

岩角を乗り越えたあたりで枯葉にまつわりつくウズムシの群れを見た。

周辺には、黒っぽくて丸い卵が無造作に転がっていた。

何の警戒も必要ではないのだろうか。

そんな危惧さえ抱かせるかのように、ビワオオウズムシの卵が放置されていた。

彼らにとって、ここは全くの安全地帯なのだろうか。

それにしてもなぜこんなにも多くのウズムシがいるのだ。

水のにおいも変わってきた。

少し暖かい気もする。

プツプツと気泡がはじけるような音がする。

男はそっとあたりを見回した。

水の底がモコモコとかき乱されている。

「あそこだ」

ここは湖の源とでもいうような場所だ。

地面から何かが噴き出る場所に、ビワオオウズムシが潜り込んでいる。

周辺には小エビのような生物も見られる。

「ヨコエビか」

アナンデールヨコエビと呼ばれるこの生物も、奇妙な生活をしている。

昼間は湖底にたむろしており、夜になると浮上する。

その距離は時には80m近くにもなる。

エサを取りに行くらしいが、昇降に費やすエネルギーの方が大きい気がする。

彼らは、過去数十万年も同じような生活をおくっているのだ。

ビワオオウズムシとアナンデールヨコエビ。

ともにこの湖の固有種と呼ばれる2種類の生物は、お互いの存在を無視するかのように湧き上がる泥にまみれていた。

この地に小さな吹き出しが見つかったのは2006年のことだった。

注意しないと見過ごしてしまうような光景だが、何か意味があるのかもしれない。

この頃からビワオオウズムシが急に増えてきた。

「何かが変わりつつある」

男は一人ごちた。

漠然とした不安が男の胸をよぎった。


2月27日(木)のつぶやき

2014-02-28 09:05:24 | 物語

夢(57)

2014-02-27 14:14:20 | ButsuButsu


25日、NHKの籾井勝人会長が、10人の理事全員に辞表を提出させていることが明らかになったが、26日は、辞表の提出について、「一般ではよくあること」と述べ、新たな波紋を呼んでいる。
籾井会長は「非常に、世の中をお騒がせして、申し訳ない。
危機という言葉は、適当かどうかわかりませんが、異常な事態であるというふうには思っております」と述べた。
籾井会長が、理事10人全員に、辞表を提出させていた問題。
26日も、国会に参考人として呼ばれた籾井会長は、この問題について聞かれると、「私はNHKの理事が、そういうふうな辞表を預かったことにより、萎縮するとは思っておりません。
こういうことは、一般社会では、よくあることだと、私は理解しております」と、理事の辞表提出は問題ないとの認識を示した。
本当に一般社会では、上司が辞表を預かっていることは、よくあるのか、部下は、萎縮しないのか。
サラリーマンは、「萎縮しちゃうと思いますね。言いたいことが言えなくなったりとか、悪いことも報告できなくなったりですとか」、「やっぱり萎縮しますね。首根っこをつかまれたみたいな感じがして」などと話した。
東芝の元会長で、日本郵政の西室泰三社長は、「一般社会で、常識的に行われているというふうには、思っておりません。
(日本郵政グループもしていない?)もちろん。誰にも辞表だなんて...、やってないよね?」と述べた。
新たな波紋を呼ぶ「籾井発言」。
民主党の階 猛衆院議員が「ご自身でも、辞表を経営委員会に今からでも出されたらどうですか?」とただすと、籾井会長は「私は、NHKの会長という役職をしっかり受け止めて、責任を全うしたいというふうに思っております」と述べた。
庶民感覚からかけ離れたトップの発言に、NHKが大きく揺れている。

(02/26 19:22)


NHKの会長くらいまともな人を選んでほしいと思うのは私だけだろうか。

問題発言や問題行動を繰り返しているこの人物は、国益を大いに損ねているし、受信料をベースとした予算で経営されている国営放送の主としては不適格と言わざるを得ない。

もちろん、この人を選んだ側にも責任があるのだろう。

災いを作り人心を惑わすことを、視聴者はNHKに期待しているわけではない。

良識に基づいた真実の報道や番組を期待しているのだ。

個人の思想信条など語ってほしいとは思ってもいない。

時の政権に阿ることなく、中立の立場で情報を提供して欲しいがゆえに、庶民は諾々と受信料を払い続けているのだ。

英国のBBCのような、センスと機知にあふれた放送局であってほしいと思う。

明らかに不適格な人事であるのだから、籾井氏は可及的速やかに辞任してほしい。

お願いだから、もう少しまともな人にNHK会長職を務めていただきたい。

少なくとも、人間として尊敬できる人であってほしい。

悲しいことに籾井氏の周辺からは、何となく胡散臭さが漂っている。

2月26日(水)のつぶやき

2014-02-27 09:20:42 | 物語

謎(1)

2014-02-26 18:31:13 | ButsuButsu


男は考え続けていた。

いつからこの深みにはまりこんだのだろう。

ずっと長い間考えている気がするが、実はそんなに長くもないのかもしれない。

どんよりとした思考の深みは、決して不快なものではなかった。

ただ出口の見えない思いは、胎動のように心の中にささやきかけていた。

「もうよいのかもしれない」

目覚めてもよい頃だった。

「ここはどこだ」

問いかける心の中に、かすかに水の音が聞こえた。

「今は朝なのか」

そう言えば、太陽のような光が忽然とまぶたに差し込んできた。

「音がする」

そう、波が頭上を駆け抜けていくようだ。

自分が水の中にいて、ゆっくりと浮遊しながら流れに身を任せている状態が知覚された。

「もうよいのかもしれない」

再び思ったとき、四肢に力がみなぎる気がした。

「起きよう」

手足をのばし、縮め、再びのばし、そして泳ぐことを始めた。

少しずつ、しかし確実に進み始める。

「もう始まったのだろうか」

何かが変わろうとしていた。

そのことを、ずっと昔から知っている気がした。

だからこそ、考え続けてきたのかもしれない。

泳いでいく先に何かが待っている気がする。

「遅れてはいけない」

目指す場所はわかっていた。

湖の深み、いまだ誰も訪れたことのない場所だった。

男も初めて訪れるのだが、妙に懐かしい思いがした。

緩やかな下りを過ぎると、ごつごつとした岩が現れてきた。

岩肌にはべっとりと生き物が張り付いている。

「ビワオオウズムシ」

思いついたように男はつぶやいた。

絶滅危惧種Ⅰ類に指定されている琵琶湖の固有種だ。

「しかし、それにしてもこの多さはどうだ」

何かが急激に変わりつつあるようだ。

「急がないと」

男はまた泳ぎだした。

2月25日(火)のつぶやき

2014-02-26 08:26:19 | 物語

夢(56)

2014-02-25 16:53:07 | ButsuButsu


今日は久しぶりに穏やかな天気だった。

ただ戸外は空気が霞み、どんよりとしている。

どうも大量のPM2.5が飛来しているようだ。

迷惑な話だ。

琵琶湖の漂着ゴミを調べに出かけた。

能登川から新開浜にかけての湖岸には、まだ大量の漂着木材が放置されていた。

中には壊れたテレビもあった。

SHARPと印字されていた。

誰が回収するでもなく、雑多なゴミが転がる砂浜は、世界遺産からは程遠い。

ゴミを片付けるにも人手と経費が掛かる。

薩摩町で出会った人は、老人会が月一回湖岸の清掃をしていると言っていた。

確かに、ここの湖岸はゴミもなくきれいだった。

はるか遠くで放置されたゴミが、洪水時に流れてきて、琵琶湖岸に打ち上げられる。

困ったことだ。

発生源と汚染地が異なるケースは、PM2.5と同じだ。

やはり発生源の対策をきちんとすべきだろう。

私たちにできることは、その経路を明らかにして、社会的な警告を与えることだろう。

せっかく美しい湖岸を、ゴミで埋めることはしたくないものだ。




2月24日(月)のつぶやき

2014-02-25 08:56:18 | 物語

夢(55)

2014-02-24 23:27:13 | ButsuButsu


江戸時代から、日本はアメリカの圧力に弱かった。

1854年3月31日に日米和親条約(日本國米利堅合衆國和親條約)を締結して鎖国を廃止した。

具体的には、日本はアメリカに対して燃料や食料を提供すること、船や乗務員を保護すること、下田・箱館(函館)の2港を開港すること、領事の駐在を認めること、最恵国待遇を認めること、であった。

1858年には、日米修好通商条約を結んだ。

この条約は以下の点で不平等な条約であった。

①関税自主権がない

②領事裁判権

③最恵国待遇

この時代に太平洋沿岸まで捕鯨にやってきていたアメリカに抗する力が日本にはなかったので、一方的に承諾せざるを得なかったのである。

鎖国のもとで独自の文化を育ててきた日本が、他国との戦争で勝ち残ってきた国と争えるはずもなかったのだ。

しかし、もしこれらの条約を締結しなかったらどうなっていたのだろうか。

もっともありうる可能性としては、列国に侵略されたのだろう。

その意味では、江戸幕府は当時における最善の決断をしたのかもしれない。

さて、ひるがえって現在をみるに、同じような状況になっている。

TPPはどうなるのだろうか。

力で押してくるアメリカに対して、果たして日本は抗することができるのだろうか。

この交渉の結果は、どちらに進むとしても、日本の歴史上重要なものとなる。

太平洋のほぼ全域を支配するアメリカと、汎チャイナを志向する中国とのはざまで、日本の立ち位置は江戸時代に重なってくる。

もっとまずい状態なのかもしれない。

身の丈に合ったしたたかな外交能力が必要とされているのだろう。

甘利さんがんばれ。

ただ彼の健康状態が心配だ。

長期交渉になったら彼は持たないだろう。

***

写真は、故・白倉一路さんである。

当時県会議員だった白倉さんは、先日亡くなられた板倉さんの膳所高校の同級生だった。

私たちは一緒に「遊湖の会」を組織して、無人ソーラーボート大会を開催していた。

やんちゃな先輩が二人も早逝された。

残念でならない。

強かで、嫋やかな日本人がいなくなっていく。

遊び心をもってアメリカと交渉すればよいのだ。

現代の国際交渉は、一種のゲームだから。

夢(54)

2014-02-23 23:56:12 | ButsuButsu


最近なかなかうまくいかないことが多い。

でも何とか生きていくことによって、よいことも来るだろう。

そう思って前を向いて生きよう。

琵琶湖でも多くの人がなくなってきた。

私が直接捜索したのでも、まだ湖底に4人の遺体が沈んでいる。

去年の夏、モンゴルへ行ってハドバータルに教えられた。

死者の霊を慰めることの大切さを。

民族の違いはないのだろう。

今年はなんとか湖上送り火を行いたいと思っている。

美しさは悲しさと表裏するのかもしれない。

これ以上の災害が来ないことを祈りながら、25日に琵琶湖の漂着ゴミの調査に出かける。


2月22日(土)のつぶやき

2014-02-23 08:50:03 | 物語

夢(53)

2014-02-22 15:28:06 | ButsuButsu


驚くような事件だ。

信じられない。

***

東京都内の公立図書館で、所蔵する「アンネの日記」や関連する本のページが破られる被害が相次いでいることが分かりました。

被害は、7つの区と市の36の図書館で少なくとも280冊余りに上り、届けを受けた警視庁が器物損壊の疑いで捜査しています。

***

どうも最近、我が国において全体主義的な傾向が増えてきているような気がする。

政府関係者の言動にしてもそうだが、個人の主張と公序が混雑されつつある。

かつて我が国はナショナリズムのもとに黒い利権構造がはびこり、隣国にまで踏み込んでいった。

今の社会体制の中に、同種の兆候を感じているのは私だけだろうか。

オリンピックを見ていてもわかることだが、多様な文化を認め相互の交流を図ることが、最終的に自己の国家や民族の繁栄につながることを忘れてはならない。

日本の将来が非常に心配だ。



第2次世界大戦の頃、オランダ国民はナチの迫害から懸命にユダヤの民を守ってきた。

日本人の中にも、同様にユダヤ人の亡命を助けた人々がいた。

これらは単なるヒューマニズムの問題ではなく、人類存続の根源にかかわる問題だろう。

気に入らなければ破棄する、という行為の中に異常さを感じる。

「はだしのゲン」閲覧制限に関する問題ともつながる気がする。

***

漫画「はだしのゲン」について,松江市教育委員会が2012年12月に松江市内の市立小中学校に対して閉架措置及び貸出閲覧制限を求めていたことが,2013年8月に報じられた。

この件は,その後新聞,テレビ等のマスメディアも大きく取り上げ,表現の自由,知る権利の保障,表現が子どもの教育に与える影響,歴史認識,図書館の在るべき姿や役割などをめぐって,各所で様々な議論を喚起するに至った。

また作品自体を改めて読み直す動きも起こり,増刷が行われていることも報じられている。

松江市教育委員会は,8月26日に臨時会議を開き,教育委員会事務局の手続きの不備を理由に閉架措置要請の撤回を決定した。

それを受け中国新聞社が行ったアンケートでは,市内の9割の学校図書館で既に開架したか,あるいは近く開架すると回答したと報じられている。

この一連の動きの中で,図書館関係団体が,要望や申し入れ等を行う動きがあった。

(中略)

なお,日本漫画家協会も,8月26日付けで,「本当に守るべきもの(意見書)」をウェブサイトに掲載している。

表現規制につながりかねない出来事が続いていることへの憂慮を表明したものである。

意見書は,

「日本はもっと自国の文化的な多様性を前向きに評価し,その自由さを保証する表現の手段について,可能な限り寛容でおおらかでいてほしいと,強く,強く願う。

そのことこそが,本当に起こってはならない『現実』への警鐘となり得る,と我々は信じているから。」

と結んでいる。

***

願わくば楽しく生きていける社会を維持したいものだ。

2月21日(金)のつぶやき

2014-02-22 09:46:36 | 物語

夢(52)

2014-02-21 11:08:20 | ButsuButsu


化石のような人だな、という印象がある。

人は、その立場で語る必要がある。

仮に心の中で思っていたとしてでもだ。

昨夜のフィギュアスケートを見て、このおじさんの勘違いに気が付いた。

***

ソチ五輪・フィギュアスケートの浅田真央選手について「大事なときには必ず転ぶ」などと森喜朗元首相が発言したことに対し、浅田選手の身近な人物からは20日「ひどい」「かわいそう」などと反発する声が上がった。

***

大事な時に必ず転んでいるわけではない。

そのことを昨夜、浅田は身をもって示した。

彼女は、失敗してでも飛び続けることに自分の意義を見出しているのだ。

そこがキムヨナと違うところだ。

無難なことでよいのなら、失敗しない演技に徹すればよい。

しかし、それは彼女の矜持にそぐわない。

このことは、バンクーバーオリンピックでのプルシェンコの抗議にもつながる。

おじさんは、そのことに気が付いていない。

エールを送ったつもりが、相手を傷つけてしまっている。

このようなことは、障害者スポーツでもよくある誤解だ。

見ている視線が全く異なっているのだ。

批評するときには、同じ目線に立ちたいものだ。

特に政治家や評論家は言葉に気をつけて欲しい。

***



演技後は万感の涙がこぼれ落ちた。

「SPはああいう形で終わって、すごく自分の中でプレッシャーを感じて。、ずっと悩んでいたけど、今日、こうしてバンクーバーから4年掛けてやってきたことが出せた。支えてくれた方々に最高の演技ができて嬉しかった」。

***

彼女にとってメダルは結果であり、こだわりはプロセスと一体になった結果なのだ。

そしてこのことが、豊かな時代に生きている今の若者の姿なのかもしれない。

2月20日(木)のつぶやき

2014-02-21 09:08:02 | 物語