琵琶湖の湖底に沈む古代の壺を見つけた。
昨年末に見つけた壺より、口が小さくて、長さも短いようだ。
用いたのは、「ほばりん」という名の、自律型水中ロボット。
東京にある、海上技術安全研究所が2年前に作った最新型だ。
かくいう私もそのプロジェクトに参加していた。
このロボットの特徴は、安定して航行し、測位精度が高いところだ。
ひたすら写真を撮り、湖底を撮影し、数時間後には浮上してくる。
深さ70メートルの水中にも風が吹いている。
というか、水が流れている。
そのせいか、壺は埋もれていない。
上から降ってくる堆積物が、吹き飛ばされるのだろう。
この世には、埋もれて見えないものと、埋もれなくて見えるものがある。
えらい違いだなと思う。
人間としては、できれば後者でありたいと思うのだが、そんなに都合よくいかない場合もある。
7月13日から17日まで、別のロボットを使って壺を撮影に行く。
今のうちに記録を残さないと、次回は埋もれているのかもしれない。
そんな焦りにも似た気持ちで、ひたすら湖底を見続ける。
そこには、誰も見たことがない、お宝が沈んでるかもしれない。
案外、歴史的な発見は、そんなひたむきな観察から見つけ出される。
まさに、琵琶湖の底は、日本のタイムカプセルなのだ。