「いっぽんどっこの歌」と言えば、水前寺清子のヒット曲だ。
自分の年齢がわかるようでちょっと気が引けるのだが、この「どっこ」は「独鈷」の意味で、密教の仏具だそうだ。
もとインドの武器と言われている。
彼女が仏教の歌を歌っていたとは知らなかったが、昔の人は、日本列島は独鈷の形をしていると考えていたようだ。
奈良時代の僧、行基(668~749)が作ったと言われる日本列島の地図は、独鈷の形をしている。
これは行基菩薩記に「我が国をもって、独鈷の形と習ふ方如何」という記述があるからだ。
この時代の人々にとって、日本列島は、独鈷のような棒状の地形だったのだ。
大日本国というのも、日本国を大きく見せるために言うのかと思っていたが、じつは大日如来の国という意味なのだそうだ。
昔の伝承に近い書物の話なので、真実のほどは明らかではないが、仏教の強い影響があるようだ。
独鈷を握る真ん中の部分はくびれた要所で、伊勢・湖海・北海に対応している。
伊勢は伊勢湾で、湖海は琵琶湖、北海は敦賀湾を指している。
実は、このくぼみは強い負の重力異常が存在する場所である。
東南海トラフでもぐりこんだフィリッピン海プレートが、この場所で下へと沈み込んでいるのだ。
昔から、大きな地震があった場所を示しているのだろうか。
面白い話だ。