王様の「秘密の参謀本部」

田端到&ビンゴ本郷の実験創作プロジェクト

「君は放課後インソムニア」マニアック解釈

2023-06-24 22:50:41 | エンタメ
●映画「君は放課後インソムニア」。完成披露上映会に続き、早くも2回目の鑑賞。気になるところがあり、それを確かめたかった。
 以下、ネタバレと独自解釈を含みます。読みたくない人は注意してください。


 感想その1。くるくる変わる表情を見ているだけで、幸せな気持ちになる森七菜ちゃん絶賛。原作の伊咲が抜け出してきて、そこに生きているかのよう。存在そのものがキラキラしている。
 奥平大兼くんも、ナイーヴな男子高校生の内向きさが、少しずつ外へ開いていく様を自然体で演じていた。


 森七菜ちゃんの肌に不純な視線を誘導して、それをひっくり返すこの場面が好き。

 感想その2。印象に残ったのは空の色だ。青春映画には似合わない、青くない灰色の空がずっと背景にある。北陸出身者にはよくわかる、湿気を含んだ空の色。
 この「どんよりした昼の空」と「キラキラした夜の空」の対比も、不眠症の大事な表現になっているように思えた。伊咲と丸太にとっての昼は、ずっとくすんだ色だった。

 でも、あの青くない空の色は意図的な演出なのか、たまたま撮影時にあの色だったのか、それがわからなかった。
 2回目の鑑賞でわかった。見附島を見つけました。あれは意図的な演出だ。なぜかというと、1箇所だけ(たぶん)、青い空が描かれているシーンがあったからだ。

 それはエンドクレジットと一緒に映される静止画の中だ。

 右画面に出演者やスタッフのクレジットが流れ、左画面に、星空観測会をもう一度開こうと準備する彼らの、その後の画像が流れる。屋上で次の観測会を準備する安斉星来や永瀬莉子の背景は、きれいな青空だった。
(なぜここだけ役者の名前かというと、単にふたりの名前を入れたかっただけw)

 この空の色の違いがたまたまだったら、無駄な深読みにずっこけるが、意図的だと思うんだよなあ。
 もうちょっと前、真脇遺跡のシーンの背景がすでにちょっとだけ空が青みを帯びていた気もするが、そこまではよくわからない。
 私が今も映画コラムの仕事をしていたら、池田千尋監督に聞いてみたいところだけど、誰かに任せるから聞いてくれませんか。

(*追記)感想その3。
 こんなふうに眩しい青春映画やマンガに対して「ぼくにはこんな青春なかった。森七菜ちゃんみたいな同級生もいなかった」ふうの感想はありがちだけど、この「君は放課後インソムニア」はそうじゃなくて、みんな自分の日常の眩しさに気付いてないだけかも知れないと思わせてくれる。

 地方の高校生の何気ない日常や友情がたくさん描かれ、そんな「よくある些細な出来事」が実はキラキラしていたんだと、この作品を見ると気付かされる。もしかしてオレの青春もけっこうキラキラしてたのかも、と思えるなつかしさと肯定感がわいてきて、戻りたくなる。
 まあ、戻れないから眩しいんだけど(笑)。
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