美 going on

長野県下の小中学校の図工美術教師による,毎日の「図画工作」「美術」の授業の様子を紹介します 

切り絵 試作その2

2014年06月19日 22時21分24秒 | 裾花中 美術の授業の時間です
裾花中,長崎です。

3年生の文化祭のシンボルマークデザインが終了したので,切り絵の題材に戻りました。

名前の切り絵を試作し,本製作用の仏像をそれぞれ選んだところでシンボルマークに入ってしまったこともあり,もう一つ試作を行うことにしました。

切り絵の方法を思い出すため,というのもあるのですが,もうひとつ理由がありまして…。

というのも,実は…,昨年までは,

①仏像の写真を白黒コピーする。
②トレーシングペーパーで輪郭線を写しながら,墨汁や黒のフェルトペンで白黒分けを考えていく。
③そのトレーシングペーパーを黒い用紙に,貼って剥がせるスプレーのりで貼り付けて,切り始める。

という手順でやっておりましたが,トレースに時間がかかる上に白黒分けがうまく出来ずに,途中で意欲をなくしてしまう生徒が少なからずおりました。

そこで今年は思い切って②の行程をカット!

コピーをそのまま黒の用紙に貼り,白黒分けをその場で考えながら切り進めていく,という方法で行うことにしました。
白と黒のバランスを見たり,構図を考えたりするのも大事な評価の観点だとは思うのですが,切り進めながらでも,白黒分けを考えることは出来るような気がします。

切り絵の方法って,いろいろあると思うのですが,どんな方法がベストなのでしょうか…?


さて,授業の方に戻ります。
今回の試作は,建物。
法隆寺の,五重塔または夢殿のどちらかを選んで取り組みます。
大きさはB6にしてみましたが,ちょっと小さかったかな?


わかりやすいところから切り始め,黒がつながるように意識しながら切っていきます。

ときどき裏から見ながら,バランスをチェック。

どこを白にしてどこを黒にすればよいかわかるかなぁ,と心配だったのですが,意外とうまく白黒を分けられているように思います。

1時間でだいたいこのくらいまで切り進めることが出来ました。


次回もう1時間続きを切り,完成したところから,自分の本制作の方に移っていく予定です。



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古い道具を描く 

2014年06月18日 22時20分57秒 | 過去の題材
裾花中,長崎です。

比較的手軽な短時間題材ばかり紹介してきているような気がするので,たまには絵画表現も。

これは5年生で行った題材です。
そのクラスは,資料室の整理などを行っていたことがあり,普段からモチーフになった道具類は皆,目にしておりました。

しかし,それらがどのように使われるものかわからないものもあり,みんなでその古い道具類を資料室から引っ張り出し,教室へ運びました。


年配の先生方にお聞きしたり図書館で調べたりして,その道具が当時どんな役割を持っていたのか,想像したりしました。


その後,気に入った道具を絵に表しました。

画材は基本,選択で。
形のゆがみは気にせず,どっしりとした年季の入った感じを表すことを大事に,墨汁で輪郭を描いた子が多かったです。


木製で古い物が多いので,放っておくと茶色の絵の具をそのまま使ってしまうところを,物の明暗を見ながら,いろいろな色を混ぜながら色を付けていくようにしました。


指導者側からすると,少々技法に走りすぎたかな?という反省もありますが…,どの子も満足感いっぱいの作品に仕上げることが出来ました!

実はこの題材。
学校美術館(よしだアートプロジェクト2009)を作り上げたあとの題材です。

表現することの本当の楽しさを学ぶと,こんな普通の題材であってもその高まりが見事に反映されていくのですね…。



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小学校6年生 長崎先生最後の授業

2014年06月17日 21時05分49秒 | 過去の題材
裾花中,長崎です。

私が小学校6年生の最後の授業で行う題材です。

『ココロ 12歳』

この題材の元ネタは,元櫻ヶ岡中のN先生が中2で行っていた題材です。
小学校の子どもたちにも十分表現可能だと思い,私は担任として卒業を迎えた4クラスでこれまで行ってきました。

全2時間,もしかすると1時間で行った年もあったかもしれません。


紙粘土を配り,まず真ん丸にします。
つるっつるの真ん丸。
「生まれたときは,きっとみんなこんな形だったのかなぁ」などと話しながら,子どもたちは,2歳,3歳…,と自分が成長するのに合わせ,紙粘土を変形させていきます。

さあ小学校入学。先生に一番怒られたのは誰だ?
友だちと大げんかしたこともあるよね。
あ,ココロに穴が空いちゃった人がいる!
おっと,2つに分かれちゃってる~。
などと,おもしろおかしくみんなと会話しながら,

「ここは児童会でがんばったところ。だからとんがらせる」
「組み体操の感動で成長した。ハートっぽくしよう」

と,卒業を迎える今の自分の形を作ります。


そのあとすぐ,着色に入ります。
色は,蛍光のアクリル絵の具。


乾かす間もなく,着色していくので,次第に色が混ざって汚くなってしまう子もいます。
「12年間でココロも汚れちゃったねぇ。」と冗談を言いながら…。


そしてクライマックス。


あらかじめ暗幕を引いた部屋を別に準備しておき,作品を持ってみんなでそこへ移動します。
部屋の真ん中に作品を置きます。
BGMは,ミスチルの「ギフト」

みんなでカウントダウン。

「3,2,1,0!」
ブラックライトのスイッチオン。


わぁぁ!という歓声!

「小学校生活の中で,みんなのココロはいろんな形になった。
穴があいたり,ねじれたり。
色だってぐちゃぐちゃになっちゃったかもしれない。

でもね。
みんなはこんなに光ってるよ。
たくさん可能性を持っているんだ。

大丈夫。
これからだって,もっともっと光り輝ける。
みんながんばってね。」

こんな話を最後に,授業を終えます。


そのときそのときの卒業生との想い出があるので,本当はあんまり紹介したくなかった題材なんですが…もし参考になればどうぞ~。


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中学3年生の最後の題材 大募集!

2014年06月16日 21時16分44秒 | 裾花中 美術室から
裾花中,長崎です。

湯本先生から石のオブジェ(お守り)【6/15投稿】,坂井先生からはペットボトルのタイムカプセル【5/15投稿】,と,お二人の先生から,中3の最後の題材の紹介をしていただきました。

義務教育最後の題材となると,生徒たちに対する私たち教師の思いがいっぱい込められた題材になるのではないかと思います。

そういう私は昨年度まで,木製の箱(彫刻)作りでした。
小学6年生っぽくて,ごめんなさい。
最終の時数調整がしやすいというのがよさです…(笑)

なんて,冗談ですよ。


さて,これをご覧の美術科の先生方は,どんな題材で中3をしめくくりますか?
中1のオリエンテーションと同じくらい,私は興味があります。

「こんな題材をやってるよ」という先生がいらしたら,メッセージかコメントをいただけるとうれしいです。

よろしくお願いします!


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これからの私を支える お守り

2014年06月15日 00時34分31秒 | 湯本
2年ほど前からはじめた題材です。
3年生の最後の題材として12月から取り組みます。卒業していく生徒たちに何を残せるだろうと考えて、お守りをつくることにしました。材料は篆刻でよく使う高麗石です。受検を控えた生徒たちがもくもくと石を削り、ピカピカになるように一生懸命磨きます。どんな生徒もよく取り組んでいます。今年もつくろうと思います(^^)



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「学校の怪談」  紙粘土で妖怪を作ろう!

2014年06月14日 23時02分59秒 | 過去の題材
裾花中,長崎です。

今日ご紹介するのは,紙粘土で作る立体作品。
題材名は『学校の怪談』。

小学校6年生で行った題材です。

子どもは学校の七不思議だとかこわい話が大好きです。
トイレの花子さんや,目が動くベートーベンの肖像画ですね。

そんな,学校に住む妖怪を想像して,立体で表してみよう,という題材です。


妖怪の名前。どこに出るのか。
どんないたずらをするのか。
などなど,もちろんその妖怪の設定までしっかり考えて,作り込んだ作品カードと共に展示します。


大小いろいろな大きさの動く目玉を準備しておくと,使い方によっておもしろい表現になります。


放送室に住んでいる,マイクの妖怪。
勝手にしゃべって放送をじゃまする,ちょっと困ったところがある反面,アナウンスはとても上手!


宿題のプリントの形をした妖怪。
正しい答えを書いたはずなのに,次の日になると数字がめちゃくちゃ!

子どもたちの発想にはいつも驚かされます!

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感動の市中大会 壮行会 “各部の垂れ幕” 新作お披露目!!

2014年06月13日 23時02分10秒 | 裾花中 美術部だより
裾花中学校,長崎です。

本日6時間目,市中大会の壮行会が行われました。
前回は陸上部だけの壮行会でしたが,今回はほとんどの運動部が参加する壮行会。
これにあわせて美術部では各部の垂れ幕を準備していました。


昨年度から始めたこの制作,ステージバック制作にたずさわることのできない1・2年生が中心になって作っています。

ステージバックは主役なので失敗は許されません。
3年生の思いを尊重すると,技術的にレベルに達していない生徒はなかなかステージバックにかかわらせてもらえません…。

そこで,1・2年生がペアになって1つの垂れ幕を責任持って制作することで,技術も向上,3年生にも認めてもらえる,という具合に,いいことづくめの制作となっています。


本年度の新作は,真ん中の文字は“誠”。ステージバックのテーマとつながっています。
昨年同様各部をグラデーションで並べています。


もう一つ,本年度は下部に半円を配置,ボールや防具などそれぞれの部にちなんだ物を立体的に描きました。
2年生がよくがんばりました!


日本一の吹奏楽部の演奏で入場! 正面に美術部制作のステージバックと垂れ幕!
いや~ぞくぞくするような感覚です!

壮行会用に美術部がステージバックを制作する学校というのは,全国的にも少ないのだと校長先生に教えていただきました。

我々美術部とすると,運動部の皆さんを応援することができるこういう発表の場を与えていただいていることは,大変誇らしく思いますし,この上ない喜びです。


本日最後に,もう一つうれしかったこと。

本校の壮行会には,保護者の方々が多数参観にいらしていただいていますが,壮行会終了後,たくさんの皆さんがステージをバックに記念撮影してくださっていました。


こんなことも,今までなかったことです。
本当にありがとうございました。


「先生,でもね。

そんなに褒めてくれなくてもいい。

全校のみんなに喜んでもらえること。

壮行会を支えて,影ながら運動部を応援できること。

それだけで,私たちは十分なんです!」

(ある美術部3年生の言葉)


大丈夫。みんなの気持ちは十分伝わってると思うよ!


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星花祭シンボルマーク 

2014年06月12日 23時39分54秒 | 裾花中 美術の授業の時間です
裾花中学校の文化祭は「星花祭」といいます。

文化祭は9月末ですが,すでにメインテーマも決まりました。

『笑』~心を一つに創り出せ最高の笑顔~』

このシンボルマーク作りは美術の授業で制作することになっています。
3年生の切り絵制作をしばらく中断し,全3回で,作品を完成させます。

初めてこのテーマを聞いたときは,美術科の側からするとなかなか発想の広がりが期待できず「なんて難しいテーマ…。」という感想でしたが,あえて『笑』にとらわれることなくアイデアスケッチをしていったら,バラエティにとんだ作品が出来上がってきました。


これはあるクラスのシンボルマーク候補の一部。

10㎝四方の用紙に,色鉛筆で着彩です。
あえてニコニコマークを描かない作品が,なかなかいい感じ。

よし!文化祭のステージバックも,ニコニコマークは絶対描かない,という縛りでいこう!!



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壮行会ステージバック 制作過程大公開~その5~

2014年06月11日 22時38分21秒 | 裾花中 美術部だより
裾花中学校,長崎です。

壮行会の制作過程の披露も今日で最終回です。

今回のステージバック。
何かのアニメなどのモチーフがあるわけではありません。
ポーズや顔,髪型すべてオリジナル。
刀などの小物や女の子の着物も十分リサーチして研究済み。
こだわりが満載!
だからこそ,今年の3年生はすご~い!のです…!

アイデアが秀逸だなあと感じたことがもう一つあります。
この,新撰組のそれぞれの剣士は,各部のイメージを反映しています。

例えばこの剣士は,着物が赤と黒の縦縞になっていますね。


実はこれは,裾中サッカー部のユニフォームの柄と同じなのです。

ん~,よくできてる!

これと同じように,11人の剣士それぞれの着物で各部活動を表すために,3年生は部活動以外の時間にあらかじめあちこち取材をしてくれていました。


ただ絵を描くのが大好きで楽しい,という自己満足ではなくて,同じ学校の仲間に対する何か特別な思いを感じます。

私がこの学校に赴任してから3年。
今の3年生は私が一から指導してきた生徒たちでもあり,絵を描くことが他の人に力を与える,他の人の喜びになる,それが自分の喜びにつながるんだ…という“絵を描く”ことの本当の楽しみをわかってくれているのかなぁ,となんだかうれしく思っています。

そんな,美術部の思いがたくさん込められたステージバックを背に,次回はあさって,市中大会の壮行会が行われます!
がんばれ!裾花中学校!!


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壮行会ステージバック 制作過程大公開~その4~

2014年06月10日 21時44分50秒 | 裾花中 美術部だより
裾花中,長崎です。

壮行会のステージバックも最後の日曜部活を終え,全体に色が入ると,いよいよ最終段階です。


細かなところ。塗り残しや,はみ出し,汚れなどを直しながら,全体のデッサンを見直しながら,着物の色を入れていきます。
ここまでくると,新入部員の1年生にはできません。
2年生と3年生で行います。


例えば油絵など,100号以上の大きな絵を描いたことのある方は分かると思いますが,近くばかりを見て描いてると,自分では合っているつもりでも。遠くから全体を見ると,デッサンが狂っていたり,立体感がおかしかったり,などということはよくあります。

だからこそ,離れて見ることはすごく大事なのですが,ステージバックのようにここまで大きな作品となると,掲げてみるまでは全体像がつかめません。

子どもたちは,机に上って上から見てはいますが,それでも,顔と手の大きさなど,少し離れたものの対比はなかなかできません。
「手,大きいかな。小さいかな。そっちから見てどう?」などと,全員でいろいろな方向から見ながらの制作です。
今回一番苦労したのは,もしかしたらそんな部分かもしれません。


タイムリミットの1日前。6月3日。
はおりの影を入れることができました!


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