西風に吹かれて

日本の西端にある基地の街から、反戦や平和の事、日々の雑感を綴ります。

父の原稿

2010-08-25 20:35:59 | 日記
父は、私立高校で国語の教師をしていた。

そして、地元の雑誌や新聞に、随筆や雑文を書いたりもしていた。

11年前に亡くなったとき、書きかけの原稿や、草稿と思える走り書きの文章などが出てきたが、
整理もせずにそのままにしていた。

佐世保在住の郷土史家の方が読みたいということで、段ボール箱に詰めてお貸ししたが、
すっかり忘れてしまっていた。

先日、その段ボール箱が帰ってきて、ぼちぼち開いて読んでみたりしている。

中には、地元放送局のラジオドラマのシナリオや、青年団の文化祭で上演される劇の台本などもあり、
「へぇ~、こんなものも書いてたんだ。」と驚いたりもした。

そして、その中から「詩」の原稿が出てきたが、この詩は、私も覚えていた。

S自動車の観光パンプレットのために書かれた詩で、夕焼けの九十九島の写真と一緒に
巻頭を飾ったのだった。

原稿は2種類あって、1枚は紡いだ言葉が逃げないよう大急ぎで書いたと思われるもの、もう1枚はそれを清書したと思われるものだ。

おかしいのは、詩の題名がそれぞれに違う事だった。
「落日の歌」と「西海夕映頌」、父はどちらを付けたかったのか?

今となっては、もう何も分からない。

     

青から朱への変貌
そして 暗黒への突入―
その「そして」の時間

宇宙の半円を紫に染め
支那海の空をもやし
数百の島を黄金の島とし
真紅の太陽
荘厳の終焉
久方の光の
落日

暗黒へ移行する一瞬
東天に星の気配が動く時
―人間は神になった


今日から明日への推移
そして 未来への希望 
その「そして」の断面

地球の自転を紫で塗り
異国の空をこがし
数万の銀波は水平から寄せ
真紅の太陽
神秘の誕生
千早ぶる神の
開宴

明日を信ずる一瞬
幸福へ祈りをささげる時
―人間は天国へ歩いた