10月16日の新聞各紙の朝刊に、佐世保市水道局発行の「水道だより」が折り込まれてきた。
「水道だより」は2004年6月に第1号が発行されて以来、現在まで不定期に14号まで発行されている佐世保市水道局の広報紙だ。他に「水道だより」特別号が2度発行されている。
今回は「特集号」としてあり、特集と銘打ったのは初めてのことだ。
内容は、9月6日に事業認定の告示が行なわれた「石木ダム」についてだ。
石木ダムの事業認定申請は、4年まえの平成21年11月9日に事業認定庁に提出された。この事業が認定されれば、土地の強制収用が可能になることから、私たちは強く反対し申し入れも行なってきたが、長崎県も佐世保市も佐世保市水道局も「あくまで話し合いの進展を図るため」として事業認定申請を行なったのだ。
今年、事態は大きく動いた。
1月、水道局は5年毎に行なっている厚労省の再評価を、「再評価委員会」を立ち上げず水道局に常設されている経営検討委員会に諮問したが、この委員会の委員8人のうち3人は、「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の構成団体のメンバーであった。そして、もう1人、川棚町の「石木ダム建設促進川棚町民の会」が行なった講演会で、ダム推進の立場から「ダムを作って町起こしをしよう。」と話したホテル・旅館業組合の理事長も入っている。メンバーの半分がダム建設に賛成であり、とても公平・公正な第三者機関とはいえない委員会が出した結論は当然ながら「ダム建設が必要」というものだった。
3月、川棚町で公聴会が行なわれた。
公平に判断しても、ダム建設反対の意見が、賛成意見を論破している。
この後、「社会資本整備審議会公共用地分科会」で審議され、その結果「事業の認定をすべきであるとする九州地方整備局長判断を相当と認める。」と議決されたが、この審議会での委員の意見は(議事要旨)ダム建設には全て懐疑的である。
・自治体が過去に見積もった水需要が実態と乖離し、財政処理に困っている例も見られる。利水起業者が、将来にわたって事業費を負担することが可能なのか、途中で撤退することがないのか。
・渇水と洪水の対策として理解しているが、工場用水もあるため、人口が全体として減少する中では、最終的に企業のためだけという形にみられてしまうのではないか。
・用地の取得状況について、ダム事業にしては、未買収の率が高いような気がする。
・山林の保水力を鑑みれば、山林を開発する施策を行なう一方で、ダムを作るという関係は、今後の洪水・利水対策などの論議で、もう少し深く議論する必要があるのではないか。
これだけの意見が出ながら、それでも「石木ダム」は事業認定されてしまった。
認定後の記者会見で「あくまで地権者との話し合いのための申請だ」と言っていた知事は「理解が得られない場合は(強制収用が)選択肢としてありうる」と発言を転換している。
こうした流れの中で今回の「水道だより」は発行され、当然ながら「石木ダム」建設に懐疑的な意見など皆無である。ダムによって得られる公共の利益には1ページを割いているが、失われる利益の紙面は3分の1。それも、魚や鳥や植物についてのみで、そこに住み続けたいと願っている地権者13世帯60人については、一言の言及もないのだ。
そして、
〇現在でも水が不足している(これまでで最高の参加者と発表された「よさこい祭り」の期間ですら安定水源77,000トンからおつりがくる状況で水は不足していない。)
〇将来も水が不足する(水が必要だとする根拠だったSSKの工場用水は、SSKの経営縮小・人員削減で根拠がなくなった。)
〇安定して取水可能な水源確保が必要(上記のことにより、水源確保は必要とはいえない。)
〇緊急性がある(石木ダムの計画から50年。これまでダムが無くても生活してきた。平成6年の渇水からでも、もう20年が経過している。どこに緊急性があるだろうか。)
ということを、2ページにも渡って書いてあるのだ。
無駄な公共事業に税金を投入せず、佐世保市水道局は、もっと現実を見るべきではないか?
3年前には、赤字で水道料金を値上げし、一般会計から毎年2億円の繰入金を支援してもらっている企業なのだ。このようにりっぱなカラー刷りの「水道だより」を新聞折込で配布しないことだ。この特集号にかかったお金はどれほどなのだろうか。
「水道だより」は2004年6月に第1号が発行されて以来、現在まで不定期に14号まで発行されている佐世保市水道局の広報紙だ。他に「水道だより」特別号が2度発行されている。
今回は「特集号」としてあり、特集と銘打ったのは初めてのことだ。
内容は、9月6日に事業認定の告示が行なわれた「石木ダム」についてだ。
石木ダムの事業認定申請は、4年まえの平成21年11月9日に事業認定庁に提出された。この事業が認定されれば、土地の強制収用が可能になることから、私たちは強く反対し申し入れも行なってきたが、長崎県も佐世保市も佐世保市水道局も「あくまで話し合いの進展を図るため」として事業認定申請を行なったのだ。
今年、事態は大きく動いた。
1月、水道局は5年毎に行なっている厚労省の再評価を、「再評価委員会」を立ち上げず水道局に常設されている経営検討委員会に諮問したが、この委員会の委員8人のうち3人は、「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の構成団体のメンバーであった。そして、もう1人、川棚町の「石木ダム建設促進川棚町民の会」が行なった講演会で、ダム推進の立場から「ダムを作って町起こしをしよう。」と話したホテル・旅館業組合の理事長も入っている。メンバーの半分がダム建設に賛成であり、とても公平・公正な第三者機関とはいえない委員会が出した結論は当然ながら「ダム建設が必要」というものだった。
3月、川棚町で公聴会が行なわれた。
公平に判断しても、ダム建設反対の意見が、賛成意見を論破している。
この後、「社会資本整備審議会公共用地分科会」で審議され、その結果「事業の認定をすべきであるとする九州地方整備局長判断を相当と認める。」と議決されたが、この審議会での委員の意見は(議事要旨)ダム建設には全て懐疑的である。
・自治体が過去に見積もった水需要が実態と乖離し、財政処理に困っている例も見られる。利水起業者が、将来にわたって事業費を負担することが可能なのか、途中で撤退することがないのか。
・渇水と洪水の対策として理解しているが、工場用水もあるため、人口が全体として減少する中では、最終的に企業のためだけという形にみられてしまうのではないか。
・用地の取得状況について、ダム事業にしては、未買収の率が高いような気がする。
・山林の保水力を鑑みれば、山林を開発する施策を行なう一方で、ダムを作るという関係は、今後の洪水・利水対策などの論議で、もう少し深く議論する必要があるのではないか。
これだけの意見が出ながら、それでも「石木ダム」は事業認定されてしまった。
認定後の記者会見で「あくまで地権者との話し合いのための申請だ」と言っていた知事は「理解が得られない場合は(強制収用が)選択肢としてありうる」と発言を転換している。
こうした流れの中で今回の「水道だより」は発行され、当然ながら「石木ダム」建設に懐疑的な意見など皆無である。ダムによって得られる公共の利益には1ページを割いているが、失われる利益の紙面は3分の1。それも、魚や鳥や植物についてのみで、そこに住み続けたいと願っている地権者13世帯60人については、一言の言及もないのだ。
そして、
〇現在でも水が不足している(これまでで最高の参加者と発表された「よさこい祭り」の期間ですら安定水源77,000トンからおつりがくる状況で水は不足していない。)
〇将来も水が不足する(水が必要だとする根拠だったSSKの工場用水は、SSKの経営縮小・人員削減で根拠がなくなった。)
〇安定して取水可能な水源確保が必要(上記のことにより、水源確保は必要とはいえない。)
〇緊急性がある(石木ダムの計画から50年。これまでダムが無くても生活してきた。平成6年の渇水からでも、もう20年が経過している。どこに緊急性があるだろうか。)
ということを、2ページにも渡って書いてあるのだ。
無駄な公共事業に税金を投入せず、佐世保市水道局は、もっと現実を見るべきではないか?
3年前には、赤字で水道料金を値上げし、一般会計から毎年2億円の繰入金を支援してもらっている企業なのだ。このようにりっぱなカラー刷りの「水道だより」を新聞折込で配布しないことだ。この特集号にかかったお金はどれほどなのだろうか。