西風に吹かれて

日本の西端にある基地の街から、反戦や平和の事、日々の雑感を綴ります。

付替え道路工事再開198日目

2017-05-31 20:31:35 | 石木ダム
午前7時35分、ダム事務所前を通過。



ダム事務所の駐車場には、もう次長や建設係長の車が止まっている。これは今日も現場に入るに違いない。ひょっとして、もう入っているかもしれない。

あわててゲート前に上がった。 まだ、現場には誰も入ってはいないとのことだ。

昨日取り払われたゲートがどうなっているのか気になっていたが、また竹を組み合わせて新しいゲートが作られていた。


鉢巻きを締め、ゼッケンをつけゲート前に座り込もうとしたとき「県が来た!」との声がする。

ゲート前にだろうか? しかし、地権者のみなさんは下のほうに走って行かれている。じゃあ、河川敷の入り口か? だが、まだ止まらないで走られている。私も後ろに付いて必死に走る。

堰の入り口には、いつも業者が乗ってくる白いマイクロが止まっている。



結局、ダム事務所職員と業者はM採石場下の堰から現場へ入ったのだ。

堰に着いたときには、もう最後の業者が現場に入るところだった。



午前7時50分、職員・業者15人が中に入り、すぐ工事を始めた。

現場に入られてしまったら、もうなすすべがない。

私たちも、ゲート前に椅子を並べて座り込みを始めた。

今日はゲートの近くに、若いガードマンを配置させ、私たちと向き合うかたちになった。



現場では、草木が茂って緑に覆われていた山肌を削り取り、赤い土がむき出しになっている。

久しぶりに取材に来た新聞記者が、「工事が進みましたね。」と言ったが、進んではいないのだ。
ただ山肌を削り取っただけなのだ。



座り込みを続けるあいだ中、シャベルカーが土を掘りそれをトラックが下まで運んでくることを繰り返した。

そのうち、巻かれた金網を乗せて軽トラックが里山の上のほうへ登って行った。



ここの現場は、作業ヤードをネットで囲み、現場詰所は見えないように銀色のフェンスで囲み、監視カメラを11台も付けるという前代未聞の現場だが、まだこれ以上金網で囲まなければならないところがあるのだろうか?

結局、私が座り込んでいる間は大きな動きはなく帰って来たのだが、午後から県職員がゲート前までやって来て、放水する地権者のみなさんの姿をビデオに収めたということだ。

どうやら県は、何らかの画策をやっているのではないだろうか?

しっかり様子を見ておかなければならない。


付替え道路工事再開197日目・攻防5

2017-05-30 18:59:32 | 石木ダム
午前7時40分、ゲート前に上がるとカーン、カーンという金属音が鳴り響いている。



これはもう県職員と業者が現場に入っているに違いない。
急いでテントに向かいゼッケンをつけ地権者のみなさんや支援者のみなさんと一緒に並んだ。

地権者のみなさんは午前5時30分から見張りに立たれ、ゲート前だけでなくあちこちにある現場への通路も見て回られていたようだが、それより前に県も業者も現場に入っていたのだ。

ダム事務所の次長、建設課長、係長の姿が見えている。他に本庁からの応援者がいる。今朝は県職員・業者13人が入っているようだ。




現場の様子を見ていると、トラックに小さなクレーンが付いているユニック車が、急にゲートに近づいてくる。

この車を外に出すのかと思っていたが、このユニック車でゲート入り口右側にあった大きな告示板を左に移動させた。



建設課長は大きなカッターを手に動き回っている。どうやらゲートを閉じている番線を切ってゲートを開けるつもりのようだ。



こちらもみんなで水をかけ徹底抗戦だ。



一旦、業者も県職員もフェンスで囲まれた現場の中へ引っ込んだ。


それもつかの間、「下だ!下!」という声がして河川敷入口辺りを見ると、10人を越す業者が集まって、ユンボを動かしている。

みんなゲート前から急いで移動した。



てっきり現在行われている県道の拡幅工事だと思っていたら、付替え道路工事を請け負っている業者が、M採石場の向かいにある空き地を整地している。



ここに3社の企業体事務所をプレハブで立てるのだという。

現在、この3社はダム事務所の2階を借りて事務所にしているが、ダム事務所自体が近いうちに移転することになっているので、3社も移転しなくてはならない。

それで、現場に近いこの場所にプレハブの事務所を立てることにしたらしい。

しかし、こちらとしてはこんなところに事務所など立てられてはたまらない。

私たちがゲート前で業者の入場を阻止しても、この事務所裏から川に下りればすぐに現場に入れるのだ。

「冗談じゃない!」すぐに総代さんがダム事務所に電話をかけ抗議された。



中断したのでゲート前に戻ると、業者がゲートの番線を切り、フェンスを開け私たちが張っていた黒いビニールシートを取り上げようとする。



そこで取られまいとこちらも引っ張り、綱引き状態になった。

午前10時、またパトカーがやって来た。

警察官が「皆さん落ち着いて下さい。一旦、下がってください。」と私たちを制止しようとする。





私たちも警察に激しく抗議した。「私たちばかりに言わず、県にも言いなさいよ。」「あんたたちは権力の味方ばかりして!庶民の味方をせんね!」
警察が私たちを制止している間に、業者は完全に正面ゲートを取り払い立ち入り禁止のロープを張った。



私たちもそのロープに横断幕を結び付け抗議!

昼食後、みんなフェンスが無くなったゲート前で座り込み。プレハブを建てることにしていた業者は今日の建設を中止した。



夕方、開け放たれてしまったゲートを閉じようと地権者のみなさんがいろいろ工夫をされたらしいが、県はまた警察を呼んだらしい。

まったく信じられない工事現場だ。

何かあるとすぐに警察を呼ぶ。そして、警察に守られて工事をやるのだ。

これから先、まだまだ大変な困難が待ち受けているだろうが、みなさんと一緒に戦っていく決意だ。




付替え道路工事再開194日目

2017-05-25 21:11:38 | 石木ダム
今朝は7時10分に、県職員2人と業者5人が現場に入った。



石木ダム建設現場は里山に囲まれていて、車や重機を搬入するための道路は現在1ヶ所しかないが、人が入れる道は無数にある。

その中でも一番楽な進入口である浦川内から入ったらしい。この出入り口前では、行かせまいとする地権者側と入ろうとする県・業者とで激しく対立してきた。

この出入り口のすぐそばには、新興住宅地があり他所から引っ越して来た家族もいる。そのため、こうばる住民が長年にわたってダム建設に反対し続けていることを知らない人も多い。

住宅地の近くで騒動があるのは困るので、この出入り口からは出入りしないで欲しいと申し出があり、県も申し出を受けたはずだった。

しかし、今朝はその浦川内から入ったのだ。 地権者のみなさんは地域住民との約束だから入るはずはないと、見張りもしていなかったのだ。いつものことながら、汚いやり方だ。


22日には警察まで呼んで工事を続行しようとしていた、新たな現場への道づくりは中断したままになっている。



今日はその工事の続きをやるのだと思っていたら、里山の中腹にある監視カメラの点検や現場内の道作りをやっている。





何だかおかしい。

先日の「河川工事を勝手にやっていいのか」という抗議には、「我々が河川管理者だからいいのだ」と建設課長は答えたのだ。

しかし、取材に行ったマスコミにダム事務所所長は「河川敷から現場まで5メートル幅の進入路を作る。川には水が流れるようにコンクリートの土管を敷き、その上を車が通れるようにする。書類が揃ったら工事を進める。」と言ったらしい。

やはり22日の工事は、申請もせず勝手にやっていたのだ。

河川法第26条では河川区域内の土地で新たな工作物を作るときには、河川管理者の許可が必要となっているし、第27条では河川区域内の掘削や盛土をする場合でも管理者の許可が必要だとなっている。

つまり、県は河川管理者かもしれないが工事をするのは業者なので、業者が許可申請書を出して県から許可を受ける必要があるのだ。

それをやらずに工事をやっていたということだろう。

許可が出るのはいつ頃なのか?

新しい現場への道路工事の再開が延びればいいな~。

そうすれば地権者のみなさんもつかの間の休息ができるだろう。

現場の中にある電柱にはアオサギが止まっている。




工事再開が延びることを願いながら、みなさんと一緒に座り込みを続けた。


付替え道路再開191日目・攻防4

2017-05-22 19:22:47 | 石木ダム
県は今日も警察を呼び入れた。



午前7時30分、ゲート前に上がると地権者・支援者のみなさんが河川敷の入口やゲート前に集まって現場を見ている。
急いで行ってみると、県職員と業者がもう中に入ったのだという。

地権者のMちゃんが仕事に向かおうとしたところ、不審なマイクロバスがUターンするのが見え、すぐさま皆さんに連絡がいったのだけど、一足先に県職員も業者も現場に入り間に合わなかったのだ。

7時40分、ゲートの向かって左手の里山から11人の人影が下って来た。



それより左手の監視カメラのところにも職員2人の姿が見え、現場に入ったのは県職員8人に業者5人の13人だ。




県は大型の重機を現場に入れたいのだが、入れられる通路はゲート前だけしかない。

だから、私たちもこのゲートを開けさせないように必死で闘ってきた。



しかし、ここにきて県は方針転換をしたようなのだ。

ゲートを開ける目途が立たないので、河川敷へ降りる道路と続けて川の向こう岸の崖を壊して、道を作るつもりなのだ。


業者はすぐさまユンボに乗って作業を開始した。



あっというまに木々はなぎ倒され、崖も壊された。



もうこれは、こちら側から黙って見ているわけにはいかない。

地権者のみならず、共有地権者である私たちも工事を止めなければならない。

数人の男性が川を渡り、現場のすぐそばで座り込まれた。私もゲート前まで幟を取りに走り、川を渡ってみなさんの傍で座り込んだ。





「勝手に河川工事をしていいのか?」と地権者の方が聞くと建設課長は「私たちが河川管理者なんでいいんです。」と言う。
本当にいいのか? 疑問を持ちながら座り込みを続けた。


建設課長と係長がこの場所から退く様に言い「警告しましたよ。」と念を押す。

この「警告した」と言うのが危ないのだ。先日も「警告した」を繰り返した後に警察に通報したのだ。

今日も危ないかもしれない。 ただここで座り込んでいるだけだから逮捕はできないだろうが、拘束はされるかもしれない。


そう思っていた矢先、目の前にパトカーが止まった。仕方がないので現場を離れて、河川敷を川下へ歩き堰から上り、道路に出た。

今日は、警察車両が7台来たとのことだ。



その警察が仲介して、「このような河川工事は近隣住民に周知させてから行うべきだ」として「今日はもう工事を行わない」ということになった。

川からみんな引き上げてきた途端、県も業者も工事を再開した。



いま、今日の工事はやらないと約束したのに、すぐ再開するなんて言語道断ではないか!

また川を渡って現場へ向かい、みなさんと一緒に抗議した。





再度、警察も来てやっと今日の工事は中止になった。

しかし、壊した川岸の石垣のそばには、またもや監視カメラを設置。本当に異常な工事現場だと言わざるを得ない。





目の前にあった緑の里山がどんどんと壊され赤土がむき出しになる。

何年もかかって大きく育った木々が、機械で一瞬にしてなぎ倒されていく。



こうやって日本全国の公共事業は行われてきたのだ。戦後の日本では本当に必要な公共事業も多くあったに違いないが、いまや大手ゼネコンと政治家が手を組んで必要のない公共事業が行われている。

そして、その最たるものがこの「石木ダム」なのではないだろうか。




付替え道路工事再開189日目

2017-05-18 20:00:46 | 石木ダム
午前7時30分、ゲートに上がる途中の堰のところにHさんが立って、下から上がってくる車を確認されている。



少し先の河川敷の入り口にも4人の地権者の方が立たれている。



ひょっとして県職員と業者が現場に入ったのだろうか。

ゲート前にもたくさんの地権者の姿が見える。 やっぱり現場に入られてしまったのだ…。

急いでゲート横のテントへ向かう。ゼッケンをつけ鉢巻きを巻いて準備をしゲートへ向かった。

しかし、現場を除いても人影はない。



地権者のみなさんに聞いたら、「昨日6時に入られたから、今日はみんな5時に集合して警戒しよったとよ。」とのこと。


「大変だったね。」と言いながら情けなくなった。

佐世保市は過大な水需要予測を立て、この石木ダム建設を推し進めている。

佐世保市の水は、今でも現在ある水源で十分足りているし、日量9.000トンを越えている漏水を改善させれば水の心配などないのだ。

佐世保市が「ダムは必要ない!」と言いさえすれば、工事は止まる。

佐世保市民の一人として、石木ダム建設をイケイケどんどんで推進する市長や市議しか選出できなくて、こうばるのみなさんには申し訳ないし、本当に情けない気持ちでいっぱいなのだ。


午前8時を過ぎ、9時を過ぎてもダム事務所の動きはなく、業者も職員もやって来ない。



「今日はみなさんの早出のおかげで来ないのかもしれないね。」

午前10時になってダム事務所前のテントに移動し、ダム事務所の動きを観察することにした。

職員の車も業者の車も駐車場に止まったままだ。 だが、本庁からは4人の応援者が来ているという。


午前10時30分、業者が事務所から出てきて帰り始めた。

今日はもう現場に入ることはなさそうだ。その旨をゲート前で座り込んでいる地権者のみなさんに伝え、私たちも「もう業者は帰ったし、大丈夫だろう。」と12時前に帰途についたのだった。


家に帰り着いて昼食を摂り、PCのスイッチを入れた途端に電話。

地権者のS子さんからだ。「現場に入られたとよ。」悔しさがにじみ出ている電話だった。

みんなで昼食を食べゆっくりしていた午後1時、県職員5人と業者が5人やってきて、河川敷から現場へ入ったのだそうだ。

ダム事務所前で県の動きを見ていた時、出前が届き「本庁からの応援者の弁当が届いたみたいですね。」と話したのに、午後からの動きにまで考えが及ばなかった。

応援者が4人も来ていたのだ。現場での仕事もさせずにそのまま本庁に帰すことなどないはずなのだ。


ああ~、悔しいな~。

今日のことを教訓にして、県の動きをもっと的確に掴むようにしなければならない。


工事はどれくらい進んだだろうか? 里山の木々は押し倒され、赤土の部分が増えているかもしれない。


まだまだ、闘いはこれからなのだ。 負けてはいられない。