京大植物園TODAY

京都市左京区の京都大学北部キャンパス内にひっそり佇む現代の杜、京都大学理学研究科附属植物園の日々の風景を紹介します。

33年前の植物リスト

2006年04月13日 00時09分05秒 | Weblog
京大植物園には、いったい何種の植物が生えているのしょう?植物園の植物相に関する情報は、後にも先にも33年前の論文だけです。カッパが訳したその論文要旨を紹介します。

京都大学理学部紀要第6巻、91~148ページ、1973年3月発行(Memoirs of the Faculty of Science, Kyoto University, Series of Biology, Vol. Ⅵ, pp. 91-148.)より引用。

『京都大学植物園の植物リストといくつかの生態学的資料』
A List of Plants in the Botanical Garden of Kyoto University and Some Ecological Data

著者:畠山伊佐男1)、村田源2)、田端英雄1)

1)京都大学植物生態研究施設
2)京都大学理学部植物学教室

1973年1月22日受理。

要旨:

 植物園は、1923年4月に設立された。設立に当たっては、単にものめずらしい植物種を収集するのみならず、生態学的植物園(an ecological botanical garden)を打ち立てることが目標とされた。2つの大きさの池、湿地、丘、岩石庭園、砂丘、そして洞窟が人工的に造成され、これらの生態学的条件に適した植物が集められた。植物園設立の当初は、郡場寛教授が最も活動的な役割を果たし、三木茂博士が最も精力的な貢献者であった。郡場教授の退官後、植物園の管理運営は、引き続き小泉源一教授、北村四郎教授、田川基二教授などへと引き継がれていった。日本本土の植物に加えて、琉球列島と中国の植物が収集され、ヒマラヤの植物も一連の探検事業のメンバーによって導入された。

 植物生態研究施設は、1964年4月に設立され、それ以来、約1万8千平方メートルに及ぶ植物園を管理してきた。植物園は、植物及び動物の生態学、植物生理学、植物分類学、薬学、森林科学、および植物病理学の研究に使われてきた。
被子植物、および裸子植物に属する科は、Englerによる系統(Syllabus der Pflanzenfamilien[1954; 1964])に基づいて配列され、シダ植物に属する科はCopelandの系統(Genera Filicum[1947])に基づいて配置された。学名に続いて記されている番号は、植物園の中で当該植物が生育している場所を示している。植物園に野生状態で発生する植物には米印を付した。括弧のついている植物は植物園の中の温室に生育するものである。気候及び水文に関する資料は畠山によるものである。

 われわれは、有意義な助言をくださった北村四郎名誉教授、田川基二教授、そして三木茂教授とシダ植物の同定の労をとってくださった岩槻邦雄教授に恩義を感じている。

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