京大植物園TODAY

京都市左京区の京都大学北部キャンパス内にひっそり佇む現代の杜、京都大学理学研究科附属植物園の日々の風景を紹介します。

見えにくい環境問題の社会化過程。(友澤、2007「環境問題という言葉は壊したほうがいい?」)

2007年11月01日 01時11分46秒 | Weblog
京大植物園TODAYも反省せんとあきません。以下、友澤悠季、「環境問題という言葉は壊したほうがいい?」(In:竹本修三・駒込武編(2007)「『偏見・差別・人権』を問い直す」京大出版)より抜粋引用。

「…ではわたしたちの「環境問題」理解は、映像の力によってのみ占有されてよいのか。そうではない。自然科学的知見も、それをビジブルに提示してくれる映像も、あくまで「環境破壊」や「環境汚染」という現象を表すテクニカル・タームに過ぎない。現象は、「環境問題」が問題たるゆえんを語ってはいないのである。

そもそも「問題」は、誰かがある状況を「問題だ」と訴えてはじめて認識される。「環境問題」の問題たるゆえんを考えることとは、つまり、その誰かについて考えることである。そこには必ず、個別具体的な生を営む誰かが、平穏な日常を打ち破って訴えを声にせざるを得なかった状況が存在する。

この場合、その人にとって「環境問題」は、自然科学的知見や映像によって認識されるものではなく、自らの状況そのものである。それは決してビジブルではないし、わかりやすくもない。だが本稿の主張を先取りすれば、「環境問題」における人権の所在こそは、こうした個別具体性そのものにほかならない。」

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