京大植物園TODAY

京都市左京区の京都大学北部キャンパス内にひっそり佇む現代の杜、京都大学理学研究科附属植物園の日々の風景を紹介します。

「腐葉土作りの工夫」(小島巌)『龍谷大学里山ORC2005年度年次報告書』pp:204-205.

2006年10月20日 19時42分31秒 | Weblog
以前、京大植物園に勤務されていた小島巌さん(現・京都大学生態学研究センター技官)が、京大植物園での堆肥作りについて少し書かれていますので、ここにご紹介したいと思います。京大農場と、植物園での堆肥の作り方の違いが書かれてあって面白いです。

出典は、「龍谷大学里山学・地域共生学オープン・リサーチ・センター2005年度年次報告書」、第4章「研究活動」報告(5)土屋和三(龍谷大学文学部)・小島巌(京大生態研)『「龍谷の森」の里山づくり―落ち葉の腐葉土づくり―』pp.203-208.です。

(以下、第2節「腐葉土づくりの工夫(小島巌)」より一部抜粋・引用)

『これまで、私は2種類の堆肥(腐葉土)をつくり、実験圃場や植物分類学・生態学の研究用の植物を育成してきた。

一つは、京都大学農学部農場で作った「野天積み堆肥」。それは、稲わらを50cm積み上げ、水を掛け、窒素源として硫安を加え、足で踏みつけ、稲わら全体から水が滲み出る程度まで吸水させる。それを繰り返して150cmほどに積み上げ、水を掛け、古むしろで被う。その後、温度が徐々に上昇し60-70度になり、そして下がったときに切り返しを行い、水を積み込みのときと同じ要領で補給する。この手順で2度の切り返しを行い完成を待つ。材料の2倍の水が必要である。この堆肥は、農作物の実験圃場に鋤きこんでいた。

もう一つは、京都大学理学部植物園で、毎年の秋に園内の道の落ち葉掻きをして、腐葉土づくりをしていたときの方法である。それは、植物園内の池からの滲み出しで湿っている場所を選び、土を50cm掘り、落ち葉をいれ、地上150cm位までこんもりと盛り上げただけの「簡単な野天積み」で、切り返しも行わず、窒素源も加えず完成を待つ。出来上がっても、表面は乾いたまま、水がまわらない個所もあり、落ち葉がそのままの個所や未熟な個所といろいろで、4cm目の網で作った篩に通し、下に落ちたものを腐葉土として使っていた。この腐葉土は、鉢物の土に適量混ぜていた。理学部植物園で栽培するのは、研究用の野生植物であるので窒素を加えていない。』