家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

掘っ立て小屋でジャズライブ

2012-11-13 07:41:05 | Weblog
先日田中泯氏の舞踊を観に行った同じ楽土舎で今回はジャズライブを観た。

整理券が1番と2番だった。

つまり関係者の次に会場に着いた。

会場の外の焚き火にあたりながら待つ。

私の中では既にライブは始まっている。

だって出演者が私の目の前で電話している。

また今回は映像も見られるようになっている。

どんな映像かというと室内にあるカメラが捉えた物を外の丸太の壁に投影するというものだ。

丸太だから均一で平らな画面と違った良い味のものになる。

リハーサル中の金澤氏の大写しの顔が、そして指先が壁に映るのだ。

また私の追加した薪の炎が映し出されたりもした。

室内に入ってみると、やはり外の画面が見えて、それはそれは美しい。

ギターの小沼ようすけ氏とベースの金澤英明氏の演奏は楽しくエネルギッシュだ。

先日まで屋根しかなかった場所に壁が付き立派な室内になっている。

だが、やはり寒いし、その寒い中を蚊が飛び回っている。

小沼氏のソロの時何やら変わった装置を使った。

彼の弾いた部分が繰り返されて聞こえる。

それに合わせて次の音を弾くとデュエットとして聞こえ更に音をリズムを被せていくと小沼氏だけのバンド演奏になるというものだ。

小沼氏が、それこそ小沼氏のクローン20名で1曲を奏でるという現代ならではの演奏だ。

外から戻ってきた金澤氏が「飛び道具だな」と小声で言って沸かせた。

ギターもベースも打楽器としての活躍も素晴らしい。

二人の演奏がドンピシャで終わると会場は拍手に包まれる。

何より嬉しそうに見えるのは演奏者たち。

自然発火するように始まった音楽は何度もバチバチと音を立てて炎を揺らし、お互いの炎を援護し自分の炎を主張して最後にかっこよく燃え尽きる。

気の合う者同士でないと、こうは行かないだろうなと思う。

聴いている我々の心の炎が燃えているうちに次の曲が始まる。

聴衆の炎が集まれば、こんな小屋は、すぐに全焼するだろうなと思いながら聴いた。

だが足先が冷たく寒い。

心と体のアンバランスは最高に気持ちよかった。