歴史は人生の教師

高3、人生に悩み休学。あったじゃないか。歴史に輝く人生を送っている人が。歴史は人生の教師。人生の活殺はここにある。

死の名場面②-3(川端康成、自殺の動機)

2009年12月17日 | 死の名場面
死の名場面②-3(川端康成、自殺の動機)

なぜ、ノーベル文学賞まで取った川端康成が、
自殺をしたのか、その動機である。

絶筆になった『岡本かの子全集』の短い推薦文が
実は30余年も前に発表した文章と
殆ど同じだった。
昔の古い文章をコピーしなければ
書けないぐらい筆力が衰えたので
絶望したのだろうか。

しかし、ノーベル賞をもらう前から、
すでに半ば引退した状態だったのであるから、
いまさら創作力が衰えたぐらいで
絶望するだろうか。
隠居しても恥ずかしくない年齢だったし、
鶴のように細い身体に似合わず、
竹のようにしぶとく、
したたかな精神の持ち主でもあったのだ。

主治医の話では、ガンなどの持病はなかったが、
若い頃から、睡眠薬を愛用して、
かなりの中毒症だった。
とくに後期の作品には、
睡眠薬による夢幻の世界がしばしば書かれている。

だからこの日もあるいは薬を飲んで、
夢遊病者のまま、ふと死にたくなって
ガス栓を開いたのかもしれない。

ノーベル賞受賞後は、社会的な名士として、
もてはやされ、東京都の知事選挙では、
ある保守党の候補者を応援して、
宣伝カーで演説をしてまわり、
世間に奇異な感じをあたえた。

彼の叙情的な文学はおよそ政治とは
無縁なものがっただけに、
この晩年のはしゃぎぶりは異常だった。


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