蓮如上人物語(40)(堅田の法住)
近江堅田・本福寺三代目の住職・法住が
十七歳の頃、病気で寝ている時に、
次のような夢を見た。
薄い墨染めの衣をまとった貴い僧が二人、
法住の家に入ってこられ、
「お前は何て愚かなのか」
と言われながら羽ぼうきで
仏壇を掃除された。
すると、いろいろな虫が、
はらはらと落ちてきた。
夢の内容を語ると、母は、
「その二人の貴い僧こそ、
法然上人と親鸞聖人に違いない。
もともと、祖父・善道が
覚如上人のお弟子となり、
浄土真宗本福寺を開いたのに、
父の覚念が、禅宗に改宗したのを、
両聖人さまが悲しく
思われたのでしょう。
病気が治ったら、必ず、
本願寺へ参詣しなさい」
と諭した。
法住は全快後、友人を誘って、
京都の本願寺へ参詣した。
胸躍らせ、訪れたはずなのに、
法住が見た本願寺は、
あまりにも寂れていた。
その驚きを、次のように記している。
「人せきたえて、参詣の人一人も
みえさせたまわず。さびさび」
(本福寺由来記)
これはちょうど、
蓮如上人がお生まれになる二年前、
応永二十年(1413)のことであった。
近江堅田・本福寺三代目の住職・法住が
十七歳の頃、病気で寝ている時に、
次のような夢を見た。
薄い墨染めの衣をまとった貴い僧が二人、
法住の家に入ってこられ、
「お前は何て愚かなのか」
と言われながら羽ぼうきで
仏壇を掃除された。
すると、いろいろな虫が、
はらはらと落ちてきた。
夢の内容を語ると、母は、
「その二人の貴い僧こそ、
法然上人と親鸞聖人に違いない。
もともと、祖父・善道が
覚如上人のお弟子となり、
浄土真宗本福寺を開いたのに、
父の覚念が、禅宗に改宗したのを、
両聖人さまが悲しく
思われたのでしょう。
病気が治ったら、必ず、
本願寺へ参詣しなさい」
と諭した。
法住は全快後、友人を誘って、
京都の本願寺へ参詣した。
胸躍らせ、訪れたはずなのに、
法住が見た本願寺は、
あまりにも寂れていた。
その驚きを、次のように記している。
「人せきたえて、参詣の人一人も
みえさせたまわず。さびさび」
(本福寺由来記)
これはちょうど、
蓮如上人がお生まれになる二年前、
応永二十年(1413)のことであった。