人間の実相を語る歴史人(赤穂浪士② 自分は正しいが相手を怒らせる)
「自分は正しい」
という思いが強いと
悪意はなくても、
相手を怒らせる
早速、浅野家から吉良家へ、
家老が挨拶に出向いた。
こんな時、手ぶらで来る者はいない。
上野介は、大きな期待を抱いて
待っていたのだが、
それはすぐに落胆に変わり、
素っ気なく追い帰してしまった。
進物が、あまりにも
少なかったからである。
「何じゃ! 5万3千石の
浅野家ともあろうものが、
この程度の手土産とは。
人をばかにするのも甚だしい。
あんな田舎者に、
饗応役が務まるものか!」
上野介は腹が立った。
「軽く見られた」
「ばかにされた」
としか思えなかったのである。
しかし、内匠頭には、
少しも悪意はない。
彼は、こう弁明するだろう。
「私は、清廉潔白な武士道の
君主を目指している。
幕府の高官である吉良殿に、
まるで賄賂のように
金品を贈るのは、
かえって失礼だろう。
この大任を果たした後で、
しっかりとお礼を
するつもりだ」
ところが、饗応役を
命じられた大名は、
指南料として、
それ相応の金品を、
前もって贈るのが、
当時の常識になっていた。
それが、高家の役職に
付随した収入と
みなされていたのである。
内匠頭は、
「自分は正しい」
という思いが強く、
少しも疑っていないが、
世間に疎かったと
いわれてもしかたがない。
ちょっとした
行き違いや誤解が、
怒りの心を生み、
取り返しのつかない
事態に発展することは、
よくあることである。
「自分は正しい」
という思いが強いと
悪意はなくても、
相手を怒らせる
早速、浅野家から吉良家へ、
家老が挨拶に出向いた。
こんな時、手ぶらで来る者はいない。
上野介は、大きな期待を抱いて
待っていたのだが、
それはすぐに落胆に変わり、
素っ気なく追い帰してしまった。
進物が、あまりにも
少なかったからである。
「何じゃ! 5万3千石の
浅野家ともあろうものが、
この程度の手土産とは。
人をばかにするのも甚だしい。
あんな田舎者に、
饗応役が務まるものか!」
上野介は腹が立った。
「軽く見られた」
「ばかにされた」
としか思えなかったのである。
しかし、内匠頭には、
少しも悪意はない。
彼は、こう弁明するだろう。
「私は、清廉潔白な武士道の
君主を目指している。
幕府の高官である吉良殿に、
まるで賄賂のように
金品を贈るのは、
かえって失礼だろう。
この大任を果たした後で、
しっかりとお礼を
するつもりだ」
ところが、饗応役を
命じられた大名は、
指南料として、
それ相応の金品を、
前もって贈るのが、
当時の常識になっていた。
それが、高家の役職に
付随した収入と
みなされていたのである。
内匠頭は、
「自分は正しい」
という思いが強く、
少しも疑っていないが、
世間に疎かったと
いわれてもしかたがない。
ちょっとした
行き違いや誤解が、
怒りの心を生み、
取り返しのつかない
事態に発展することは、
よくあることである。