一日一訓(21日 苦しみから目をそらさず 凝視するようにしよう)
「苦しみから目をそらさず 凝視するようにしよう」
金剛石が一個、
川ばたの小石の群れに、
まじっていた。
一人の商人が、
めざとく発見し、
王様に売却した。
王冠を飾った金剛石の輝きは、
大衆を魅了してやまなかった。
小石どもの耳にも、
それが入ったので大騒ぎ。
金剛石の幸運が、
小石どもにはうらやましくて、
たまらなかったのである。
小石どもはある日、
そばを通った農夫を
呼びとめて哀願した。
「うわさによると、
我々と一緒に、
ここにころがっていた
金剛石のヤツメが、
都で、今では大出世
しているそうです。
アイツも我々も同じ石ですよ。
我々だって、
都へいけさえすれば、
出世するにきまっている。
どうか、都へ連れて
いってください」
ふびんに思って農夫は、
小石を荷に入れ、
都へ持参した。
望みどおりに小石らは、
あこがれの都へはきたが、
むろん、王冠を
飾るどころではない。
道路に敷かれて、
毎日、多くの車の
わだちに苦しめられ、
後悔の涙にくれたのである。
顔をしかめて飛んで
ゆくフクロウを、
連れのハトが呼びとめた。
「おいおい、そんな、
うかぬ顔して、どこへいく」
さびしそうに、フクロウが答えた。
「知ってのとおり、
この里の者たちは、
悪い声のオレを嫌うので、
所を変えようと
決心したんだよ」
くくと笑って、ハトは、
「それはムダだよ、
フクロウさん。
いくら所を変えたって、
おまえの声を変えないかぎり、
いく先の者はやはり、
おまえを嫌うだろう。
古巣を捨てる覚悟があれば、
声を変える努力を」
と、忠告したという。
自己を磨くことこそ、
出世の要諦。
輝く存在になりさえすれば、
人も物も自然に集まる。
己の、たゆまぬ錬磨を忘れて、
出世のみを追い求むることは、
かえって失敗の原因となる、
と知るべきであろう。
「苦しみから目をそらさず 凝視するようにしよう」
金剛石が一個、
川ばたの小石の群れに、
まじっていた。
一人の商人が、
めざとく発見し、
王様に売却した。
王冠を飾った金剛石の輝きは、
大衆を魅了してやまなかった。
小石どもの耳にも、
それが入ったので大騒ぎ。
金剛石の幸運が、
小石どもにはうらやましくて、
たまらなかったのである。
小石どもはある日、
そばを通った農夫を
呼びとめて哀願した。
「うわさによると、
我々と一緒に、
ここにころがっていた
金剛石のヤツメが、
都で、今では大出世
しているそうです。
アイツも我々も同じ石ですよ。
我々だって、
都へいけさえすれば、
出世するにきまっている。
どうか、都へ連れて
いってください」
ふびんに思って農夫は、
小石を荷に入れ、
都へ持参した。
望みどおりに小石らは、
あこがれの都へはきたが、
むろん、王冠を
飾るどころではない。
道路に敷かれて、
毎日、多くの車の
わだちに苦しめられ、
後悔の涙にくれたのである。
顔をしかめて飛んで
ゆくフクロウを、
連れのハトが呼びとめた。
「おいおい、そんな、
うかぬ顔して、どこへいく」
さびしそうに、フクロウが答えた。
「知ってのとおり、
この里の者たちは、
悪い声のオレを嫌うので、
所を変えようと
決心したんだよ」
くくと笑って、ハトは、
「それはムダだよ、
フクロウさん。
いくら所を変えたって、
おまえの声を変えないかぎり、
いく先の者はやはり、
おまえを嫌うだろう。
古巣を捨てる覚悟があれば、
声を変える努力を」
と、忠告したという。
自己を磨くことこそ、
出世の要諦。
輝く存在になりさえすれば、
人も物も自然に集まる。
己の、たゆまぬ錬磨を忘れて、
出世のみを追い求むることは、
かえって失敗の原因となる、
と知るべきであろう。