一日一訓(21日 苦しみから目をそらさず 凝視するようにしよう)
「苦しみから目をそらさず 凝視するようにしよう」
昔、呉服物を担って、
いつも碓氷峠を越えていた
二人の商人がいた。
一人があるとき、
さぞ疲れたように、
路傍の石に腰をおろす。
「疲れたではないか、
ひと休みしよう。
この峠が、もう少し
低かったら楽に越されて、
うんともうけられるのになァ。
おまえ、そうは思わんか」
うらめしそうに、
高い峠を見上げた。
「オレはそうは思わない。
それどころか、
この峠が、もっともっと高くて、
険しかったらいいと思っている」
そう答えたのは、
連れの江州商人である。
先の商人はいぶかって、
「どうしてだ。
おまえは苦労がしたいのか。
おかしなやつだ」
とニガ笑いした。
「そうじゃないか。
この峠が楽に越されたら、
だれでも越して商売するから、
あまりもうからないのだ。
この峠が、もっと高くて
険しければ、だれも、
この峠を越えて商いを
する者がいなくなる。
それを越していけば、
商売は大繁盛するのだ」
江州商人で成功した人が多い。
さすが生き馬の目を
抜くといわれる、
江州商人の気迫ではないか。
成功は努力の結晶である。
楽にえられるものは、
貧と恥のみである。
「難の難 乗り越えてこそ 光あり」
「苦しみから目をそらさず 凝視するようにしよう」
昔、呉服物を担って、
いつも碓氷峠を越えていた
二人の商人がいた。
一人があるとき、
さぞ疲れたように、
路傍の石に腰をおろす。
「疲れたではないか、
ひと休みしよう。
この峠が、もう少し
低かったら楽に越されて、
うんともうけられるのになァ。
おまえ、そうは思わんか」
うらめしそうに、
高い峠を見上げた。
「オレはそうは思わない。
それどころか、
この峠が、もっともっと高くて、
険しかったらいいと思っている」
そう答えたのは、
連れの江州商人である。
先の商人はいぶかって、
「どうしてだ。
おまえは苦労がしたいのか。
おかしなやつだ」
とニガ笑いした。
「そうじゃないか。
この峠が楽に越されたら、
だれでも越して商売するから、
あまりもうからないのだ。
この峠が、もっと高くて
険しければ、だれも、
この峠を越えて商いを
する者がいなくなる。
それを越していけば、
商売は大繁盛するのだ」
江州商人で成功した人が多い。
さすが生き馬の目を
抜くといわれる、
江州商人の気迫ではないか。
成功は努力の結晶である。
楽にえられるものは、
貧と恥のみである。
「難の難 乗り越えてこそ 光あり」