空木…

男盛（をざか）りを招（を）きて日暮らし熱き眼の婦（おんな）の腰のひきしまりたる

裸象…

母といふけものはなけれただ美（は）しく抱かる婦（をんな）の象（かたち）照りゐつ

青年…

肉勁（かた）き青年の胸に抱(いだ)かるる婦（をんな）の肉の歓喜鋭し

情事…

秘めやかにのこれるあかし乳房に婦（をんな）よ罪の匂ひは甘く

結花…

女臭濃きをんなになりゆく亡夫(つま)恋ひのかたちよき胸春昼を染め

春日…

熟れゐたる婦（をんな）の素足青年の肉（しし）にからめば春日美（くは）し

花戯…

ゆきあへる女男らの翔(かく)るはつか世の罪も散らばや桜樹の下

花首…

耳朶赤き蕩児の手より異教徒のママンの乳房ふたたび掠（かす）む

トルソー…

赤過ぎるママンの唇かなしくて見つめゐたりき火傷のトルソー

十指…

うす暗き思春の眞中（まなか）ママンらのまろき乳房（ちちふさ）十指に熱し

氷晶…

ひと恋はばかくも破教の胸にをや氷晶のごと愛は降り積む

回帰…

黒髪をあの日のやうに戦がせる　婦（をんな）よ婚姻を海へ帰さぬか

青葦…

黒髪を処刑のやうに梳き直し女体の不義はまた澄みてゆく