この時期の今や恒例となったディランのブートレッグ・シリーズ。
さて今年のブツは、意表を突く79年から81年のいわゆるゴスペル時期のライブやデモ、リハーサル音源を詰め込んだCD8枚にDVDを加えたもの。
dylan netではそれに更にCD2枚のフルライブを加えたモノが販売されたけど、今年はamazonで最初に予約を受け付けた時、物量の割に低価格15000円だったのでそれを買った。
さて、何故に一般的に理解され難く人気が薄いと思われるこの時期を今年出したのか。
昨年のこの時期にディランはノーベル文学賞を受賞。
受賞の連絡に返事をしない、受賞式を欠席したりと、世間の物議を醸すことになったわけですね。
元々がユダヤ人でユダヤ教であったディランはキリスト教に改宗をします。
日本に住んでいるとわかりにくいのだけど、欧米のユダヤ社会においてそれはとんでもない背信行為なんです。
そしてキリストへの賛美を歌う三部作のレコーディング、その時期の未発表音源をブートレッグシリーズのあえてノーベル賞受賞の翌年に出す。
ノーベル賞の選考は実はユダヤの影響が近いとよく言われていて、ユダヤ人の受賞率は高い。
毎年受賞の噂が出る日本の作家が受賞出来ないのは反ユダヤ的だからなんて事を言う人もいる。
もしかしたらディランは、ノーベル賞はもらったけど俺はとっくにユダヤ社会には背を向けてるぜ、なんてアピールで今年のシリーズはゴスペル時期の集大成にしたんじゃないのかな、という深読みを勝手にしてたわけです。
自分でも苦手な時期のディランは、聴いてみれば新鮮だったりもする。
昔の編集盤、バイオグラフィーに収録されてから大好きな曲、Caribbean Wind のライブ・テイクやリハーサル音源も聴けるし、亡くなったトム・ペティと一緒のツアーを収録した、オーストラリアでの映像を見ていらい好きになったIn the Gardenのライブも収録されている。
これまでのシリーズより売れないような気はするのだけど。