Mooの雑記帳

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11月24日(金) 教育委員会10月議事録を読んで

2023-11-24 13:38:44 | 日記

池田町教育委員会の10月議事録が公開されています。一読して気がつくのは、以前とは比較にならないくらい詳細に記録されていることです。教育長を除いて発言者(教育委員)の名前はありませんが、過去の議事録は、およそ議事録とはいえないメモ程度のものだっただけに、発言内容もきちんと収録すべきだと強く要望したことに一定程度答えてくれた結果なのでしょう。ただし、公開の委員会ですから、発言者の名前はきちんと記すべきです。

さて、問題はその中身です。
保育園問題をめぐっては、町民説明会で私が質問したことについて教育長が説明をし、教育委員の了解を得ることが主要な内容になっています。
先日の「反論」でも指摘したことですが、私の質問の趣旨が教育委員会の及ぶ「権限」の問題にすり替えられています。また、保育園問題を「教育委員会でも十分議論してきた」と十分な議論を各所で強調しています。

しかし、それらをよく読めば、そのほとんどが自己弁護であって、教育委員会として池田町の子育てを始めとする教育条件をどうするのか、少子化対策をどう進めるのかという観点からの議論が見られないのは驚くほどです。
教育長発言についての再度の反論をするのは、実に気が重いのですが、行革委員会の名誉のためにも、改めて問題点を整理しておきたいと考えました。

実は、議事録を読んでいて、委員の方々から、本当に保育園の実態や池田町の少子化の実情を踏まえて議論していらっしゃるのか疑わしい発言がありびっくり仰天している次第。
例えば、9月議事録には「会染保育園の老朽化はそんなに進んでいるのか」「会染保育園の老朽化がそんなにひっ迫した状態であるとは把握していなかった」などと記されていました。
ここでは、こうした認識や、エアコン設置、緊急改修などの問題は触れませんが、もう少し時間をとって、担当部局としての教育委員会らしい十分な議論を行ってほしいものだと思わずにはいられません。

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(1)私の質問の趣旨
ここで、改めて町民説明会での私の質問の趣旨を明確にしておきましょう。
① 保育園の管轄は池田町のおいては町教育委員会にある。従って、保育園の運営や今後のあり方について、担当部局として様々な角度から議論し統合問題についても一定の結論を出すのが、一般行政から独立した教育委員会のあるべき姿ではないのか。

② 教育委員会では、池田町の保育・教育全般についての基本方針として「第2次教育大綱」を決定している。これに基づいて、池田町の子育て、少子化にどう立ち向かうかを議論するのが当然ではないのか。

③ 教育行政法は、対等な執行機関同士の協議、町政の場として総合教育会議を設けるとして、そのあり方について定めている。相反する2案(統合案、現地建て替え案)を町長に提出しただけで、総合教育会議も開かず、行革委員会の案は全く議論されていないのは、法的な手続きを欠いていることになるのではないのか。

(2)10月議事録にみる教育委員会の混乱
① 根本的な議論をどれほど深く行ってきたのか。
10月の議事録を見ると、「2案併記で町長に答申したことが教育委員会の責任を果たしていない」ことになるのかどうか、と委員に問いかけています。これに対して教育委員の皆さんからは「十分議論してきた」「ただ、1案に絞るのは結論が出しにくかった」「教委に決定権はなく、決定は町長が行うのだから、2案のままでよかったのではないか」などと発言されているだけで、教育大綱に基づいて議論を深めたとか、子育て環境、少子化対策という観点からの発言は一切ありません。

しかし、令和4年2月の議事録を見ると、「答申案は1案に絞った方がいい」「池田町のこどもの未来につながるよう、課題を解決していく必要がある」という発言が記録されています。それでも、教育大綱をもとにした議論であるとか、データを詳細に分析した議論とかは、過去の議事録には全く見られず、こうした発言も結局は単なる意見として扱われたとしか考えられません。

② 教育長発言の矛盾
教育長は、さらに次のように発言しています。
「地方教育委員会の組織及び運営に関する法律」には認定こども園の設置、廃止についての規定はないので、教育委員会で議論をしなければならない事柄ではない。教育委員会に決定権限はないので、2案で答申することは何も問題がない」

先ほども指摘した通り、これは「権限」の問題と「担当部局としての機能と責任」の問題をすり替えているに過ぎません。
「地方教育委員会の組織及び運営に関する法律」を持ち出すのであれば、その第二十一条で次のように述べていることに注目しましょう。

教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。
一 教育委員会の所管に属する第三十条に規定する学校その他の教育機関(以下「学校その他の教育機関」という。)の設置、管理及び廃止に関すること。

この条文は、教育委員会の所管事務について規定しており、「学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止」を挙げています。ここには確かに「認定こども園の設置、管理、廃止」は書かれていません。だとすれば、教育長の言を借りれば「管理についての規定はないので、認定こども園については教育委員会で議論をしなければならない事柄ではない」ということになりませんか。わざわざ「管理」を抜いた真意はわかりませんけれど、
書かれていないことを根拠にするならば、10月教育委員会で長々と認定こども園のあり方について議論していること自体、矛盾しているのではありませんか。

私は別に揚げ足取りでこのようなことを書いているわけではありません。むしろ、池田町が教育委員会が保育園、小学校、中学校を所管し、一体的にその日常的な運営やあり方に責任を負う体制を取っていることを評価し、それであるならば、2園にするのか1園にするのかは保育園運営には最重要課題であるわけですし、小学校への繋がりを考えても重要な問題になるわけですから、それに相応しい責任ある対応を取るべきだと言っているだけです。

③ 池田町の独自の位置づけの無視
幼保連携型認定こども園の法的な位置づけは教育機関、保育所型は児童福祉施設として位置付けられています。しかし、幼保連携型認定こども園以外のこども園も「幼稚園と保育園の機能をあわせ持った施設」ですから、池田町は健康福祉課でも住民課でもなく、教育委員会が管轄する施設にしたのです。
その上で、「池田町教育大綱」に「保小中15年プラン」という位置づけを書き込み、保育園から中学までの接続を重視する方針を明示したのではなかったのか。
従って、教育委員会が所管する以上、その職務権限は管理だけではなく、そのあり方(改廃)も検討の範囲に入ると看做す(最終決定は勿論首長)のが自然です。

設置者が首長だから改廃の権限がないというのはその通りでしょう。しかし、池田町の保育、教育を俯瞰し、保育園がどうあるべきかを議論できるのは教育委員会だけであり、そこでまとめた見解を総合教育会議に上げて町長と話し合うのが教育行政法の趣旨なのです。それ故に、文科省通知では、次のように総合教育会議の議題を例示したと私は考えています。

(3)会議における協議事項、協議・調整事項の具体的な例
・幼稚園・保育所・認定こども園を通じた幼児教育・保育の在り方やその連携、青少年健全育成と生徒指導の連携、居所不明の児童生徒への対応、福祉部局と連携した総合的な放課後対策、子育て支援のように、地方公共団体の長と教育委員会の事務との連携が必要な事項

10月議事録には、そうした池田町の独自性、教育委員会の責務について真剣に議論した形跡はありません。

④ 行革委員会の提案の無理解と、扱いの誤り
10月議事録では、行革委員会の答申で示した第3案について、「これは町長に提出したもので、教委に対して検討するよう指示されていないので責任を果たしていないことはない」との教育長の考えが述べられています。その下には但し書きで「なお、定例教育委員会ではこの答申について事務局から説明があり、討論されている」と書かれていました。

確かに令和5年2月の定例教育委員会の議事録を見ると、学校保育課長補佐が「町が示した2案に行財政改革推進委員会提案の案を加えた3案の中から、令和5年度中に決定をする。方向性の意見を交換する場として3月に3回、町民懇談会を開催する」との説明があり、行革委の案については委員から「必要最低限の改修費の根拠は?」「統合する場合の具体的な金額は?」という程度の質問があったことが記載されていました。
これを称して議論または討論と言っているのでしょうか。議事録を見る限りでは過去にこれが話題になった形跡はありません。

一方で、10月議事録では、ある教育委員から「行革委員会の答申についても定例教育委員会で議論を行っていた。意見を出された方がどのような意図で出されたか分からないが、自分は手順をきちんと踏んでいると考えている」という発言があったと記されています。さて、どんな議論があったのでしょうか。
行革委の提案は答申を読めば分かることであり、保育園については【対応策】だけではなく【問題点】もきっちりと指摘しており、全体を理解することなしに議論など出来るはずがありません。
教育委員会は、行革委の案を「討論している」と断言している以上、その討論の中身がいよいよ問われることになります。

私がここで指摘しているのは、行革委の提案があった時点で3案になったのだから、教育委員会として改めて議論し直す必要があったということであり、町長からの指示がなかったから議論しなかったというのは、所管部局としての責任放棄ではないかということです。

行革委の答申は町長に提出され、保育園についての案がそれまでの2案に加えるものとして町長に受け入れられた以上は、その時点で町の案となったのであり、町長は改めてそれらの3案についての検討を教育委員会に指示しなければならないはずでした。行革委の答申は行政の長である町長に提出したのですから、理事者である教育長も当然理解していなければならないものであり、その内容について周知しているはずですから、教育員会の責務から考えて、何をなすべきかは当然判断できたはずです。
教育長は「あれは町長に出されたもので、教育委員会は「統合」「現地建て替え」の2案を出して、あとは町長に判断を委ねる」と他人事のように言い募っているわけですから、さて、一体誰がこの町の保育・教育行政に責任を負うのでしょうか。

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任期切れ間近であるにも関わらず、このような雑な対応で終始しながら、強引に統合に向かって舵を切っている現町長の狙いはどこにあるのか。このまま議会で認定こども園設置条例の改正などを許すわけにはいかないでしょう。