Mooの雑記帳

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11月9日(火) 行財政改革委員会 第一次答申

2021-11-09 19:58:30 | 池田町行財政改革委員会2021

昨日午前中、池田町行財政改革推進委員会の第8回委員会があり、第1次答申を町長に手渡しました。その後、記者会見を行い、答申の概要とその背景説明を行いました。

以下は今日の新聞各紙の報道です。

どうやら、報道各社の記者の関心事は「役場職員の給料カット」にあり、これは懲罰ではないのか、一般の職員に責任を負わせるのはどうなのかといったニュアンスの質問がありました。
委員会の会長が、言葉のはずみで「職員も同罪」と述べたことが大きく取り上げられ、あたかも委員会が職員をターゲットに賃金カットという罰を与えたというような空気が作られかねない状況が作られています。

もっとも、この記事には歴史があり、信濃毎日はこれまでの中間報道は全くしておらず、それに対して市民タイムスと大糸タイムスは、その都度克明に報道していましたから、今回の力点が賃金カットに移ったというのも無理からぬところがあります。

もちろん、このような捉え方は委員会の本意ではありません。委員会が目指したのは、現在の非常事態ともいえる財政危機をどう解決するのかという大きな目標があり、その中でも人件費問題は避けて通ることができない課題だということです。
一体なぜこのような財政危機になったのかという点を素通りして、職員の賃金カットがいいのか悪いのかを議論しても何の前進もありません。

もともと、この財政危機は長年のつけが回ってきたという性格よりも、ここ数年の集中的な財政運営の誤りによるもので、そこには池田町役場の抱えているさまざまな問題が集中的に現れてきたということです。

第1は、従来90人前半くらいで運営していたものを、アッという間に10人以上増やしてしまい、人件費が大きく膨らんでしまったことです。平成28年度の人件費(正規職員+臨時・嘱託)は8.2億円、それが令和2年度には9.6億円と1億円以上増えてしまいました。

第2は、平成28年度以前の10年間で行っていた投資的事業の額(H18~H27で70億6400万円)と同等の額の事業を次の5年間でやってしまった(H28~R2で63億7000万円)こと。当然ながら、借金が増えますから、公債費として後年度の経常経費を圧迫し、実質公債費比率を押し上げます。

第3は、財源不足を基金積立金から取り崩し、「何にでも使える」財政調整基金を3年度にわたって4.4億円も減らしてしまったこと。一時令和2年度末には基金ゼロという予測すらあったほどでした。基金運営の原則がないに等しく、このままでは、将来への備えが全くできません。

第4は、池田町の人口減少の中で、公共施設やインフラ整備に対する備えを完全に怠ったこと。それどころか、大型事業がいくつか残っており、基盤整備を行った非農用地の整備に何億円かが予定されていたり、保育園の改修・建替問題が否応なしに迫っていたりしています。しかし、これは町が立てる将来の財政予測から詳細がわからないという理由で外されており、不安定要素のひとつとなっているのです。
公共施設・インフラの整備に要する資金は、今後40年間で700億円とも見積もられており、年当たりにすると17.6億円にも上ります。気が遠くなるような額ですが、その備えはほとんどゼロに近いのです。これは恐るべき怠慢で、隣の松川村と比較するとその違いが歴然とします。
令和2年度末の比較で、松川村の公共施設等の積み立ては約16億円強、その他の特定目的基金を合わせると23億円強です。それに対して池田町は公共施設関係が3億円ちょっと、その他のこまごました目的基金を合わせても5億円程度なのです。

第5は、経常経費と投資的経費のアンバランスの広がりです。平成28年度で経常経費80%、投資的経費20%だったのが、令和7年度(町の試算)には95:5、投資的経費がわずか2.2億円になるというのです。これでは、予算編成すらできないかもしれないほどの危機的状況です。財政規模を身の丈にし、経常経費と投資的経費をせめて85:15くらいにもどさないと、どんな有能な町長でもまともな町政運営はできません。

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さて、役場の職員であれば(全員とはいいませんが)、池田町の財政がおおまかにどのようになっており、問題があればどう解決すべきかを普段から考えているべきです。考えるのは町長はじめ理事者(課長クラスまでいれてもいいが)で、一般職員はただ黙って与えられた仕事をやるだけという職場なら、そこには創意もなければ活力も生まれないでしょう。そうした中で、現在のような事態が生まれたのだとすれば、それは理事者だけの責任なのか。一般職員には何ら責任はないのか。要は、そのような問題なのです。

職員も、議員も、町民もそれぞれの部署で、何が問題なのか、実態はどうか、どうするのが最も賢明な選択なのかを考え、議論することが求められているとするなら、今回の委員会の答申は一石を投じるという点で大きな価値があると私は思っています。