硫黄島の星条旗

2009-08-29 | history
を読む。
ジェームズ・ブラッドリー,ロン・パワーズ著。原著は2000年刊。
夢中で読む。
有名な写真の中で星条旗をたてかけている6人の海兵隊員のうちの一人が著者ジェームズ・ブラッドリーの父親。
生前,硫黄島の戦いについて家族にほとんど何も話さなかった父親。
彼と彼の仲間たちの戦いとその後が描かれている。
映画では,戦後6人のうち生き残った3人が「ヒーロー」に祭り上げられ,戦時国債消化のため米政府に利用された,というところにフォーカスがあてられていたと思うが,それを含めて全篇が興味深かった。
戦争に参加した当時のアメリカの若者たちの暮らしぶり,海兵隊の精緻な事前訓練,士気,硫黄島作戦の規模,海兵隊員から見た硫黄島の戦闘ーすべて興味深かった。
800隻以上の艦船を動因しての硫黄島作戦だったが,アメリカ側からしても総力をあげた作戦だったということがわかった。
人物としては,主人公である父親ジョン・ブラッドリーとともに小隊のリーダーで戦死した「マイク・ストランク」が印象的だ。
最終章は父親ジョン・ブラッドリーの記憶にあてられているが,
「数年後のいま,わたしは日本人の価値観とジョン・ブラッドリーの価値観がじつによく似ていることに気がついた。心の平静,礼儀正しさ,清廉,名誉,実直,家族への献身的な愛情,ぺらぺら話すより心の中を見て答えを探す静かな観想」
という記述が印象的。
古きよき時代の日本の価値観,と言ってはそれまでだが,たしかにそれらは日本の伝統的な徳目ではある。
「沖縄シュガーローフの戦い」にも,(とんでもない連中かと思っていたが)「日本兵はわれわれと同じ目をしていた」という海兵隊員のせりふがあった。
どの国にもいろいろな人間がいるが,硫黄島でも戦うべきでなかった「同じ目」をした人々が不幸な戦をしてしまったようだ。
指導者の責任は思い。
なお,本書は,天国のジョン・ブラッドリーへの,15歳の孫娘からの手紙で終わっている。そのまま,Letters from Iwo-Jimaに接続する。
クリント・イーストウッドが2部作にしようと思うのも自然。

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