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「白道」(びゃくどう)を読む

2005-10-31 | literature
入院中,瀬戸内寂聴「白道」(講談社文庫)を読んだ。
これは西行法師の物語。このところ同じ作家の「手鞠」(新潮文庫),「花に問え」(中公文庫)を読んでいる。「手鞠」は良寛の物語,「花に問え」は一遍の物語。これらに比べても「白道」は力作。作家の力量すべてが注ぎ込まれている観がある。
自分の人生と重ねあわせながら歌人の生涯をたどる,という点で水上勉「良寛」を思わすところもある。内容的にも「良寛」に比肩するだろう。
良寛や一遍の物語と比べ西行の物語が成功した理由は,ひとつには西行そのものが生きた舞台の広さにあろう。西行は源平争乱期のまっただ中を生きた。政治の中枢にいたわけではないが,それに近いところにいた。北面の武士だった頃清盛とは同僚だったし,藤原秀衡とは同族のよしみもあり平泉で2度会っている。また,頼朝とは鎌倉で会い,「銀の猫」の逸話を残している。これらを記述することは,物語に広がりと適度な複雑さを加味することにつながる。
この物語では,西行の出家の大きな原因として,待賢門院璋子(鳥羽天皇の中宮,崇徳天皇生母)への恋が挙げられている。彼女は結果的に保元・平治の乱の「原因」となった女性だ。彼女が西行にとっての永遠の女性であったというのが本書の設定だが,状況から見て,かなり蓋然性が高そうだ。ただ,本書でも,待賢門院璋子は簾の奥深く隠れていて,肉声が聞こえない。西行ほどの人物が惹かれた女性だ。単なる浮き草風の女性であったはずはない。どのような女性であったのか。夫である鳥羽上皇と彼から「叔父子」と呼ばれたとされる息子・崇徳上皇との深刻な対立をどのように見ていたのか。ないものねだりとなるが,この点興味がある。

次は,陸奥への2度目の旅のおり,69歳の西行が詠んだ歌。

東の方へ修行し侍りけるに富士の山をよめる
   風になびく富士のけぶりの空に消えて
   ゆくへも知らぬわが思ひかな

慈円「拾玉集」によれば,西行は「是ぞ我が第一の自讃歌」と述べたそうである。瀬戸内氏も,同じ旅の途中詠んだ

   年たけてまた越ゆべしと思いきや
   いのちなりけりさやの中山

とともに,西行生涯の絶唱と評している。

boston common

2005-10-29 | boston

「ボストン・コモン」はボストンのセントラルパーク。ニューヨークのそれより規模は小さいが,リスがいてスワンが浮かぶ池があり,冬にはスケートリンクに変身する小さな池もある。ボストンを含むニューイングランドの紅葉の美しさには定評があり,私が滞在した秋の紅葉も見事だった。

boston common

2005-10-29 | boston

14日朝車で出勤途中交通事故にあい,救急車で病院に運ばれました。検査の結果,左肩鎖骨と肋骨の骨折があり,全治6週間の診断を受けました。鎖骨の手術を受けた後しばらく入院,本日退院の運びとなりました(肋骨のほうは手術せず自然治癒にまかせるとのことです)。まだかなり痛みがあり,身体の自由が効きません。しばらく抗生物質を服用,来週抜糸,2,3ヶ月後骨を固定するために入れたものを取り除く,という予定です。トラックとの衝突で,私の軽自動車は大破しました。車が「うまく」大破してくれたので,骨折程度で済んだと思っています。衝突安全性設計の恩恵を受けたようです。安全運転を心がけてきた私としては予想外の事故でしたが,起きてしまったことは仕方ありません。目などにも若干のダメージがあるので,社会復帰には少し時間がかかるかもしれません。このような事情でしばらくブログの更新ができませんでした。

写真は,ボストンの中央公園「ボストン・コモン」の紅葉です。

アストロズ18回裏さよなら勝ち!

2005-10-10 | mlb
   
ナショナルリーグ地区シリーズ,ブレーブス対アストロズはアストロズの2勝1敗で迎えた今日のGame4,延長18回裏アストロズChris Burkeのホームランによって劇的なかたちで決着がついた。

後がないブレーブスは,中3日でエース,ハドソンを先発させ,必勝の布陣。アストロズは若手のバッキー。バッキーを攻略したブレーブスは,8回裏まで5点のリード。しかし,その回Lance Berkmanが満塁ホームランで1点差。さらに土壇場9回裏2アウトからブラッド・オースマスが起死回生の同点ソロホームラン。センターのグローブをわずかに超えるホームランだった。6対6の同点で延長へ。

延長に入って両チームともブルペンが踏ん張り,零点の行進。救援投手の尽きたアストロズは,16回から43歳のエース「ロケット」ロジャー・クレメンスを投入。彼が見事な投球で3回を無失点に抑えている間に,18回裏のChris Burkeのさよならホームランで決着がついた。

すごい試合。私は延長12回頃までネットで経過を見ていたが,どう見てもブレーブスが押していて,逆の結果が出そうだったので,電源を切っていた(私はガーナー・アストロズファン)。タイガース時代野茂のボールを受け,デフェンス力は高いが貧打の定評のあったオースマスの土壇場の同点ホームランにびっくり。ガーナー監督が勝ったので,私としてはうれしい結末。

これで,ナショナルリーグ優勝決定シリーズは昨年同様,カージナルス対アストロズの組み合わせとなった。昨年はGame7まで行き,カージナルスが勝った。今年はどうだろう。

決定的場面の映像が次で見られる。
http://houston.astros.mlb.com/NASApp/mlb/mlb/ps/y2005/wrap.jsp?ymd=20051009&content_id=1243734&vkey=ps2005wrapup&fext=.jsp&c_id=hou&team=home
狂喜乱舞というのだろうか,すごいエキサイトぶりだ。
掲示板には,ブッシュ大統領の地元テキサスらしく「オースマスを副大統領に!」という投稿。ただし,あいにくニューイングランド出身のオースマスは民主党支持のもよう。
バグエルも同じニューイングランド出身。キャリアの最後に近づいたバグエルとビジオにワールドチャンピョン・リングをとらせたい,と願うファンは多い。

18回のendingに至るまで,いろいろな事があったようだ。(http://blogs.chron.com/sportsjustice/)
たとえば,10回,ガーナー監督は,彼の最良の打者ランス・バークマンー8回裏に満塁ホームランを打っているーに代走を送った。後で物議をよびそうな采配。ところが,その代走というのがクリス・バーク,彼は18回さよならホームランを打った。


ホワイトソックス,スウィープ!

2005-10-09 | mlb

ホワイトソックスがレッドソックスをスイープ,アメリカンリーグ優勝決定シリーズ進出を決めた。

ボストン・フェンウェイパークで行われたGame3では,"El Duque"ことオルランド・ヘルナンデスの好救援が決め手になった。6回裏,ラミレスのソロ本塁打で,4対3と1点差につめ寄られ,救援の左腕マルテがヒットと2四球で,無死満塁の大ピンチ,それをヘルナンデスが無失点で切り抜けた。9回にスクイズで1点を加え,5対3で前年度のワールドチャンプを下した。

Game1, Game2, Game3をそれぞれ別の勝ち方をし,ホワイトソックスにとっては会心の勝利。(写真は,ホワイトソックス,ギーエン監督)

ホワイトソックス公式サイトの掲示板を見ていたら,ホワイトソックスの戦いぶりを賞賛するレッドソックスファンなどの気持ちのいい投稿のほかに,質のよくないヤンキースファンの投稿が目についた(もちろん,お祝いのことばをのべるclassyなヤンキースファンも多い。その意味では彼は例外。まあ,どこにもこういう人はいる)。

Remember me? I told you so!
俺を覚えてる?言った通りだろ!
と題する次の投稿。

Your team is not that good, face it 15 game lead down to 2.5 that's not good. I told you ,I would come back to tell you, that the white Sox don't have it in them! The yanks will end up with the best record in AL. And that's after being 11-21 in may!

ホワイトソックスは,一時は15ゲームあったゲーム差を2ゲーム半まで落とした,だから大したチームではない。それに対しヤンキースは5月の時点で11勝21敗だったのを盛り返した,ヤンキースは勝率でもリーグNo.1になるだろう。

ホワイトソックスファンのお返し:

No, I don't remember you. Poor social skills, low self-image, inability to remain coherent for long periods of time...Is that you?

すぐれた人格をアメリカ人は,social skillsを豊かにもつこと,self-imageを明確に表明していること,長期にわたって首尾一貫性を保てること,に置いていることがこれからわかり,面白い。私はファジー好きだが,主張が明確に述べられているのをきくのはきらいではない。ただし,どこのどなたとはいわないが,すぐ底の割れる明確さは勘弁してほしい。



ホワイトソックス連勝

2005-10-07 | mlb

MLBプレイオフ地区シリーズは2回戦終了。
ホワイトソックスが地元シカゴで昨年のワールドチャンピョン、レッドソックスに連勝、地区シリーズ優勝にあと1勝とせまった。

井口が攻守に決定的なプレーを見せた。
Game1では、6-0の4回表2点返され、なお無死2塁。次のセカンドゴロを3塁に投げ、走者をフォースアウト。セオリーでは確実にアウトをとるために1塁に投げるのが正しいとのことだが、強打レッドソックスの逆転の芽をつむ見事なプレー。

Game2では、エース、バーリーが早い回から打ち込まれ0-4の5回裏、2点返して、相手のエラーもありなお2死1,3塁のチャンスに、百戦錬磨のウェルズの決め球カーブをものの見事に打って、逆転3ランホームラン!そのまま5-4で逆転勝ち。地力のあるレッドソックスが盛り返してきたところに、逆転3ランだから価値がある。

シカゴの観客席もすごい盛り上がりだったようだ。次は、Chicago Sun-Times電子版から。長年のホワイトソックスファン,シカゴ市長3兄弟の様子。「これまでで最もエキサイテイングなゲームの一つ」,「試合前みんな(勝てるか)不安だったんだ」,「それが逆転勝ちなんだ」,「みんな心臓パクパク,帰って薬をのまなくちゃ」

Lifelong Sox fans Mayor Daley, along with his brothers John and Bill, might as well have been kids again.

"We're all nervous," the mayor confessed moments before the first pitch. Later, with victory in hand, the trio was ecstatic.

"It's one of the most exciting games," a beaming Daley said. "They came back. Everybody's heart is thumping. Go home and take a pill."

The collective cheer of 40,799 fans was thunderous, and the mayor said he's never heard.

チャールズレガッタ

2005-10-03 | boston

2000年10月の週末、チャールズ川でボート競争を見物した。チャールズレガッタ(Head Of The Charles Regatta)は,2日にわたって争われる世界最大の競艇大会。第1回は1965年10月16日とのことだから、今年で40年目。

MLBプレーオフ前夜

2005-10-03 | mlb
MLBはレギュラー試合が今日で終了,プレーオフ進出チームが決定した。

終盤インデイアンズの圧倒的な追い上げで緊迫したアメリカンリーグは,最後の段階で追い上げ及ばず,プレーオフはまず,ヤンキースVSエンジェルス,ホワイトソックスVSレッドソックスの組み合わせとなった。

エンジェルスの戦力を各チーム警戒しているようだが,ヤンキースが当たることになった。ヤンキースはかなりあやうい投手陣をもちながら,よく勝ち上がった感じ。主力のムッシーナの肩の状態が悪いようだから,エンジェルスに歩がありそうだ。

井口の属す最高勝率のホワイトソックスは先発投手陣がいい。ただ,昨年ワールドチャンプ,レッドソックスのヒッピー風打線は柔軟で底力がある。レッドソックスがいいのではないか。

すると,エンジェルスVSレッドソックス。これは予測困難な組み合わせ。私の第六感では,緻密なソーシャ監督率いるエンジェルス優勝。いずれにせよ,実力伯仲の見応えのあるプレーオフとなりそうだ。

追加
私にとっていまひとつ魅力がないが、ナショナルリーグ。
こちらは、パドレスVSカージナルス、アストロズ(ワイルドカード)VSブレーブス
の組み合わせ。

レギュラーシーズンの戦績からみて、総合力ではカージナルスとブレーブスが頭ひとつ、ふたつリードしている。しかし、先に3勝すればよい短期決戦では結果はわからない。

先発投手陣にペテイート、クレメンス、オズワルド有するアストロズが、昨年に続き今年もブレーブスを食う確率はかなりある(ただし打力は落ちているようだ)。

82勝(80敗)で地区優勝したパドレスが横綱級のカージナルスを食えば面白くなる。その場合、アストロズ優勝か。

アストロズのフィル・ガーナーは、戦力的に劣るブリュワーズの監督を長く務め、不遇だった。2年連続ワイルドカードでプレーオフ進出は立派な戦績だが、ここらで勝たせたい。