責任 ラバウルの将軍今村均

2009-08-23 | history

を読む(角田房子著,ちくま文庫)。1984年に刊行されたものの文庫版。ラバウル10万の将兵を指揮した今村均大将の評伝。制海空権を失い補給路が断たれることを予期して硫黄島並みの地下要塞を作り上げ米軍を待ち構えたが,敬遠され,玉砕することなく終戦を迎えた。オーストラリア軍による戦犯法廷で多くの部下が処刑されるなか,かれらをかばい,南太平洋の戦犯刑務所にとどまり,帰国後も旧部下と遺族のために生きた。「私も後でゆく」と言いながら特攻隊を送り,戦後も生き延びた指揮官たちとは対極にある。われわれのすぐれた先輩だ。巻末に置かれている保坂正康による解説もよい。

いくつか印象に残った文章(今村大将)
「戦勝のとき功一級などを与えられる地位の者が,戦敗を招いた場合,罰一級をこおむることを避けようとするのは,これこそ許すべからざる厚顔無恥と言わなければならぬ」

「部下将兵の生命を,勝ち得ない戦いに失うぐらい大きな犯罪はまたと世にあり得ようか」

 


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