偽装

2006-08-26 | news

朝日新聞朝刊から

偽装社会(1)2006年08月26日

 「偽装」という言葉がメディアをにぎわすのは、姉歯・元1級建築士による耐震強度の偽装構造計算以降である。直近では一流大企業の製造現場における偽装請負も次々暴露されている。その間、それ以前でも様々な名称で呼ばれる偽装行為が政・官・民のあらゆる分野で相次いでいる。

 政界では、日歯連の1億円不正献金にからむ平成研の政治資金報告書偽装による裏金作りや、最近では最大野党が解体の危機寸前にまで陥った偽装メール事件があった。

 企業については、雪印食品に始まる輸入食肉虚偽報告、三菱自動車のリコール隠し、三井物産の排ガスデータ改ざんなど法令報告書の偽装や、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載、カネボウ、ライブドアなどの粉飾決算という会計報告の偽装が横行している。

 また、多くの国内産業で目立つ談合は入札偽装といえるが、結局は業界を弱体化させるにもかかわらず、消費者を欺き続けている。

 「民」の代表であるNPO団体なども偽装と無縁ではない。大学でも、早稲田大学を始め研究補助金の不正流用が頻発している。

 中でも、最も深刻なのが国、地方を問わず至る所で目立つ「官」の偽装だ。メディアも忘れ去ったかに見えた裏金問題は、岐阜県の驚くべき実態で再び脚光を浴び出している。

 今後相次ぐと懸念される自治体破綻(はたん)の先駆けとなる夕張市は、一時借入金という債務を隠した上に、職員の賞与を増額までしたが、財政再建団体となることで市民にツケを回そうとしている。官製談合という名の偽装入札も、道路公団や防衛施設庁で逮捕者を出した。

 この国には元々フェアという規範はなく、正義という徳目も失われ、底なしの「偽装社会」に成り果ててしまったようである。この国の品格はどこまで落ちていってしまうのだろうか?http://www.asahi.com/business/column/TKY200608260108.html 

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ミツトヨ不正輸出、改ざんソフトで性能データ低く偽装2006年8月25日読売)

 大手精密測定機器メーカー「ミツトヨ」(川崎市)による外為法違反事件で、同社は、自社開発した数値改ざんソフトを使って、三次元測定機の性能を示す数値を低く見せ掛け、輸出規制に触れないよう偽装していたことが、警視庁公安部の調べでわかった。Click here to find out more!

 このソフトは、同社副会長の高辻乗雄(71)と、常務の筑後英世(66)の両容疑者が中心になって開発したとみられ、公安部は、同社が1995年以降、このソフトを使って不正輸出した三次元測定機は、約1万台に上る可能性があるとみて調べている。

 公安部によると、同社が2001年10月と11月にマレーシアに不正輸出した三次元測定機は、計測誤差が、製造直後の完成検査の際には、輸出規制に触れる数値になっていたにもかかわらず、輸出直前の書類には、実際より計測誤差が大きく書き換えられていた。

 これについて、公安部が複数の同社関係者から任意で事情を聞いた結果、同社では、三次元測定機を輸出する際、専用の改ざんソフトを使い、数値を実際の性能よりも低く見せ掛ける偽装が恒常的に行われていたことを突き止めた。

 同社では90年代初めごろから、バブル崩壊の影響で業績が急速に悪化。92年11月ごろ、有望な市場になる見通しがある中国を中心に、海外への輸出強化策が検討され始めた。

 しかし、中国への輸出は当時、対共産圏輸出統制委員会(COCOM)で規制されており、92年末の外為法関連政令の改正で、輸出規制対象製品が18種類から、精密測定機器を含む51種類に拡大されるなどし、同社も93年6月にイラン向けの三次元測定機の輸出が不許可になった。

 このため輸出規制に触れないよう改ざんソフトを開発して性能データを偽装する方針が決まったという。

 改ざんソフトは、三次元測定機が、物体をどのくらい正確に計測できるかなどの性能データを表示する際、実際の性能データを下回る数値で表示する仕組みで、遅くとも94年ごろに開発され、「COCOM」と名付けられた。

 このソフトを使った不正輸出が始まったのは95年ごろからとみられ、公安部では、輸出部門の責任者である海外営業本部長だった高辻容疑者や、輸出管理を担当していた筑後容疑者が、この方針決定やソフト開発の中心になっていたとみている。

 また、同社が95年以降に輸出した三次元測定機は約1万4000台に上っており、公安部では、このうち3000台超の性能を調べた結果、9割以上が輸出規制に触れることが判明。このため、公安部は少なくとも約1万台が性能データを偽装して輸出されていたとみている。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060825i305.htm?from=main3

コメント  次々に暴かれる偽装。姉歯氏の場合も簡単にばれる手口に驚いたが,この「ミツトヨ」のケースも驚く。戦略上重要な機械の輸出について,CIAの目を逃れられると考えていたようだから驚く。ボクシングのタイトルマッチなどみんなが見ている前での「偽装」だから,論外。こちらは,偽装もボクシングの一部,ということだろうか。

 

 

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