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《読書》林信吾『反戦軍事学』朝日新書

2007-02-06 04:44:36 | 読書

●〔9〕林信吾『反戦軍事学』朝日新書 2006
(2007.01.28読了)〈2006315〉

○内容紹介
 さまざまな軍事”常識”をもとに、戦後体制を批判し、強行外交を唱える作家や知識人が後を絶たない。だが実は、その”常識”の多くは怪しげな俗説や思いこみであり、知識があれば、簡単に論破できるのだ…… だまされないためには、今や戦争を憎む者こそが、軍事に対する基礎教養を身につけなければならない!「駆逐艦/巡洋艦」の違いから、トレンチ・コートの由来まで、全国民が読んで楽しめる、軍事基礎教養講座!
 “右傾化”が止まらぬ日本に、リベラル派から超巨大爆弾!ちまたにあふれる“エセ軍事常識”を一刀両断。全国民必読の軍事基礎教養講座。
 反戦者こそ、まず軍事を知らなくてはならない。「駆逐艦と巡洋艦の違いは?」「中尉と大佐はどっちが上?」など、軍隊の由来・しくみから、自衛隊の実態まで、軍事に関する基礎知識をまとめた“戦争反対”のための教養講座。

 「反戦者こそ、まず軍事を知らなくてはならない。」ということで、いわゆる「左翼」の立場から書かれた軍事学の本です。なかなかナイスな切り口ですね。
 本書では前半で基礎的な軍事知識についての解説を行い、後半ではいわゆる「右翼」の立場の人たちの著書を論破しています。

○石破茂『国防』新潮社 (2005)
 前にも述べたが、政治家たる石破氏の軍事知識は、貴重なものだと言える。しかし、知識はあっても見識がない人は、余計に始末が悪い、とも言える。(p.139)

  私がなぜ、あわよくば徴兵制を復活させようという発想が、すごく嫌いなのかというと大体において、そういうことを言う人ほど、自身や身内が戦場で果てるという事態を覚悟しているように見受けられないからだ。
 いささか感情的な物言いになることは承知の上で、あえて言わせてもらおう。
 元参議院議員・鳥取県知事を父に待つ石破氏白身を含め、自民党には掃いて捨てるほどいる二世議員の中で、自ら進んで国防の任に就いた経験を待つ人が1人もいないのは、一体どういうわけか。
 世襲の特権階級とも呼ぶべき二世議員が、国のために戦う気概などと言うのを聞くと、私にはどうも、参謀などエリートは安全なところにいて、前線の兵士には満足な補給もせず、ただひたすら国のために死ぬことを強要し続けた、大日本帝国陸海軍の姿と二重写しに見えてしまうのである。
 議席を世襲することの是非をひとまず置いても、国民に向かって、徴兵制は平等であるだの、国を守る気概を持つべきだのと得々として言うのなら、まずは跡取り息子(娘でもよい)に国防の大切さを説き、自衛隊に「志願兵」として入隊することを勧めるのが、人の遣というものではないのか。
 彼らは、旧ソ連や中国の政治家の言動を、口を極めて非難するけれども、スターリンがナチス・ドイツ軍との戦いにおいて、毛沢東は朝鮮戦争の義勇軍派遣に際して、それぞれ息子を一兵卒として従軍させ、戦死させていることには言及しない。
 スターリンや毛沢束が立派だと言いたいのではない。国民を戦争に駆り立てるのであれば、最低限、このくらいの覚悟は必要だということだ。(pp.128~129)

 これは長谷川如是閑の「戦争絶滅受合法案」を連想させますね。

※関連サイト:「ジェラス・ゲイ | 江原 元のページ」より

○小林よしのり『いわゆるA級戦犯-ゴー宣SPECIAL-』幻冬舎 (2006)
 さてそれでは、東京裁判を、私はどう考えているのか。
 法理論的に言えば、こんな無茶苦茶な裁判はない。
 そもそも裁判の根拠となった「平和に対する罪」「人道に対する罪」なるものは、国際的に認知された法律でもなんでもなかった。いかなる犯罪でも、犯罪が起きた後になってから作った法律(事後法という)で裁くことはできないのは、法理論のイロハである。
 それでは、どうして私は、
 「日本に『A級戦犯』などいない/ 連合国になすりつけられた『戦犯』の観念を払拭しない限り、日本民族の自立はないのであるタ」(二二六頁・これがオチである)
 などと絶叫する小林氏に、同調しないのか。
この問題は、法理論でもってどうにかなるものではないと、私は考えている。(pp.190~191)

 その他にも、上坂冬子『戦争を知らない人のための靖国問題』文春新書(2006)、兵頭二十八『ニッポン核武装再論-日本が国家としてサバイバルする唯一の道-』並木書房 (2004)などが論破されています。

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