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《読書》野口悠紀雄『超「超」整理法-知的生産力を飛躍的に拡大させるセオリー』講談社(その2)

2008-10-16 05:38:37 | 読書
●〔97〕野口悠紀雄『超「超」整理法-知的生産力を飛躍的に拡大させるセオリー』講談社 2008(2008.09.21読了)〈2008156〉
(承前)

○ペーパーレス
デジタル・オフィスの強みは、「紙がないから見た目がきれい」ということではない。そうではなく、「情報が電子的な形態で保存されているため検索できる」ということである。(中略)
IT機器メーカーの宣伝文句は、セールスポイントが間違っていると思う。「デジタル・オフィスでは紙をなくせます」は、適切なセールスポイントではない。そうではなく、つぎのように言うべきだ。
「紙がいくらあっても苦になりません。データは電子的に保存されているので、紙を捨てることができるし、データはすぐ検索できます」(pp.111~112)
 エコロジー全盛のこの時代に、よくぞ言い切ってくれたものです。私も、バチがあたりそうな話ですが、デジタルデータの資料を探し、プリントアウトして確認して、捨てる、ということをよくやっています。所詮、エコロジーと利便性は相反するものでしょう。

○仕事をする技術
さて、仕事に関して「現役」になるためには、まず仕事を開始しなければならない。だから、何をおいても必要なのは、「とにかく始める」ことだ。いかなる仕事においても、最も難しいのは「始めること」である。多くの人は、全体の見通しがある程度できないと、仕事に取り掛かれない。そして、「まだアイディアが熟成していない」等々の言い訳を考え出して、着手しない。つまり、「構えてしまう」のだ。重要な仕事ほど、そうなる。
スイスの哲学者ヒルティは、『幸福論』の中で、これと同じことを述べている。ヒルティは、つぎのように述べている(草間平作訳、岩波文庫)。
《まず何よりも肝心なのは、思いきってやり始めることである。仕事の机にすわって、心を仕 事に向けるという決心が、結局一番難しいことなのだ。一度ペンをとって最初の一線を引くか、あるいは鍬を握って一打ちするかすれば、それでもう事態はずっと容易になっているのである。ところが、ある人たちは、始めるのにいつも何かが足りなくて、ただ準備ぽかりして、なかなか仕事にかかれない。(中略)また他の人たちは、特別な感興のわくのを待つが、しかし、感興は、仕事に伴って、またその最中に、最もわきやすいものなのだ。》
重要なのは、「構えないで、開始すること」である。「無責任な態度で始める」のだ。この目的のために、PCは大変有効である。文章の執筆において、これは本質的に重要な道具だ。いくらでも書き直しができるから、気楽に仕事を始められる。このことの重要性は、いくら強調しても、しすぎることがない。(《》は引用者が付加。pp.249~250)
 ヒルティについては、渡部昇一も『知的生活の方法』で言及していたように思います。

 なお、野口悠紀雄はオンライン上で「野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道」を連載しています。当然ながらこの本の内容ともかなりダブるところがあります。