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《読書》中島隆信『お寺の経済学』東洋経済新報社

2007-08-08 06:58:51 | 読書

●〔60〕中島隆信『お寺の経済学』東洋経済新報社 2005
(2007.08.04読了)〈2007148〉

○内容紹介
全国に四万店以上あるコンビニを軽く超え、七万五〇〇〇存在するというお寺。本書では、一〇万人以上の僧侶、六〇〇〇万人の信者が存在するというその巨大マーケットを経済学的に鋭く分析します。生まれてから死ぬまで、お寺にまったく関係のない人はめずらしい割に、お寺のことをよく知らない日本人が多いのではないでしょうか。本書を読めば、檀家制度、葬式、戒名、お墓から宗教法人への課税問題まで、お寺の仕組みがよくわかります。葬式仏教と揶揄されるお寺の未来など、現役の僧侶も知っておきたい話題が満載です。

 お寺を財・サービスの提供、効用といった経済学の観点から分析したユニークな本でした。面白く読むことができました。

○檀家制度
 日本のお寺にあって中国やタイのお寺にないものは何か。それはお墓である。なぜ日本の寺院にお墓があるのだろうか。その理由は、日本のお寺には「檀家」という他の仏教国に例を見ない特殊な存在があるからだ。
 檀家とは、葬祭や墓地を媒介として寺院が長期的な取引契約を結んだ仏教信者のことをいう。(「第2章 すべては檀家制度からはじまった」p.33)

 昔、渡辺照宏『仏教』(岩波新書)1956を読んで、現代の日本の仏教と原始仏教があまりにも乖離しているのに驚いた記憶があります。その原因の一端は江戸時代に始まった檀家制度にあるとのことです。また、ひろさちやの「江戸時代に仏教は死んだ」という言葉も引用されています(p.22)。

○沖縄のお寺
 沖縄はお寺に関して他の都道府県と著しく異なる特徴を数多く持っている。
 まず、お寺の数がきわめて少ない。二〇〇〇年現在、沖縄県に宗教法人として登録されている仏教系寺院はたったの五三ヵ寺しかない。世帯数との比率でいうと、八四〇〇世帯あたり一ヵ寺となる。全国平均で六〇〇世帯あたり一ヵ寺だから、そのわずか一四分の一という少なさである。(「第8章 沖縄のお寺に学ぶ」p.181)

 へえーっということの連続で、興味深く読むことができました。