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日々是好日~にちにちこれこうにち

 幸せ住空間&木の架構の家を提案します!
 小野綾子の日々ブログです。

基本と応用力

2009-09-27 09:46:27 | 日々の建築ウォッチング
何事も「基本が大切」と言いますが、
その真価を発揮するのは、
応用が効いたときかも知れません。

そんな想いを抱いたのは、
吉田桂二先生の木造学校見学会で、三重県の木材店を訪問したからです。

写真は、新築の木材倉庫の内部。



  1)木材を使用すること
  
  2)決して強度的に上等のものではなく、普及品の乙材をつかうこと

  3)部材は出来るだけ小さいものを使用し、大きくしないこと

吉田桂二先生に伝えた木材店の建て主の要望は、
上記の内容だったと聞きました。


この倉庫は、幅50m、奥行き20mの大型建築で、
一般住宅でごく普通に使用する
120cm角の長さ3mの木材で成り立っていました。


架構はカボチャ束という伝統構法を応用。



せり持ちで、柱を無くすことが可能な構法なので
今回、採用されたのだと思います。


現地に行くと、その大きさと迫力で圧倒されます。

しかし、落ちついてじっくり見ていると、
必要な材が、必要な場所にしか存在しない、
究極の構造を見ることが出来ます。

架構の仕組みは、確かに、
木造学校で教わる基本形そのままです。

応用した先に、このような建築があるのだと
大変刺激を受けました。


応用が効くということ。
それも一つの生涯の中で、どこまで行きつけるかによって、
人は「天才」と呼ぶのかも知れません。


三重へ~伊勢神宮と伊勢河崎

2009-09-18 19:53:56 | 日々の建築ウォッチング
このところ、maxで忙しかったため、
blogのアップがご無沙汰してました。

事務所で数十時間連続(笑)で作業していると、
外の世界が、より新鮮で爽やかに感じます・・・

そんな多忙の中、何とか明日からの見学会に合わせて、
今日から三重入りしました。

今日は、ちょっぴりお仕事のことは忘れて、
伊勢神宮に行ってまいりました。


実は、伊勢神宮にはこれで三回目ですが、
あまり覚えていないのです。
おぼろげな記憶しか残っておらず、今回で整理がつきました。

平日で人が少ないせいか(特に外宮)、
静かで、落ち着くところ、清浄感のあるところ、という印象を受けました。
それに、大木に囲まれて、木の香りもしますし、
山で森林浴している気分にもなれます。

写真は、内宮の御手洗場で撮影した五十鈴川の水面。



綺麗なお水でした。


伊勢神宮にて心地よい感覚を体内に残して、
次に訪れたのは、外宮に近い、伊勢河崎の町並みです。


水運で栄えた商人の町ですが、



こちらも本当に素敵なところでした。
特に伊勢河崎商人館は、素晴らしい建物で、
機会があれば是非見てくださいね。

この建物を壊して、マンション計画があったとか。
そうならなくて本当に良かった・・と
心の底から思えるような立派な建物群でした。


良い建築は、時代を超えて現在でも何かしらのヒントを与えてくれるものです。

私自身、住宅設計において参考にさせていただきたいと
思うポイントに多く出会えた素敵な民家ウォッチングとなりました。


明日は、こちらで吉田桂二先生と皆さんに合流します。
今回も、また色々と学べたらと思います。



秋篠の森

2009-09-09 08:15:18 | 日々の建築ウォッチング
今回、奈良にも足を延ばしてきました。

秋篠寺に近い「秋篠の森」は
古い建物をリノベーションした小ホテルとレストラン、
そして雑貨店を構えた森の中の建物です。

設計は中村好文氏




建物を感じ、味わうには、宿泊するのが一番ですが、

今回はレストランでお食事を頂くことにしました。





中村好文氏は、吉村順三さんの事務所出身。

家具の設計でも有名ですが、
そのまま、使い心地が建物にも表現されたような設計です。

柔らかく、優しさと心地よさが漂う建物でした。



そして、レストランでのお食事も素晴らしく、



久々に、上質な時間を過ごさせていただきました。

ゆったりとくつろげる、素敵な場所でした。


聴竹居~CHOCHIKUKYO

2009-09-05 14:34:48 | 日々の建築ウォッチング
日本最初の環境共生住宅・聴竹居を見学してきました。

場所は待庵と同じく山崎にあります。


設計:藤井厚二(元 竹中工務店設計部出身、京都大学教授)

竣工:昭和3年(1928年)


通風の仕掛けが随所に存在。
「窓を開ければ、通風が出来るじゃないか」と言ってしまえば
身も蓋もありませんが、

天井に通気口
床下に通気口
そして、各部屋の入口上部にランマがあるため

夜間でも、雨の日でも、24時間自然換気が可能な仕掛けとなっています。

天井の通気口は、まるで意匠を凝らした仕掛け箱のよう。
ランマの意匠はお月さま。

和モダンのこの住宅が、今年で81歳を迎えています。


待庵~TAIAN

2009-09-03 13:46:11 | 日々の建築ウォッチング
京都、山崎にある妙喜庵。
そこのお茶室「待庵」(国宝)を見学してきました。

千利休作と伝えられる確かな現存茶室は、この待庵だけとのこと。

茶室空間は、たった二畳なのですが、

意匠、材料、寸法、バランス、そして遊び心、と
見るポイントが実に多くありました。


この茶室を、利休はどのような想いで作ったのか、
どのような意図が込められているのか、と
分からないなりにも、推し量りながらの見学となりました。

ちなみに、窓にあえて掛かっている半柱“力竹”など、
私がそのまま真似ると、
「設計ミス?」と言われてしまうのが落ちです。(笑)

見かけだけ真似たところで、本来の意味は無くなるように感じた建物です。





ところで、今回は皆、建築好きの仲間が集まっての見学会。

写真撮影不可の建物を前に、
 熱心に目に焼き付ける人、
 スケッチする人、
 スケールを測る人、

また、自宅から重い「待庵」の図面資料集を
わざわざ持ってきてくれた人がいて、
 それを広げながら、議論したり再確認したり。

そんな我らを、ケンチク・ジャンキーと言う?そうです。

横浜 三溪園

2009-08-12 19:51:22 | 日々の建築ウォッチング
横浜開港150周年記念企画として、
横浜三溪園の古建築全17棟が、ただいま特別公開中です。(8/1~8/16)
横浜 三溪園のHP

三溪園は、ふだん非公開の建物が多く、
年に数回、特別公開が行われるものの、一部に限られていますし、

今回のように、全棟同時公開というのは大変貴重な機会です。


ということで、ガイドを務めるYさんを先頭に、
先週友人たちと見て周りました。


下の写真は、臨春閣(りんしゅんかく)です。



もとは紀州徳川家が紀ノ川沿いに建てた別荘とのこと。

川面の反射光を楽しめる開放的な縁側に、
凝ったデザインの障子桟や欄間など、遊び心が随所に表れていました。


この建物は、建具の教科書に出てきそうな
雨戸がえし?(と言うのか分かりませんが、とりあえず・・)で有名です。



雨戸が、コーナーに差し掛かったとき、
突起の金物にひっかけて、90度向きを変え、
向こう側に収まる仕掛けです。

民家ウォッチングで訪れた知覧(鹿児島県)の民家でも、
同じものを見かけました。



次の写真は、鶴翔閣(かくしょうかく)。原三溪の旧宅です。
数年前に修復工事が行われたため、ご覧の通り新築同様の綺麗さです。



2年前、建築士会の企画で、枡野俊明氏のお話を、鶴翔閣で聴きました。

枡野氏は、禅僧にして庭園デザイナー。
庭園の意匠と禅の思想についての、興味深いお話でした。

禅僧の法衣姿での講話に加え、
夜の非公開建物内で聴くというシチュエーションが、
たまらなく、一層神秘的な建物に感じさせられたものです。

今回は、真夏の日中の見学でしたから、
明るく伸びやかな建物に感じました。(笑)

山手十番館

2009-06-04 15:34:26 | 日々の建築ウォッチング
先週末、港の見える丘公園地区での用事のついでに、
山手をフラっと見てきました。

この「山手十番館」は立地条件も良く、有名です。



この建物、実は昭和40年代の建築で比較的新しいそうですが、
レトロ建築の雰囲気を十分出しています。


よく見ると、主屋の屋根は和瓦のようです。




このように、急な屋根勾配でない限り、
道路からあまり見えないものです。
(今は、Googleマップのお陰で、屋根が良く見えるようになりましたが・・)

それにしても、なぜ和瓦を採用したのか?と
そちらの方に興味が湧きました。


この洋構え+和瓦という組み合わせが、
明治・大正期のレトロ建築や擬洋風建築らしく見せる
仕掛けにも思えますし、

それとも、建設当時の昭和40年代はまだ、
「屋根は瓦である」という疑いの余地が無いほど、
あたりまえのこととして認知されていたのかもしれませんし、
(塔部分は、急勾配なので瓦は葺けない)

もしかしたら、
どうせ道路から見えないんだから、高い輸入洋瓦を使わないで、
量産品の和瓦にしちゃおう、だったかも知れないですし


まあ・・このような、どうでも良いようなことですが、
アレコレ考察しながら見るのが楽しみとなっています。


いわゆる「へぇ~」の世界でしょうか。
そのココロは、“明日からまったく役に立たない知識”と言われてしまう例の・・(笑)

陣馬街道

2009-04-15 17:03:11 | 日々の建築ウォッチング
先日、建築見学会が行われた陣馬街道へ初めて行ってきました。

陣馬街道について調べたところ、
八王子市の市街地を通る国道20号(甲州街道)の追分交差点から西へ分かれ、
和田峠を経て神奈川県相模原市藤野町に至る街道、とのこと。
甲州街道の裏街道と言われているそうです。


横浜に住んでいるせいか、八王子側の地理に疎く、
同じ関東と言えど、別世界のような新鮮さを憶えます。

八王子駅からバスで揺られること約30分。
落ち着いた雰囲気の里に到着しました。
川では子供たちが水遊びをしていましたよ。

見せていただいた家は、現地再生した素敵な民家。
あの木組みの美しさは、新築の設計段階で狙ってみたとしても
なかなか出すことの出来ない味わい深いものです。
階高、材料の質感、部材の形、そして記憶を留めている何ものかにおいて。
(それらを見事に生かしている設計のAさん、さすがです。)


2階のお部屋から外を眺めていると、

「この辺りは、イノシシが出るんです。 あの板で防御していますけど、
 それを壊してでも、敷地内に入ってくることがあるんですよ。」

と現地の方に教えて頂きました。

イノシシに突進してこられたら、怖いかも知れませんね(笑)


春の日の、遠足気分を味わえた一日でした。


七沢希望の丘初等学校

2009-03-06 12:56:37 | 日々の建築ウォッチング
昨日、建築士会有志にて、
七沢希望の丘初等学校を見学してきました。


設計:中村勉総合計画事務所
構造:山辺構造設計事務所

現地で、中村勉氏と山辺豊彦氏から
建物の説明をして頂きました。



外形が大変特徴的です。
写真は、教室外部のテラスを撮影したものですが、
うねるような形をしているのが何となく分かるでしょうか。



これは、敷地内の樹木をなるべく伐採しない配慮からとのこと。

また通風を考えて、
屋根勾配は2.5寸から4.5寸に徐々に変化するという
複雑な構造でした。


こちらは内部の教室の様子。




南側の壁ですが、耐力と採光を両立させるため、
木の格子をアクリル板で張り合わせたものでした。

ところで、
写真にあるような柱から斜めに延びるトラスを見ると、
吉田先生の例の束で掛けてみたらどうなるかなと、
つい思ってしまいます。




開放的な内部の空間に、外を見れば里山風景。
七沢の自然に囲まれた気持ちの良い所でした。
ここで学ぶ子供たちが、ちょっと羨ましく思います。

平沢官衙遺跡

2009-02-20 12:58:39 | 日々の建築ウォッチング
つくば市にある、平沢官衙遺跡(ひらさわ かんが いせき)



真壁の帰りに立ち寄ってきました。

今から1000年以上前の遺跡のうち、
3棟の高床式の倉庫が復元されています。


筑波山を背景に、
この広々感。
そして古代の雰囲気。

とても素敵なところです。

ご近所の方も、犬の散歩で来ていました。
犬も気持ちよさそう!!


また、案内センターでは、
復元工事の模様を、ビデオで見せていただき
大変興味深かったです。


こちらも、後日「民家ウォッチングの旅情報」で
紹介予定です。



真壁のひなまつり

2009-02-20 09:08:11 | 日々の建築ウォッチング
昨日、友人Mさんの建物下見調査に同行して、
茨城県の真壁へ行ってきました。

朝の7時に横浜を出発し、(途中休憩をはさんで)10時に真壁着です。

“まかべのひなまつり”の期間中のため、
町中は、大勢の人で賑わっていました。


店先に飾られたお雛様





以前から、真壁には訪問したかったのですが、
何せアクセスが遠くて・・。
頼みの綱である路線バスは、最近廃線になってしまったとか。
交通手段は車だけになってしまいました。
(Mさんに感謝!)

しかし、ひなまつりの期間中は、
つくばセンター(つくば駅)からシャトルバスが出ているそうです。


素敵な真壁の町並みは、後日、民家ウォッチングの旅情報
紹介できればと思っています。


建築家アルヴァ・アアルト

2009-02-03 14:10:50 | 日々の建築ウォッチング
2月3日は、実は私の誕生日。そして
フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトも今日が誕生日です。

外国の建築家の中で、唯一(笑)いいなと思える建築家でしたので
この同日は嬉しい。

10年前の2月3日にヘルシンキ行きフィンランド航空に搭乗しました。
その機内誌キートスに書かれていたアアルトの記事。
「なんだ、アアルトの誕生日って今日じゃない!?、私と一緒じゃないの~」と
マニアックな喜びを噛みしめていました(笑)


アアルトの作品には、有機的な温かみがあります。
個人住宅は木を用いるのが基本で
北欧らしくスッキリとしたデザインに仕上がっています。
そんなところが日本建築に通ずるものを感じるのです。

事実、設計した個人住宅を見るとモダンな日本の家のように見えます。


以下はフィンランドで購入したアアルト作品集ですが


表紙のドア握手は、アアルトデザインで有名です。


また、イッタラ社から出ているフラワーベースも知られています。
こちらは、オーロラの波をモチーフにしたものだと
聞いたことがあります。


私も透明のフラワーベースを持っています♪
せっかくなので久しぶりに花でも活けてみようかな。


京都へ(その2) 四君子苑(北村邸)

2008-10-23 10:56:19 | 日々の建築ウォッチング
北村美術館に隣接する特別公開中の北村邸「四君子苑」へ。

設計は北村捨次郎+吉田五十八氏(増築した新座敷部分)


吉田五十八氏の増築部分には、
有名な仕掛け「回転柱」などがありました。

吉田五十八さんらしい、建具のしつらえが各所に散りばめられています。
建築を学ぶ若手が、よく訪問するとか。



そして、素晴らしかったのが
北村捨次郎氏の手掛けた数寄屋建築部分です。




上の写真はその一部。
障子は大徳寺孤蓬庵(こほうあん)の忘筌(ぼうせん)に通じるものがありますね。

それにしても、手摺の納め方一つとっても、
何とも美しいではありませんか。

このような意匠を、
少しでも取り入れられれば、と思いました。


(・・・続く)

京都へ(その1) 銀閣寺 東求堂

2008-10-23 09:27:16 | 日々の建築ウォッチング
昨日は、京都へ行ってきました。
計11時間の滞在でしたが、実りある素晴らしい旅でした。



最初に訪れたのは、銀閣寺(東山慈照寺)



有名な観音殿(国宝)は修復工事中ですが、
これを不幸と見るか、幸運と見るかが分かれ目。


特別公開の東求堂(国宝)へ上がらせてもらい、
四畳半書院の同仁斎を拝見しました。

いきなり、日本建築美の底力を見せつけられた瞬間。

障子の割り付けの美しさ、書院棚と室内高さのバランス・・
そして何より、あの空気感。
静けさの中に圧倒的な存在感が漂うのです。



銀閣寺への訪問は、実は修学旅行以来です。
当時は、日本芸術の美しさも分からないままでしたが、
今になって、やっと見る準備が整ったということなのですね。

後世にこの文化を残す大切さと幸運を感じずにいられません。


美しい庭園を散策しているうちに、
すっかり静寂の世界に浸っておりました。

(・・・続く)

建築見学会

2008-09-29 20:59:04 | 日々の建築ウォッチング
週末は、師匠 吉田桂二先生引率による建築見学会でして、
埼玉の住宅を2件見せて頂きました。

1棟目は、吉田先生のお弟子さんの、岸さんが設計された住宅。
趣味の良い素敵な家です。
図面上では中々汲み取れないディテール、
講義だけでは理解しにくかったサッシの納まりなど、
つぶさに見ることができます。

分からないところは、すぐその場で質問できるのが、
この見学会の良いところ。
学校仲間同士でも、意見交換しながら学ばせていただきました。


2件目は、吉田桂二先生設計の住宅。
もう、見事でした。

居間から庭を眺めるための、16尺幅(4.848m)全開口サッシが圧巻。
大和郡山の慈光院を彷彿とさせます。
(民家ウォッチングの旅情報で後日紹介しますね)

今回は、建具枠ごと壁に納まってしまう障子や、
床の間の透かし壁、天井の仕掛け照明、
機能美の洋組トラスを取り入れておきながら、品の良い和風空間を作ってしまう。

毎年見学会をしていただいていますが、
先生の“間取りの玉手箱”の深さにただ脱帽。

それに襖絵も描いてしまうし、作庭もこなしてしまう器用さが羨ましいです。


見学会の後の懇親会では、先生は皆から質問攻めです(笑)。
設計技術だけではない“何か”を伝授していただける貴重な時間なのです。

皆、先生から元気を貰って、今日も各々頑張っているのです。