昨日、HAKUJUホールで行われたヤニス・クセナキスの全鍵盤作品演奏会に行ってきました。
ヤニス・クセナキスに興味を持ったのは、やはり建築家にして作曲家であることは否めません。
かの有名なコルビュジェの元で働きながら、図形的かつ数学的解釈でもって新しい音楽を生み出していった作曲家・・その作品はどんなものだろうと興味を抱いたことと、何といっても「全曲」コンサートですから(笑)。こういうの、好きなんです。
ピアニスト横山幸雄によるショパンピアノソロ全曲コンサートを聴いて思うのですが、
一人の作曲家の作品を通しで聴くことは、美術館で云う「○○展」のように、その作曲家の作風や想いに触れやすくなる利点があります。
しかしこのようなコンサートはやはり演奏家も大変ですので、企画自体が少ないのは少々残念・・。有名曲の寄せ集めコンサートより、よほど興味深い企画なんですが。
そんな、挑戦状?をあえて拾われた大井浩明さんというピアニストが、これまた現代音楽の難曲ぞろいのクセナキス全鍵盤曲コンサートを企画されたのは、凄いことだと思います。
全曲聴いて分かったことは、難しい曲だな~ということです。(笑)
西洋古典音楽に馴染んでいる身(=音楽は情緒的・感情的なものと認識)としては、理論と形状的なものから入って作られた曲というのは、同じ音楽とは思えない部分を感じました。
音の鳴る図形?、グラフやら数式、水玉などの模様が頭に浮かんでは消えてゆくような感じです。
また「全鍵盤曲」という意味は、ピアノとモダンチェンバロのことだったのですが、モダンと言ってもチェンバロ、しかしこんなチェンバロの曲聴いたことがないという驚きでした。シンセサイザーのように聴こえるのは、楽器のせいというより曲のせいのような・・・。
終演後、ホールにいらした大井さんに少しお話を聞くことができました。
一番知りたかったのは、曲として認識できるか分からない次元の曲を、本当に覚えていられるかということでした。(譜面を見て演奏されていました。)・・3日で忘れるいきおいの曲だと。(笑)
また、打楽器との共演曲は、ズレずによく合わせられる・・さすがプロと思いますが、それも、クセナキスという作曲家は、合わせられないように作ったかのごとく難曲・・。
これは、ショパン全曲コンサートとはまた違った次元で、よっぽど大変な企画に違いない・・と、認識した貴重なコンサートでした。
ということで、HAKUJUホールの屋上からの写真。
よく分からないけど、凄い・・そんな今回の、
【プログラム】
6つのギリシア民謡集 (ピアノ)
1.「踊るとムスクの匂いが」
2.「むかし恋ひとつ」
3.「やまうずらが山から降りてきた」
4.「クレタ島の3人の坊さん」
5.「今日は暗い空」
6.「ススタ」
ヘルマー記号的音楽 (ピアノ)
エヴィアリ (ピアノ)
ホアイ (モダンチェンバロ)
ミスツ (ピアノ)
~休憩~
コンボイ (モダンチェンバロ+打楽器)
ナアマ (モダンチェンバロ)
ラヴェル頌 (ピアノ)
オーファー (モダンチェンバロ+打楽器)