goo

稲本正氏の本を読む

2013-04-28 18:53:58 | 日々の研鑽

先月、日本民家再生協会・技術部会主催の連続講座「木について」を受講しました。

講師は、オークヴィレッジの稲本正先生。

 

今までは、木について勉強となると、

どちらかと言えば、木の強度や特性、含水率など、

木の生物的な特性を知るようなものが多かったのですが、

 

稲本先生の講義は、古来より、日本人がどのように木に関わり

その背景にある文化・文明とともに発展した木の使われ方とその種類についてを

お話しくださり、そのアプローチがとても新鮮でした。

 

そもそも、今の住宅はなぜ針葉樹が中心なのか?

なぜ、神社や仏閣は檜がよく使われているのか?

 

たった2時間の講義では網羅しきれないほどの充実した内容・・

後日、稲本先生の著書

森の形 森の仕事―お椀から建物まで 第三次木の文明へのプロローグ

を読みました。

 

 

1万年以上前の縄文時代から始まる、日本人と木の関わりについて書かれているのですが、

その木が使われた背景には、文明・文化がある、という当たり前なのに、見逃してしまいがちな視点からのアプローチが

大変興味深く、また大変面白く分かりやすいのです。

 

エネルギー革命が今後起こるかも知れない今日この頃において、

氏の唱える「第3次木の文明」への提示が、ヒントを与えているように感じました。

というのも、代替エネルギーやクリーンエネルギーに形だけ代わっても、

本質のところが代わっていなければ、また同じようなことの繰り返しではないか?と

私自身、個人的に思っている部分があり、

豊かな文明・文化をいつのまにか(無自覚に)忘却してゆくことへの危機感、

それは自然に対する考え方や、本当の意味でのエコロジーとはなにか、

またそれらの根源となる、生き方の哲学と言ってよい何かを

もう一度思い出したい、一歩ずつ実践してみたい、と読後に思いました。

 

驚くことに、この本が発刊されたのは今から約20年前の1994年です。

 

当時から、日本はどのくらい変わったでしょうか?

エコロジーに関しては、技術面がクローズアップされがちですし、

その発展も素晴らしいものがあるかも知れませんが、

そこに、どのような文化を、文明を築いてゆきたいのか、を、

落ち着いて考えてもよいのではないか・・と思いました。

goo | コメント ( 1 ) | トラックバック ( 0 )
 
コメント
 
 
 
Unknown (鈴木@相模原)
2013-06-13 16:16:06
先日は長時間にわたる講習、お疲れ様でした&ご馳走様でした。・・・満点ですよね(笑)

民家ウォッチングの旅情報、じっくり拝見させていただきました。
勉強熱心ですね、尊敬します!
学生時代ちょっと齧った程度の知識ですが、建築家(建築士)がもっと高い意識をもって保存・再生させていかなければと感じています。
そのなかで・・・飫肥。伯父の生まれ故郷で何度か訪れています。蔵の再生などちょっとした話しを聞いています。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。