鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

カップラーメン

2021年07月24日 | 鳥海山

 こう毎日暑いと山に行くのも億劫です。高山植物がきれいなのはわかるけど、人、人、人に紛れて登るのもいや。先日来誰にも会わない鳥海山を続けて楽しんだのでにぎやかな山より静かな山の方がいいです。体力が落ちたいいわけでもあるんですけど。

 さて、皆さん山でカップラーメン食べますか。便利ですよね。ラーメン食べた後のスープはどうしてますか。食べている間はスープ、食べ終われば汚水です。その辺へチャチャッと捨てていませんか。生活排水を山に捨てることになりますよね。これが何人もの人によって行われたら、肥料になってよろしい、などということはありません。あなた、自分の家の庭にラーメンの食べ残しのスープを捨てますか。自分は最後の一滴まで飲むからいいという人もいるかもしれないですけど。

 私は山でカップラーメンを食べるのやめました。汁の残るものは持っていきません。

 山小屋でもカップラーメンは売っていますよね、あれも止めたほうがよろしい。山小屋のまわりにスープが捨てられるんですよ。浄化して処理できるなら売っても食べてもいですけど。山小屋も自分の生活の糧の環境が悪くなる、自分で自分の首を絞めることになります。

 前にも書きましたが山中でラーメン食べて最後に割りばしを折ってポイと灌木のあいだへ投げ捨てる山小屋の常連も見ました。山にラーメンは似合いません。


斎藤重一1997年発行「鳥海山」より

2021年07月22日 | 鳥海山

 

 斎藤重一1997年発行「鳥海山」より「Ⅷ鳥海山の自然をまもるとりくみ」のうち、「5 おわりに・これからの課題も... 」全文を紹介させていただきます。人の本ばっかり、と思われるかもしれませんが入手ほぼ不可能ですし、その中身を少しでも多くの人に知ってもらいたいと思い掲載します。以下、


 一九九四年秋、矢島町の商工観光課から、鳥海山の登山道の整備についての意見聴取があった。

 とくに、矢島道の最上部にあたる舎利坂の崩落、侵食への対策については、町としても苦慮しているところで、どのように手だてを講じたらよいかとのことだった。ほんとうに、国、県、地元公共団体としてなすべき仕事は 山のようにあるのだ。

 いま、鳥海山の秋田県側登山道には、高山植物への踏みつけ、雨水による侵食、麓からの植物の侵入など、多くの問題がある。登山道周辺のゴミの量は減ったけれども、それでも山頂からの帰路、ビニール袋いっぱいのゴミを拾ってしまう。植物の無断採集、盗掘は依然としてあとを断たない。

 山に多くの人々が登って、大自然のすばらしい景観に接することは好ましい。

 事実、鳥海山には全国から登山者が訪れる。みな、鳥海山の自然を見ることを目的としてくる。だから、第一に必要なことは、自然が自然なままで残っていることだ。

 道路、スキー場、ゴルフ場、売店などを見るために、鳥海山を訪ねてくるのではないということを肝に銘じなくてはならない。もちろん、登山者の安全のための登山道、山小屋、道標の整備なども必要であるが、これも自然との調和を損ねないように細心の配慮をすべきである。雪が吹きこんで使用不能な避難小屋、舗装道路化した歩道、なにを案内しているのかわからない道標、ゴミを捨てるのを奨励するような屑かごの設置、...

 これらは、みんな行政のワッパカ仕事の結果である。

 鳥海山のヘリスキーは、山形県側での事故のためにいまはおこなわれていない。しかし、残雪期の鳥海山上部への雪上車やスノーモービルによるスキーヤーの登山は野放しである。ワシ、タカをはじめとする鳥類や、その餌となる動物への爆音による影響を考えたら、放置すべきことではない。一定の制限をすべき問題である。

 鳥海山で悲しいこと、それは、山麓からの歩道が失われてしまったこと...

 鉾立、祓川まで、自動車道路がのぼったのは利便だが、それまでの下の歩道はまったく役にたたなくなった。ふるくから使われてきた歩道は自動車道路に寸断されて、いまは歩くこともできない。

 山歩きは、かならずしも頂上をめざすだけではないと思う。四季おりおりの自然のよさを満喫しながら、自らの体力に合った歩きかたで、鳥海山の山麓や中腹を一周できるような歩道がほしい。

 鳥海山でいえば、象潟の蝉満寺なり、三崎公園なりをスタートして、奈曽の白滝を経て元滝へいき、観音森、 猿穴、鉾立から霊峰をとおって横岡にもどる歩道。横岡から横岡高原、獅子ガ鼻、矢櫃の滝、そして、白雪川を わたって飯ガ森、祓川にはいる歩道。祓川から鶯川左岸の旧道を経て堰口、袖川、百宅へでる歩道。百宅から手代沢、遠上山、水無大森、丁岳、甑山、松の木峠へつながる歩道、などが歩道としてりっぱに整備されて、多数の利用者が三日も、四日もかけて歩けるようにしたらどんなにいいだろう。

 一九九五年の六、七月に、一カ月余にわたってスイスを放浪してきた。この小さな国のなかに、数万㌖の歩道があるのはうらやましいことだった。町や村を結ぶ歩道を「エーデルワイスの道」、「エンチアンの道」、「ソルダネラの道」、「アルペンローゼの道」などのニックネームをつけて、車などに煩わされることなく、ゆっくりゆっくり歩ける道はたのしいものだった。

 たとえば、「ブナの道」、「ダケカンバの道」、「ヤマドリの道」、「サラサドウダンの道」、「ナナカマドの道」などが、鳥海山にもできないものだろうか。


 いかがでしょうか、あえてアンダーライン、太文字、文字の色などの強調はしません。一九九四年を現在に置き換えても今と変わりありません。


清吉新道

2021年07月21日 | 鳥海山

 斎藤清吉さんの「鳥海山登行 山男のひとりごと」も大変面白い本ですが、すでに絶版。今も斎藤清吉さんを知る人は結構いて、思い出話はよく聞きます。

 鶴間池のところの標識にに書いてあった「清吉新道」の文字も近年削り取られました。清吉新道も植物園のあたりまでは登っている方もいるようですけれど、その先の道は跡形もなく消え去っているようです。

 新しい道は今後開削しようと思っても許可はされませんし、もとからあった道の修復なら許可はされるでしょうけれど、どこが道であったかわからなくなってしまった清吉新道を復旧するのは絶望というほかありません。昔から興味はあったのですが自分の体力、技術では無理、それにそこを知り尽くした経験者がいなければ、なので記録を見て想像し、楽しむだけにとどめています。

 ということで、今となっては古書でたまに見かけることがあるだけの「鳥海山登行 山男のひとりごと」中から「新道開削」の項の一部紹介します。冒頭は

『昭和三十二年十月、山形県総合体育大会山岳部門が鳥海山に決り、八幡町が主担当になった。 
しかし鳥海登山道の中、山形県側のものは行政区域的に遊佐町に集中していて、八幡町から頂上に直行出来る道はなかった。 
だが山岳関係者にして見れば、八幡町からは平素大分お世話になっている。 
この際大会記念に、八幡町から頂上まで直接登れる道を開削して町に寄贈しようと思いたった。 』

というところから始まります。

   七月二十日(第七日)雨後曇り

 やれやれ今日も降りこめられるのかと思っていたら、霧がはれ出し十時出発。 
 一昨日の地点から、妙な痩せ尾根に出くわしたがその まま拓いて行くと、ほぼ九百メートル地点で怪し気な小道を発見。はてこんな処にとは思ったが、何であろうと道があれば助かる。その道なりにドンドン登って目指す。大きな陵線に出たは良いが、この道は尻切れトンボの行き止まり。出来れば尾根なりに進むべきだが、この辺は 物凄く太い根曲り竹(チマキザサ)が密生していて、身動きも出来ない。 
 後で調べて見たら勘助坂からマタフリの滝の下を巻いてくる筍採り専門の道で行き止まりなのは当然だ。 
 とにかく無駄骨で、標高差で二百メートル程戻り今度は左にはいるルート探しにかかったが、夕刻になり小舎に戻る。 

 

 

 こんな調子で日記が開削の始まりから終わりまで続きます。興味ある方はぜひ手に入れて一読することをお勧めします。WEB上に無数にある鳥海山行きの記録を読むよりもこの一編を読む方がはるかに鳥海山への思いを感じることが出来ます。


ここは何合目?

2021年07月19日 | 鳥海山

 山は良く一合目、二合目と表現されますが高さを十等分したものでないことは登ってみればわかります。みんな大好きな象潟口五合目は鉾立、七合目は御浜ですね。蕨岡口でいえば杉澤熊野神社が一合目です。誰が決めたかはわかりませんが、行政が決めたものではありません。

  実は自分も深く考えたこともなかったのですが、これは修験道に関わりのある山で登山道を一合目から十合目まで区分したものだそうです。すなわち、十界の苦行の境界を表したものであると。

 一合目は地獄道、二合目は餓鬼道、三合目は畜生道、四合目は修羅道、五合目は人道、六合目は天道、七合目は聲聞しょうもん、八合目は緣覺えんがく、九合目は菩薩、十合目は佛地ぶっちです。(各意味は検索すれば簡略なことはわかると思います。)

 修験道を研究しているわけでも興味があるわけでもないですが、こういうことを知るとまた山を歩く楽しみが増えてくるのではないかと思います。でも登るときは良いですけど、下山すれば天道から畜生道、地獄道へ落ちるんですよね。

 

 こうしてみると今は地獄も餓鬼も、畜生も修羅も素通りして人道からスタートしているのですね。

 


五香粉と花椒 香る魯肉飯

2021年07月18日 | 兎糞録

 今日の賄、五香粉ウーシャンフェン花椒ホワジャン 香る魯肉飯ルーローハン。最近、どこへも行かない日は料理作り。暑いさなかに汗かいてコンロの前に立つ。

 その前は地物の美味しそうな茄子があったので焼浸しに。

 先日はジャガイモを大量に頂いたのでガレット、ジャガイモと塩のみ。

 山へ行く体力を維持しなくては。でもピークハントはもう無理かな。それと大勢の人で賑わう山も嫌だなあ。誰も来ないところがいい。

 今週は鳥海山探訪企画打ち合わせに行ってきます。もちろん涼しいところで。