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冬の小さな比良を凌ぐ - ある日の遠征シノギング - 【後編】

※前編はこちら

 

翌朝。。

 

辺りが白みだすと、ふとした瞬間に目が覚める。覚めてはまだ良いかとまた眠りへ就く。それを繰り返し、彷徨っている時間は何とも贅沢で心地が良いものだ。

 

例の如くそんな時間を経ては、ようやく重い腰を上げ、朝食作りに取り掛かる。昨晩の薪がまだまだ残っていたのでせっせと火おこしから。

もくもくと作業し、もぐもぐと食べ、ほっこりと珈琲まですすり終える。

雪上でも脚が高く細目なので、めり込ませ平面を作れるし、何より無機質な風景の食卓に温もりを添えてくれる
シノギチャブダイ。もはやハンモックには欠かせぬ道具である。

贅沢な時間の後は、面倒な撤収作業。雪上ともなれば、やはり結露は免れない。薄っすらと湿った道具たちを上手くパッキングしてく。食料が減った分少しは楽にパッキング出来たか。

さて、いざ出発。

前日に習い、ワカンはつけずのシノラッセルで進む。あくまで低山が故、木々や倒木が多く、きついがラッセルの方が総合的に煩わしさはない。

このエリアは感覚的な名称の場所が多い。涼峠やら、下の鼻打(痛そう...)やら。ここは冷い風が抜ける場所なんだろう。

徐々に標高を上げると、木々は落ち着いてきたが、岩肌が露出していたり、、

斜度が急な場所が出始める。

それでいて雪はひどい所で腰まで踏み抜くような所も。この時点で、標高600m程。恐るべし比良山系...

相変わらずペースは掴めず、ここで作戦会議。本来は主稜線まで出て西へタドリ、隣の駅方面へ抜ける予定であったが、この状態が続く様ならば、とてもじゃないが今日中には下山は出来ない。(翌日予定あったため)

登っている間、隣に見えていた支尾根へこの先で合流する。そこでそちらに移り、北西に沢筋へ下り、沢をタドリ元来た駅へ戻る事に。沢の途中からは登山道もついている様なので、無理なく下山できると判断。

そうと決まれば合流点までいざ参らん。最後の詰めの登りをこなす。足取りも少しだけ軽やか。

 

 

この先に地獄が待ち構えていようとは、我々はまだ知る由もなかった...

 

 

合流点へ到達すると、少しトラバースし、わかりづらい尾根の入り口を探し当てる。岩肌を側面に沿って尾根へ乗る。

地形図で、多少急な事は読めたが、雪の深さと下りである事、次いでこちら側もやはり倒木で荒れており非常に難儀。下れそうにない箇所は、登り返しては道を探す。慎重に進まざるを得ない。

容赦なく狭い尾根に大きな岩場が現れる。ザックのハーネスをギチギチに締め上げ、微かな手掛かりを頼りに、側面を巻く。この尾根、雪が無ければかなり難しいルートなのではなかろうか。

斜度は落ち着いてきたが、依然として雪と木々でペースを乱される。じ、靭帯が...

雪も落ち着き出すと、シダ植物がチラホラと目立ち始める。植生が少しずつ変わって行く。

この辺りは大きな尾根や支尾根も多く、植生も気候も高尾とはまた違う。まだまだ凌ぎ甲斐ありそうなエリアである。隣の尾根は青いのだ。

尾根からの最後の下りをこなすと、沢へ到達する。よし、ここまでくれば後は沢をタドリ登山道に出るのみ。

 

 

しかし、ここからが長かった...

 

 

下流へ進むにつれ、沢筋は大きくなり、沢沿いをタドレなくなる。少し上がった位置から付かず離れずで進む。地形図にある登山道も今は全く歩かれていない、荒れ放題のフミアトが微かに残るのみ。雪もないので、非常に歩きづらい。シノラッセルの方がまだマシだった...

しかもそのフミアトも所々、雪解け水に侵され小さな沢となってい、更にその周りにも同じような水流のある”フミアト擬き”が至る所に散見される。沢の本流と地形図とコンパスを頼りに、神経をビンビンに立てながら進む。

次第にフミアトは薄くなり、目星を付けながら進む。元々汗で内側もびしょびしょの靴で、構わず渡渉も繰り返す。

もはやフミアトは消え、目印の沢も外れなればならない位置まで至る。一旦下り、登り返して、沢を離れる。美しいシダとは対照的に、心は疲弊していた。

ここからは平坦な湿原のような所が続くようだ。”北西”という確かな方角を頼りに進む。木々の荒れ具合は少しずつ落ち着いてきた。

暫く進むと、なにやら人工的な平地に行きつく。後に知るが、かつてこの辺りに里が存在していた様だ。

という事は何か道に繋がるのではと、期待するも、ゴーという音が次第に近づいてくる。もしや...

先程の沢の下流に行きついてしまった...

こうなるともう、あっちょんぶりけである。目指していた道の最後の方に再度沢に近づくのはわかっていたが、進み過ぎて沢に行きついてしまった訳だ。

しかしその時、”送電線”という一筋の光が目に射し込む。送電線と沢がクロスする所にいるという事は、これを渡り、左岸を登りあがれば、しっかりとした林道に行きつける。そう確信し、左岸を登り詰める。

すると呆気ないほどすぐに林道へ行きつく。思わずふーっとため息。終わってみれば、初日も二日目も送電線に助けられた訳だ。

結果的に林道終点には立派な神社が鎮座してい、確と感謝の参拝が出来た。

 

非常に濃密な遠征シノギングと相成った。

町並みは長閑にして、山容も独特でバリエーションに富む。機会があれば、また凌ぎに来たいものだ。

隣車両への通路がない電車の、折り畳み式椅子に座り、そんな想いに更けながら帰路に就く。

 

 

 

【今回の凌アイテム】

◆柳谷
・マキアゲボウ 試作品
・クビマキ 近日販売予定
・ヨヒヤミ(停滞時) 絶賛発売中
・ツヅラヲリ 絶賛発売中
・ゴブソデTシャツ 試作品
・クイックアームウォーマー 試作品
・シノビ 絶賛発売中
・クイックレッグウォーマー 試作品
・クナイ 絶賛発売中
・ヤマバッグ 絶賛発売中
・タモツ、ウルオス 絶賛発売中
・バチヅル ???

◆谷島
・フユボウシ 絶賛発売中
・クビマキ 近日販売予定
・メグルキセツニ(停滞時) 絶賛発売中
・ツヅラヲリ 絶賛発売中
・カザハナ 絶賛発売中
・クイックアームウォーマー 試作品
・クイックハラマキ 絶賛発売中
・シノビ (旧仕様)
・クナイ 絶賛発売中
・ユビ、デル、グローブ 絶賛発売中
・ヤマバッグ(小) 絶賛発売中

 

 

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