四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
4月15日「第五回シノギング講習 実践編」の様子
3月の基礎編に続いての実践編、確と雨、アメ、あめ。。参加シノラーさんの中に、雨男がいらっしゃるようだ。。しかも前回同様、地味に気温が低い。これまた良いシノギングとなりそうだ。
駅舎の休憩所が誰もいなかったので活用させていただき、こちらで先ずは作戦会議。
皆さんしっかり地形図を予習してきており、お一人U氏は事前に歩き予習もされていたとの事。良き良き。それぞれの情報見解を伺いつつ、我々も意見を交わし、ここをこうして、こうするのはどか、とルートを選定構築していく。
雨ということもあり、またまたがっつり地図読みは出来ないが、、やはりあの気になる建物マークを確認しに行きつつ、我々としてもまだ未踏のエリアを攻めてみるル―トを設定した。楽しくなりそうだ。
そうと決まればいざ出立。車道やちょっとしたフミアトをタドルくらいならば、折り畳み傘もアリ。私は濡れるのが好きなので使わないが!
最初は線路近くのひょっこりにある、忠魂碑を目指してもらう。我々の情報を提供してのルートだが、分かっていてもシノギングの最初と最後は難儀するもの。。一先ず目星をつけた線路小さなトンネルをくぐり反対側の麓から攻めてみるも、どうやら行き止まりの様子。そもそも忠魂碑という誰でも行けるようなシンボルに険しい道がついている訳もなく。もっとしっかり分かりやすい道があるはずと、グルグルグル。。
気を取り直して、元に戻り、車道側からそのひょっこり周辺を捕捉しながら歩いてみる。するといかにも登って下さい、な階段が現れたので、吸い込まれてみる。
途中墓地があったが、そこを回るようにして道が続いていた。どうやらここが忠魂碑への参道ぽい。しっかりと整備されているが、入り組んだ所にあるので、考察しながら目指さないとたどりつくのは至難であろう。
ツヅラヲリの道を登りあがると、程なくして到着。こちらも相変わらず綺麗に清掃が行き届いている。きっと定期的に地元の方々が来ているのであろう。
ここから裏手にひっそり隠れるフミアトをタドリ、一度鞍部に下りる。
その鞍部は四差路の峠道でもあり、西側に延びる道はどやら先に断念した線路反対側方面へ繋がる様子。こういう分かりづらい入り口は下りでその全貌が明らかになるケースも多々ある。
暫くツヅラヲリのしっかりした道を登っていくと、石段が姿を現す。この先に明らかに何かがある。。
可愛らしい羊歯の若葉と共に、小さな祠が鎮座していた。ここもどことなく管理が行き届いているように見受けられる。ベンチもあるので、地元のおじい様おばあ様の憩いの場でもあるのかな??
一見するとここで行き止まりのように感じる。地形的にも少し渓筋にあたるので、周りを見渡してみると、渡れそうな尾根が左右に。うっすらとそこへ延びるフミアトがあるので、その分かりやすい東方面をチョイス。
ちょろちょろと倒木も有ったり。。
この山域の稜線に繋がる大きな尾根に乗ると、少しずつ広くはっきりしたフミアトへ。いや。やはりアメノヒは緑が活き活きとしていて、心地が良い。
次第に忌まわしき笹薮が姿を現すも...
程なくして、象徴的なP568へ到着。拓けた山頂ではあるが、残念ながら視界不良、靄の中。
ここで今一度作戦会議。良いペースで登れている。この調子ならば、未踏の地も回ってこれるかも。。
凌クルー内の共通認識が出来た所で、再び下り大きな鞍部を目指す。そこからまた登り返せば、主稜線に乗る形だ。その前に厭らしそうな分岐があるが、、
低山域ではあるが、痩せ気味や岩稜のような所が垣間見える。高尾エリアとは違う山梨よりの山域感が溢れている。
等高線で現れない登り下りをこなす。
分かりづらい分岐の所。何より結構急峻な下り(登り)で、トラロープが有り難いが、信用し過ぎるのもまた怖い笑
途中見つけたファットウッドでいつもの黒煙お披露目。大体尾根上にある。こんなザァザァアメノヒでも、表層を削れば、中には油が詰まった層が出てくる。この削り粉で、火口としても十分活用できる。
さてさて、主稜線の分岐に到達。この先東方面に、例の建物マークがある。ただ実は我々、既に行ったことがある、、そして現地予習をされたU氏もその際に確認されているとの事。という事は、、
H氏とM氏の二人だけで、その謎を解きに行ってもらおうではないか。一先ず私と森勝氏、その分岐支尾根までを見届ける。そして残ったU氏には、その後お二人が戻ってくるまでの屋根タープを張ってもらおうではないか。なんと効率的な配分か!笑
そうしてU氏を置いて、分岐までついていく。戻るまでに屋根出来ていたら素晴らしいなー
分岐の支尾根は地形図上では明らかだが、笹薮が五月蠅い状態なので、気を抜くと見過ごしてしまいそう。
お二人、問題なく分岐を発見。しかしかつて我々もそうだったように、ここいくの??というご反応。そうだよね。この先に目ぼしい建物があるとは到底思えない。
ここからは二人だけでそれを確認しにいってもらう。再度集合は先の分岐点。タープ張って待っているよー
U氏の元へ戻ると、位置とリッジラインは決まり、後は四角を張ればOKの状態だった。よしよし。我々も加わり、屋根を構築していく。
程なくして完成。ひと時の雨宿りなので、そんなにしっかり張らずとも大丈夫。しかし、屋根があるって良い。当然だが。。優雅にお二人の帰還を待つ。
20分ほどかかるかな??と思っていたが、思いのほか早く、戻ってきた。ちゃんと祠が有った事も確認していたので合格。ツユハラヒの濡れ具合で、凌度合いが見受けられる。この雨の中、あの笹薮は確かに嫌だなぁ。ただツユハラヒの有用性を大いに感じていただけたであろう。どことなくお二人の顔は清々しい。
十分雨は凌いだ。あとはタープとハンモックを張って、まったり休憩して下りるとしよう。未踏のエリアはまた、次回の宿題とす。
そうと決まれば、皆でささっとU氏のタープを撤収。降り口にもなる峠までの区間で、気持ちの良さそうな所を探し目指す。
道中、地形図上に存在する点線山道を探る。そこまではっきりした入口がなく、薄っすらと延びているような道は見つけられた。恐らく今はほとんど歩かれていないであろう。北側の集落にトラバース気味に抜けるその道。ここもまた探索したら面白そうだ。
新緑と雨のシンクロニシティが織り成す美。
方角を意識していないと、そのまま進んで行ってしまいそうな分岐。フミアトはあるのに、はっきりとした道標のようなものがないので、かえって迷いやすい。そういう状況でも地図読み方角確認は抜かりなく行うべし。
良さげな薪炭林だったのに、急にくら~くてどよ~んとした針葉樹帯に突入。この辺で休憩は嫌だなぁ。
暫く続くも、目星をつけた平そうな支尾根の先に、薄っすらと綺麗な新緑が見える。進むと針葉樹残るが対岸とその先がしっかり薪炭林の日当たり良好物件が広がっていた。ハンモック張りも申し分なさそう。
場所は決まった。ではそれぞれ宿題でもあるタープをしっかり張ってもらおうではないか。基本的にはほったらかしで、随所で野次を飛ばしプレッシャーを与える笑
しっかりロープワークも取り入れている。よしよし。。
少しずつ完成されていく。。
U氏邸、いっちょ上り。
H氏邸もハンモックへ差し掛かり、問題なさそうだ。
M氏邸のビッグタープも卒なくクリア。ちゃっかりその下で雨宿りし始める森勝氏笑
雨の中、タープ一つ屋根の下でハンモック休憩。
これがまたなんとなく優越感に浸れるような、良い時間となる。
一人だけリアルガチ勢がいたが笑 これは寒さを凌ぐため、意図的に低空密閉スタイル。
優雅に食事を終え、少しまったりした所で、H氏邸に集まり、前回できなかった実践的火起こし練習会。
森勝氏直々に広い集めて来た藤野の小枝薪と火口となるお化粧コットンの切れ端のセットで1500円なり(嘘)
小型ウッドストーブに上手く枝を敷き詰め、ちょうど真ん中空間にコットンを仕込む。そこに目掛けてメタルマッチで着火。後はその炎を枝たちにあてがい、広げていく。そして大事なのは炉から熱が逃げないように暖める事!
手順とコツを掴めば、これら最小限の道具達で一焚火するのも楽ちん。ただ、それぞれの行程にしっかり意味があるので、どれかが欠けると歯車が狂う。これも反復練習あるのみ。
メタルマッチもコツを掴めば、狙った所に火花をしっかり落とせるようになる。
何度も言うが、火着け始めは”炉を暖める”事!
火遊びには浪漫が詰まっている。着火剤や固形燃料等で、あっさり焚火へ行きつくが圧倒的に楽だが、たまには原始的に熾してみるのも良いでしょう。
相も変わらず二時間近く休憩を凌いでしまった。。雨は止みそうにない。最早潔く濡れながらも撤収し、鞍部の峠道から麓へ下りよう。
その鞍部峠に鎮座していた「馬頭大神」
どうやら開拓道中、この辺りで亡くなったお馬さんを供養するための石碑のよう。
その先の下りは、笹薮が左右に広がっておりドキッとしたが、フミアトはしっかりで難儀はしなさそう。
ツヅラヲリもこなしつつ、順当に下っていく。
無事車道に合流。本数少ない電車だが、駅到着もちょうど良い時間となりそう。てくてくと駅を目指す。
いや~しかしながら二回とも良く雨を凌いだ凌いだ。中々狙って雨となる事はないので、しかもどちらもその時期にしては冷え込んでいた。普段のシノギングでは味わえない凌ぎをしっかり体験できたであろう。参加者のH氏、M氏、U氏の表情は皆勇ましく。自信に溢れているように見受けられる。もう立派なシノラーである。
だが、我々もそうだが、凌・シノギングに到達点はない。いつまでもスポンジのように吸収し、常に自分自身を良い方向へ向上させていきたいものだ。そのためにも、これを機に、これからもどんどん凌いでいっていただきたい。勿論、まだまだ分からない事があれば、またこの月例シノギングに参加いただけば良い。
またいつでも挑戦、お待ちしている!!
アメノヒのシノギングの帰りは、これらの洗濯、乾燥処理で頭の中が一杯になるのが常。。家に帰ってもシノギングが待っているのよね。。
基礎編実践編を通して、晴れて?雨シノラーと相成ったお三方の、決して笑ってはいけない奴。〆