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晩冬、雪の低山を凌ぐお泊りシノギング【後編】

【前編】はこちら

 

雪上のハンモック泊。それは今宵納まるための棺桶を掘る所から始まる笑

ケチって簡易ショベルを持参した日には掘るのも一苦労。。

ハンモック周辺の地を固めると共に、少し掘り下げちょっとした囲いを設ける事で風よけと断熱の効果を狙う。雪自体は勿論冷たいのだが、適度に空気を含んだ雪の「壁」は、実は外気に対して断熱性が高いのである。(雪洞が良い例)

とりわけ今回は尾根側から東に抜ける風も強めだったので、向きを意識して風よけを作った。そうこのくらいの囲いが出来れば上出来か。

後は、そこに沿ってハンモックとタープをセットするだけ。

これだけ雪が深いと雪で簡易的なテーブルを作ったり、かなり間取りの自由度が増す。ただ色々と凝りだすと時間と労力も掛かるジレンマ。。

疲れもたまっていたので程々に。今宵の集落が完成。

沈む夕日を確と拝み、さて、燻る準備を始めるとしようか。

雪上での焚火のポイントは、まずストーブの下をしっかり安定させる事。次いで雪の上に直で置くと意外に滑るし熱が伝わりそのうち盛大に溶け崩れるので、枝でも枯れ木の太い幹でも、一枚台のようにかませば良い。

あとは良い薪を探し当てれば難なく雪上でも焚火は可能。薪も冬は基本的に乾燥しているので、探せば枯れ木枯れ枝で良いものが意外にあるもの。

雪上ほど焚火の恩恵を大いに感じるものはない。中々の風で少々難儀もしたが、、例の如く黙々と各自の時間を過ごす。心地の良い侘しさを噛みしめながら。。

明くる朝。。

夜明けと共にモゾモゾと起きたりまた寝たり...。あまりに気持ちが良すぎたか、盛大に朝を満喫す。まずいまずい。さっさと朝食を済ませると撤収の準備に取り掛かる。

昭和の親父のサービスショットと笑

昭和な凌スタイルのサービスショット笑

そうこうしているうちに、立つ鳥が如く、撤収完了。

2日目。初日がやはり予想以上にシノラッセルやらで時間を要していたので、帰りも先を見過ぎず、余裕を持った手前尾根から下るルートを選択。先に続く尾根も気になるが、ここはまた次回のお楽しみとしよう。そうと決まればいざ出発。

昨夜の幕営地から暫く続く平坦地。本当に良い尾根だ。

しかし意外に深い雪に、昨日からの温かな気候も相まって雪の締りは緩く、踏み抜き案件が多発。そこで早々にワカンを装着する。(若干1名ワカン無しのシノラッセルに全霊を捧げた者がいたが、歩んだ末路は言うまでもない...)

ワカンは偉大だ。先頭を代わる代わるスイスイと進み、そのフミアトに後の者が続く。

暫く続く稜線歩き、しかし意外に細かいアップダウンや厭らしい道が多い。それらが蓄積されたダメージに更に追い打ちを掛ける。

最中でもこんな楽園が姿を現す。こっちでも十分ハンモック泊出来たなぁ。どこまで良い尾根なんだ。。

チェックポイントの送電線。ここから一気に下り、また登り返す。。

例のドMシノラッセラーも平然を装っているが、一つの限界点を迎えようとしていた。

先頭を代え、技巧派キャメラマンのジグザク登法が火を噴く。これにドMは少し助けられた。

小ピークを越え、再び鞍部へ下ると大きな分岐尾根最後の登りに差し掛かる。

ここで地形図と睨めっこ。よくよく見れば東側からこのピークに上がり北へ別れ目指す尾根の先にまた鞍部が存在する。つまりこのピークを踏まずとも、その鞍部と同じ等高線辺りで北北西を一直線にトラバースすれば鞍部へ繋げられる。厄介な登りと下りを回避できるわけだ。この雪ならばトラバースも難はなく、何より平坦に進める分楽なはず。

そこからの切り替えは早く、もはや脳内麻薬全開のドMが先陣を切りひた進む。

途中大きな渓も入り込んでいたが、ルートを見極めながら進む。

少し斜度もあるが、意図的に踏み抜き(?)、制動をかけながら、難なくこなしていく。雪が無かったらこうはいかないであろう。

少しずつ尾根が近づいてき、目指す鞍部まであと少し。

晴れて鞍部尾根へ合流。地味に長いトラバースだったが、凌らしいルート選定に我ながらあっぱれ。

それでもまだ続く登りと下り。。初日同様、身体的な限界を超え、己の精神との闘いゾーンへ突入。

第二の送電線。ここを越えれば最後の登りだ。

大した登りではないのだが...気温が上がり更に緩みだした雪面が、身体・精神へカウンターパンチを繰り出す。それでもめげずに「サイゴノノボリ」という呪文を唱えながらノボルノボル。

そうして登り下りのループより開放される。ピークは広く平坦で、解放感を噛みしめながら下り地点を目指す。

ここからはノンストップで一気に下る。気は楽だが、下りは下りで脚への負担が...調子に乗らず着実に下っていく。次第に雪が薄い部分も目立ち始める。

尾根も急で痩せ気味になってきたので、ワカン組もいよいよ装備を外し最終局面へ。

精神も研ぎ澄まされた我々は、最後の厭らしい分岐も乗り越え、全行程における核心部と思しき地点へ差し掛かる。

地形図でも見て取れたが、やはりそこは滑り台顔負けの下りの「壁」であった。目の前にゴールの集落が垣間見えるもまた皮肉な物よ。。

「壁」の斜度に加え、グズグズの雪が更に難易度を上げている。ここは確実に乗り越えるためにお助け紐を繰り出す。幸い8m分を二人携えていたので連結して16m分で一気に下る作戦へ。

3~4ピッチ程に分け少しずつ確実に下っていく。やはりこのお助け紐があるだけで安心感は雲泥の差だ。

乗り越えた先は一息つくには最適の平坦地。正に天国と地獄。

ここさえ越えてしまえば後はなんて事のない下りだ。最後の下りは少し遠回りだが無理せず沢方面へ尾根を辿り下る。

最後の最後、沢へ繋がる詰めの尾根は切り立った崖と化していたが、冷静に見極め、トラバースで下りてきた方面へ戻るように下っていく。この辺りから炭酸ジュースで頭の中がいっぱい笑

道は繋がった。無事終着へと繋がる沢へと合流。

ピーカンな空をバックに、歩いてきた山塊尾根を思い、見返しながら車道をトボトボと駅方面へ戻る。そして無事帰路へ就くのであった。

今回は久しぶりのエクストリームシノギングであった。低山雪山の懐の深さと過酷さを改めて痛感した。

当然帰りに飲んだ炭酸ジュースはこの世の物とは思えぬ美味さだった。いやー凌いだ凌いだ。

 

いつもの凌侍三人衆にて〆

 

■今回使用したウェアとギア。

【柳谷】

カゼニトンダカモシレナイwool(試作品)

カザハナ(試作品)

ニンジャフーディー(試作品)

ツヅラヲリ(試作品)※二日目

ヨヒヤミ(絶賛販売中)※着用は時季新色

フユガレ(試作品)※二日目色違い

アグラスカート(絶賛販売中)

クナイ(試作品)

ウールソフトシェルグリップ(試作品)

ライトシェルWPトリガーミトン(試作品)

ヤマバッグ(絶賛販売中)

タモツ、ウルオス(絶賛販売中)

モグ500(絶賛販売中)

モグカバー(試作品)

ヌノバケツ(絶賛販売中)

小さいヌノバケツ(絶賛販売中)

行燈風シェード(追加生産中!)

シノギチャブダイ(絶賛販売中)

凌ピッケル(絶賛販売中)

 

【谷島】

カゼニトンダカモシレナイwool(試作品)

カザハナ(試作品)

ニンジャフーディー(試作品)

クイックハラマキ(試作品)

ツヅラヲリ(試作品)※二日目

ヨヒヤミ(絶賛販売中)

シモナギ(絶賛発売中)※着用は時季新色

フタエズボンautumn(試作品)※二日目

クブタケタイツ(試作品)※二日目

アグラスカート(絶賛販売中)※着用は時季新色

クナイ(試作品)

ユビ、デル、グローブ(絶賛販売中)

ライトシェルWPグローブ(絶賛販売中)

ヤマバッグ小(絶賛販売中)

ウキグモ light(完売 追加生産検討中...)

モグwool isulation(絶賛販売中)

ヌノバケツ(絶賛販売中)

小さいヌノバケツ角(絶賛販売中)

行燈風シェード(追加生産中!)

シノギチャブダイ(絶賛販売中)

シノギチャブダイ三脚取付具(絶賛販売中)

凌ピッケル(絶賛販売中)

 

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