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クナド

背中のない非常識なウィンドシェル

2012年にクナドが初登場した時には、その非常識なデザインにあきれてしまった人も多かっただろう。なんたって背中がないジャケットなのだから(笑) そんなクナドは予想通りそんなに売れず、生地を変えたり仕様を一部変更したり(それでも背中はないまま突き進んだ)と悪あがきをしてみたがやっぱりそんなに売れないままだった。そりゃそうでしょう、背中がないままなのだから・・・。

そして2020年モデルも背中はない

三度目の正直と意気込んでここに登場するのはそんなクナドの第三世代、2020年モデル

はい、見た目はこれまでと同じ。そしてやっぱり背中はない。

それでも少しは考えた。前開きのジッパーを長くしたのだ。こうすることで脱ぎ着がしやすくなった。

上下から開くジッパーは第二世代から変わらずだ。

 

素材はPERTEX QUANTUM AIR

QUANTUMシリーズの中でも通気性のあるものがQUANTUM AIRで、早くから通気性の重要性に注目している凌アイテムには欠かせない素材だ。数あるPERTEXコレクションからクナドに採用したのは通気度3のQUANTUM AIR。すごく抜けが良いわけではないけれど一般のウィンドブレーカーよりも抜けがあるという、とても微妙なこの素材のおかげで第三世代のクナドはほぼ防風だが閉塞感がない。ちょっとだけ風が抜ける通気度3というのはそういう着心地を提供するのだ。第二世代まではダウンジャケットなどに使用する遮断性の高い素材を採用していた。通気度で表すと1以下だから、運動が激しくなると蒸れてきて閉塞感を感じることがあった。そこのところを改善したのが第三世代のクナドということである。

今回採用したQUANTUM AIRはとても品のある表情をしている。加工糸を使った独特のシボ感とタテとヨコに太い糸を2本ずつ等間隔で織り込んだダブルリップ。そして何度も言うが通気度3。スペック大臣になりそうなのでこの辺でやめておくが、スペックだけで採用したのではなく毎週のようにシノギングで使って採用した素材である。

ああ美しい。

気になる重さは49グラム。今どき軽いシェルなんて珍しくもなんともないが、軽いだけではなく着心地もいい。これが大事である。凌の美学から収納袋など付属しないが適当にたたんで丸めればこの通り掌にすっぽり収まるサイズ。これならポケットなどに入れておくのも邪魔ではない。

その他の仕様

袖口はストレッチバインダーのパイピングですっきり仕上げ。凌カラーがいいアクセントになっている。

ジッパーは信頼のYKK 3C DSYG+DSYG(細かっ)の表使い。見た目を重視してか、ジッパーを裏使いにするメーカーが多いのだが、それでは肌側にジッパーのエレメント(噛み合わせ)が向いてしまい決して着心地は良くない。凌は見た目よりも着心地。これが凌の美学。セミオートマチックロックのDSYGスライダーは、倒すとロックされて動かなくなり、起こすとロックが外れて動くようになるので着用時にはしっかり倒しておこう。

背面左右の腰部分のループは細引きなどを結んで固定するためのもので、風にあおられてうるさい時に有効だ。バックパックにヒップベルトがある場合にはそれで押さえてバタつきを防ごう。

注)量産品はループが細引きからテープに変更になっています。

シノギングイベントで紹介している”実際に使えるロープワーク”を知っているとこういう時にも苦にならない。

どんなふうに着るのか?

なんだかおかしな見出しだが、念のためクナドの着方を説明しておこう。

まずはこんなふうに、いつものシノギングのスタイル。ロン毛が邪魔ですみません。

その状態でクナドを被るだけ。背中がないからバックパックを背負ったままで着ることができるのだ。当然脱ぐこともできる。歩きはじめのまだ体が温まっていない時や、登りが続いてオーバーヒートしそうなとき、尾根で急に風に吹かれて寒い時などの時に、立ち止まるのが面倒だからとかバックパックを下ろすのが面倒だからと我慢せずに、状況に合わせて歩きながらこまめに着脱できるのだ。クナドに背中がないのはこのためだけではなく、どうせバックパックを背負って汗を掻く背中にわざわざ生地を一枚挟む必要などないからだ。撥水のメンテナンスをいつもしっかりしておけばちょっとした雨を凌ぐことだってできる。

上下開きのジッパーのおかげで首元を締めたままで内側のヤマバッグなどにアクセスできる。凌ではアメノヒなどのレインウェアにもこの方式を採用している。

大きく開くジッパーのおかげでヤマボウシなどを被ったままで着脱できる。

後姿はこの通り。背中がないけど誰もそんなところ見てはいませんよ。

通気度3とはいえ、天候や運動の状況によっては暑く感じることもある。そんな時こそ我慢せずにまずは腕を抜いてみよう。腕を抜くだけでもずいぶん涼しく感じるものだ。

うーん、それでもまだ暑いときはクビマキみたいに全体を結んでしまえばいい。お洒落?(笑)

それでも暑かったら後ろにまわせば?というより脱いでしまえばいいのである。

気温の低い時期で、脱いだり着たりすることはないだろうというときには、このようにあらかじめクナドを着てしまって、

 

その上からヤマバッグを掛けてバックパックを背負ってもいい。

背中のない非常識なウィンドシェルではあるがシノギングでは結構使うことが多いので、すぐに取り出せるところに用意しておくといいだろう。

 

 

凌は美学。

シノラーよ孤高であれ。

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