四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
EXPED Hammock 集中講座 - その6 ハンモックで泊まる
EXPED Hammockは日帰りハイキングやオーバーナイトのハイキングに活用できる携帯型ハンモックだ。
適当な木立さえあれば簡単に短時間で設営できる。足場が悪くても、地面が濡れていても関係なく使える。ソファーになったり、ベッドになったり、汗をかいたり汚れても気軽に洗濯できる。これを持っているだけでハイキングの楽しみがぐっと広がる。
AXESQUINが提唱する低山の楽しみ方「凌」、「シノギング」に相性抜群の道具でもある。
そんなEXPED Hammockの使い方をシリーズで紹介する。
ハンモックで泊まる
ハンモックで一夜を過ごすほど楽しいことはない。
夕暮れになったらランタンの灯をともして中綿のジャケットを一枚羽織る。
アルコールストーブで調理した、ちょっとしたつまみを好きな酒と一緒に流しこむ。
気持ち良くなってきたらそのままごろんと横になって、夜のしじまに秋の月をぼんやり眺める。
夜を凌ぐ道具さえあれば快適にハンモックに泊まることができる。
タープを使う
雨や風、夜露を凌ぐためにタープは必要だ。
集中講座その5を参考にタープの使い方を是非マスターしておいていただきたい。
真冬のタープの使い方については別の講座で紹介しようと思う。
マットを使う
ハンモックに寝る場合、背中は布一枚で常に外気にさらされるので、使用する季節に応じた保温性のマットかアンダーキルトが必要だ。
身体を冷やさないこと、背中を暖かくすることはハンモック泊の大事なポイントの一つである。
背中が充分に暖かければ寝袋やブランケットは多少薄くても何とか凌げる。
EXPED Syncellmat 5はセルが細かく分かれていてハンモックの面にフィットしやすい化繊の中綿入りマットだ
長さは183cmと長いので女性から男性まで余裕で使える。
仕様上の最低対応温度は-2℃となっているが、ハンモックは常に宙に浮いているため、同じマットで地面に寝るよりも寒く感じる。
このマットでハンモックに寝る場合は6℃位までが限界と考えたほうがいいだろう。
マットに空気を入れるときにはEXPED Schunozzel Pumpbagを使えばたった数回のポンピングで空気が満タンになる。
これは実に便利だ。
マットに空気を入れたらハンモックに載せる。
この時、身体がフラットになる角度を考えてマットを載せるのがポイントだ。
マットを敷いたら、ハンモックの中心に静かに腰を下ろして横になるだけ。
横になればじんわり背中が暖かくてすぐに眠くなる。
EXPEDにはいろいろな種類のマットがあり、真冬のハンモック泊にも対応できるマットもある。
ちなみに、対応温度が一番低いのは中綿がダウンで厚みが9cmのマットで、何と-38℃まで対応できる。
寝袋を使う
いくら背中が暖かくても何か掛けるものがなければやはり寒いので、使用する季節に応じた寝袋かブランケットなどが必要だ。
マットを敷いて寝袋にくるまって、全身ぬくぬくでハンモックに揺られたならいつのまにか寝てしまう。
一般に、同じ収納サイズであれば化繊よりもダウンの寝袋の方が保温性が高い。
同じ気温に耐える寝袋の収納サイズを比較するとダウンの寝袋の方が小さく軽いということになる。
パッキングの効率だけを考えるとダウンの寝袋に分があるが、湿気の多い環境における性能は化繊の寝袋に分がある。
それぞれ一長一短あるので使用環境を考えて選ぶ必要がある。
ハンモック周りのレイアウト
独身時代を過ごしたワンルームのアパートのように、必要なものはすべて手の届くところに配置する。
まずはアルコールストーブやウッドストーブを真正面に置く。
ストーブ周りにはクッカーや薬缶を置くと機能的だ。
右手に調味料やコーヒーなどの入ったメスキットを、左手にテーブルを広げてそのまわりにはお酒や水などを配置。
小さなテーブルがあると「よーし、ここでゆっくりするぞーっ」と一層落ち着いてくるし、それを中心にレイアウトもしやすくなる。
個人的には木製の小さいちゃぶ台と漆塗りの小皿(スタッキング可)で凌ぎ気分を盛り上げている。
焚火道具や食料はハンモックの下に置いてスペースを有効に使おう。
それらをバラバラにおくのではなく用途別にスタッフザックなどに分けて置くとスッキリする。
ハンモックのカラビナやスリットラインにはランタンや洗面用具などを吊るすことができて便利だ。
ハンモック周りのレイアウトは個人のセンスが光るところ。
機能的で美しいレイアウトにしたいものだ。
センスの良いレイアウトを見ると、たいしたものだと感心してしまう。
集中講座 - その6はここまで。
次回、その7は寒い夜の凌ぎ方。